(C)Two-Way/小学校/社会/5年/森林と環境
TOSS静岡/杉山裕之
平成16年9月29日宮川村で起きた土砂崩れから「森林と環境」の問題に迫ります。社会科学習の基本的な流れをもとに本物の森と偽物の森、宮川村の取り組みについて考える授業となります。
現在アップしたものは、2006.3.5大阪教え方教室C表受検模擬授業(12級取得)として行ったものです。子ども向けバージョンを今後、作成していきます。ひとまず、授業の全体像を掴んでください。
※この授業はスマートボードノートブックを使って映像を投影して行います。スマートボードノートブックの画像資料を必要な方は,個人メールで右記まで御連絡ください。→メールはこちら
画像提示@タイトル「宮川村がおしえてくれる」
1 宮川村を襲った土砂災害
画像提示A 日本一美しい村を目指す三重県宮川村
「日本一美しい村を目指す三重県宮川村」
B 台風による大雨で土砂崩れ画像
「平成16年9月29日、宮川村を台風による大雨が襲いました。」
「土砂崩れにより、道路は寸断され、家は飲み込まれ、7人の死者、行方不明者を出しました」
C 砂防ダムのコンクリートが吹っ飛ばされている画像
「砂防ダムのコンクリートの塊が数十メートル吹き飛ばされて転がる。人間の力でなんとかしようとしたって、かなわない」何十年も山を歩いている方の言葉です。
発問1 雨はどのくらい降ったのでしょうか?降水量分布図をみてみましょう。
画像提示D 降水量分布図
「34時間総降水量。赤いところは1000_を越えています。地元の方は500年に一度の大雨と言いました。」
(1000_は1メートルであることや次の地元の方の言葉などで状況を捉えるとよい。
「バリッと音がして、向かいの谷が崩れたと思ったら、後ろの山もバリッ。土砂が襲ってきた。目の前が真っ白になるぐらいの雨だった。」
2 土砂崩れは防ぎようがなかったのか
説明 地元の人は「500年」に一度の大雨と言います。
発問2 「500年に一度の雨」による土砂崩れです。
A この雨では防ぎようがなかった。
B この雨でも防ぐ方法はあったかもしれない。
皆さんならどちらの立場をとりますか。
必ずどちらかに手をあげるのですよ。
説明「山や森をよく知っている人は言います。『これは「人災」ではなかったかと』」
「人々が何らかの働きかけをしていたならば、土砂崩れは防ぐことができただろう」
3 仮説をたてる
発問3 このように「もし人々が何らかの働きかけをしていたならば土砂崩れは防ぐことができただろう」という「もし〜ならば」という仮説 を考えてもらいます。
指示 思いつくままで結構です。一つ、二つと箇条書きにしてごらんなさい。
指示 おとなりさんと相談してごらんなさい。
列指名 おとなりさんどんなことを言いましたか?(隣の考えを言わせる)
4 仮説にもとづく検証の仕方
説明 皆さんが考えついた仮説が正しいかどうか、証拠が必要ですね。」
「仮説を立て、それに関する資料を探す、調べる、検証するのが社会科です」
説明 「山の手入れをしっかりしていれば、土砂崩れは防げただろう」
このような、今出てきた代表的な仮説に対して、いくつかの問題を作り、それに関する資料を基に考えを作っていきましょう。」
*以下、順次問題を提示し、一つずつ、問題について資料をもとに考えを創りだす学習活動を行う。
問題@ 森林があれば土砂崩れは防げるか
資料画像提示F 間伐のはたらきアニメーション
問題A 針葉樹ばかり多い森林でいいのだろうか
資料画像提示G 針葉樹と広葉樹の違い直根と深根(図)
@、A に共通して繰り返す発問 「この資料からどんなことが考えられますか」
(子どもに授業する際には、ひとつひとつ資料を読み取る指示が必要となる。資料の読ませ方については、別サイトで紹介する)
@ 間伐されてないと木の根が強くならない。だから、土砂崩れを防ぐには間伐が必要である。
A 針葉樹の根は深く広がらない。直根もない。それに比べて、広葉樹は根が深くまで広がっている。針葉樹ばかりの山ではなく、広葉樹があることで土砂崩れは防げるのではないかと考えられる。
5 本物の森と偽物の森
説明 実際の宮川村です。画像提示H 宮川村の土砂崩れの森林の根の画像
「このような人間が手入れをしてやらなければ荒れる」ような森は「偽物の森」だと植物学者の宮脇昭先生は言います。
説明 それでは、本物の森とは
「自然に生き残るその土地が迎い入れる木を植え」
「複数の木種を混ぜて植林し」
「3年経って根が付いた後は、人間の手を入れなくても自然淘汰に任せます」
「実際に横須賀久里浜高校裏の斜面を見てみましょう」画像提示I 宮脇昭氏提唱による実際の環境保全林画像
(スマートボード上で画像をスクロールさせながら提示)「植栽時、2年目、3年目、10年目、斜面に立派な防災環境保全林となっています」
6 宮川村の取り組み
揺さぶり ところで、林業の盛んな村、森林面積村の96%という宮川村はこのような森の特徴が分かってなかったのでしょうか?
