(C)Two-Way/小学校/社会/5年/森林と環境
TOSS静岡/杉山裕之
向山一門ライセンスセミナー平成18年8月17日にてB表受検初段格を戴いた授業。
私の実践の原型は、向山洋一先生の、「工業地帯の授業研究」にある。
向山実践は、社会科教師なら誰でも憧れる実践だ。
「仮説を立て(KJ法による仮説 整理も含む)、その仮説が正しいかどうか検証するという「社会科における児童の追究 のあり方の基本」が示されている。
社会科で子供に力を付けたいのなら、様々な単元で、この仮説→検証の授業が組み立てられないか、検討してみることがよい。
※この授業はスマートボードノートブックを使って映像を投影して行います。
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画像提示@タイトル「東京湾と鹿児島湾から」
1 東京湾と鹿児島湾の漁獲量
画像提示A 東京湾と鹿児島湾地図隣り合わせで並べてある。すっと授業に入る。
| 発問1 「東京湾と鹿児島湾。湾の面積はほぼ同じ。漁獲量はどちらが多いでしょうか。 直感で手を挙げます。 東京湾だと思う人 鹿児島湾と思う人 |
|---|
B農林水産統計で見てみましょう。
C「鹿児島湾 7800トン
東京湾 21000トン
東京湾の方がほぼ3倍なのです。
そして、すぐに指示する。
2 仮説をつくる
| 発問2 Dなぜ、東京湾の方が鹿児島湾より漁獲量が多いのかという「仮説」を立ててもらいます。 「海」「川」「森」この3つの言葉を少なくとも一つ以上使って、一つの仮説を立てます。 仮説をできるだけたくさんノートに箇条書きにしなさい。 |
( 授業解説 )
取り上げ方は多様にある
ここは、様々な手法で、仮説を集約することができる。
カード化、グルーピングという手法もあ れば、黒板に8名ずつぐらい書かせる方法
もある。また、発表させ、「というような仮説を立てた人」と同意見を括りながら、進
めるという手もある。今回は、時間が限られた模擬授業だから、次の指示をした。
E指示 「どれか一つ読み上げて下さい」
F今出された仮説を仮に次のようにまとめてみます。
みんなで読んで見ましょう。
多くの「川」が「海」に流れ込んでいて、森の栄養がたくさん注ぎ込むから、東京湾の方が鹿児島湾より漁獲量が多い。
3 仮説の検証の方法
| G この仮説を検証する資料が必要ですね。 どんな資料がほしいですか。 お隣さんと相談してご覧なさい。 |
(授業解説)
仮説を検証する問いかけ方に意味がある
実は、ここは重要なところである。問い方を比較検討してほしい。
ア 「どんな資料がほしいですか」
イ 「何について調べたいのですか」
アと問うかイと問うかは微妙に違う。
プロ教師を目指すなら、こうした多少の問い方の違いにこだわりたい。
イも悪くはないが、ABCで判定すれば、私ならB評定をくだす。
アとイでは盛り上がり方(知りたい、調べたいという意欲)が違う(と、思う。)
(思うと書いたのは、厳密に同一条件で同じ指示を対比したことがないからである。だから、推測でしかない。)
「欲しいか」と問われたら、「欲しい」ものを気軽に出せばよい。
例えば、2つの湾に注ぎ込む川の数。
例えば、2つの湾に注ぎ込む川がちゃんと載っている地図。
例えば、森の面積。
例えば、森からの栄養が本当に海を豊かにするという根拠となる資料。 「調べたい」と問われると無理してでも調べたいものを出さなければならない「重さ」が多少ある。
H「どんな資料が欲しいですか。」(3人に聞く)
4 検証の実際