画像提示JKL 宮川村の3年前から取組の写真紹介
「手入れされていない林に入り、間伐をし、太陽が注ぐようになりました。」 画像提示J
「人工林に植えられた40万本の杉を間伐し、代りにトチ、モミジなどの根の強い樹木を植え始めました。」画像提示K
「環境林として指定された林が1200fになりました。」画像提示L
「見るからに健康そうな混合林になり始めているのです。」
「取組み始めて3年。そこであの大雨による土砂崩れだったのです。」
「村役場振興課の谷昌樹さんは言います。」
「予想外の事態でしたが、計画を進めていくことに変わりはない。結果が見えるのは百年先です。」
7 「森林、林業の抱える問題と宮川村
説明 日本の森林、林業が抱えている問題は様々にわたります。
皆さんが立てた仮説について、仮説を支える資料を探し、検証できるかこれから深く勉強していきましょう。
宮川村は私たちに多くの示唆を与えてくれています。
*上記の説明をして、オープンエンドで授業を終える。
主な参考資料
☆書籍/雑誌
"EMサイクル図の授業"向山洋一編著/"日本の挑戦「CO2削減」の授業"伴一孝/"
"環境技術革新の最前線"山本良一・小田克郎編著、日科技連/人類は80年で滅亡する―「CO2地獄」からの脱出"西澤 潤一/ "「悪魔のサイクル」へ挑む"西澤 潤一 /"いま地球がたいへん!Q&A60"国立環境研究所編/ "地球がもし100cmの球だったら"永井 智哉/"1秒の世界 GLOBAL CHANGE in ONE SECOND"山本 良一/
"植物と人間―生物社会のバランス"宮脇 昭/ "いのちを守るドングリの森"宮脇 昭/ "鎮守の森"宮脇 昭/"この人この世界 2005年6/7月 (2005)"宮脇 昭/ "森よ生き返れ"宮脇 昭/ "あすを植える―地球にいのちの森を"宮脇 昭/ "緑回復の処方箋―世界の植生からみた日本"宮脇 昭/"緑環境と植生学―鎮守の森を地球の森に"宮脇 昭/"魂の森を行け―3000万本の木を植えた男の物語"一志治夫/
"「森の思想」が人類を救う―二十一世紀における日本文明の役割"梅原猛/"「美の文明」をつくる―「力の文明」を超えて"川勝 平太 /"敵を作る文明 和をなす文明"川勝 平太/
"森のこころと文明"安田 喜憲/"日本よ、森の環境国家たれ"安田 喜憲/ "森と生きる 共生進化で持続可能な木の文明"稲本 正/ "循環シンフォニー―「森からの発想」その後"稲本 正 /"森の力―日本列島は森林博物館だ!"矢部 三雄/ "人間は地球を食べる動物である"亀山祥之"/文明崩壊ジャレド・ダイアモンド(上・下)
"甲本卓司提言集2熱中!参観日 映像の授業"/
"「脳科学の知見」に基づく社会科授業の進め方"柏木英樹・山川直樹編著/
☆新聞資料 朝日新聞マイタウン三重2005年9月「あれから1年宮川・海山豪雨災害」/「中日新聞」森とむすぶ20050101記事/「北日本新聞」特集「沈黙の森」
☆HP http://www.eic.or.jp/ http://www.eic.or.jp/library/navi/
http://www.eic.or.jp/library/pickup/index.html http://www.wanokurashi.ne.jp/ 等