| I説明「川の数は地図帳を調べれば、すぐに分かります」(見たい方…ちょっぴりじらす)〈検証の実際その1〉画像提示 J森の栄養が確かに魚を増やすのかについては、科学的な研究が行われています。〈検証の実際その2〉画像提示 腐葉土から川に流れ込むフルボ酸が水中の鉄と結びつき、フルボ酸鉄となって、植物プランクトンに取り込まれます。 フルボ酸がないと、植物プランクトンに必要な鉄が取り込まれにくいのです。 Kこの植物プランクトンが動物プランクトンを呼び 動物プランクトンが小魚を呼び 小魚が大型魚を呼ぶのです。 例えば、1sの鰹が巣立つには、1000sの植物プランクトンが必要と言われています。画像提示 Lそれでは、日本のどこでこのような森と海の関係を考えた取組が実際に行われているのでしょうか。 (調べてみたいなと思う方) M例えば、宮城県気仙沼。 カキ漁師の畠山重篤いさんが中心となり、川の源流となる室根山に毎年木を植えています。 「山に大漁旗が旗めいています」〈検証の実際その3〉画像提示 Nこうした漁民を中心とした植樹運動は、 全国29道県に広がっています。 〈検証の実際その4〉画像提示 |
5 仮説の発展
| Oところで、日本人はいつ頃から、このような森と海の関係を考えていたのでしょうか。 歴史を紐解いてみましょう。 明治時代、明治30年、青い字を読んでください。 |
|
明治時代明治30年 森林法の成立 魚つき林制定 |
Pこれらは、文字に残された事実です。
文字のない時代は、どうだったのでしょうか。
Q例えば、縄文時代、三内丸山遺跡。
樹齢100年以上のクリの木が真っ直ぐに伸びていたと言われています。
クリの木を真っ直ぐに伸ばすには、密植、つまり栽培がなされていたようなのです。
この時代も森と海は深く結びついていたのかもしれません。
6 本時のまとめ
R東京湾と鹿児島湾を見つめ、仮説を立て、それを検証することにより森と海の関係が見えてくるのです。
主な参考資料
(1)特に本授業のヒントとなった書籍
"漁師さんの森づくり 森は海の恋人"畠山重篤著講談社/"/カキじいさんとしげぼう"畠山重篤著講談社/"日本〈汽水〉紀行"畠山重篤著文藝春秋/"森
は海の恋人
畠山重篤著短歌熊谷龍子北斗出版/"リアスの海辺から"畠山重篤著文春文庫/"木を植えて魚を殖やす"柳沼武彦著家の光協会/"森が消えれば海も死ぬ"松
永勝彦著講談社ブルーバックス/"日本人はどのように森をつくってきたのか"コンラッド・タットマン著築地書館/"森なしには生きられない"J・ヘルマン
ト編著築地書館/"緑のダム"蔵治光一郎+保屋野初子編著築地書館/"森のチカラ"米倉久邦著三五館/"緑のダム宣言"緑のダム準備委員会編/
(2)森の文明、思想としての裏付けを得るための書籍
「森の思想」が人類を救う―二十一世紀における日本文明の役割"梅原猛/"「美の文明」をつくる―「力の文明」を超えて"川勝 平太 /"敵を作る文明
和をなす文明"川勝 平太/ "森のこころと文明"安田 喜憲/"日本よ、森の環境国家たれ"安田 喜憲/ "森と生きる
共生進化で持続可能な木の文明"稲本 正/ "循環シンフォニー―「森からの発想」その後"稲本 正 /"森の力―日本列島は森林博物館だ!"矢部
三雄/ "人間は地球を食べる動物である"亀山祥之"/文明崩壊ジャレド・ダイアモンド(上・下)
(3)単元を創るにあたってヒントとなった書籍
"EMサイクル図の授業"向山洋一編著/"日本の挑戦「CO2削減」の授業"伴一孝/"
"環境技術革新の最前線"山本良一・小田克郎編著、日科技連/人類は80年で滅亡する―「CO2地獄」からの脱出"西澤 潤一/
"「悪魔のサイクル」へ挑む"西澤 潤一 /"いま地球がたいへん!Q&A60"国立環境研究所編/
"地球がもし100cmの球だったら"永井 智哉/"1秒の世界 GLOBAL CHANGE in ONE SECOND"山本
良一/"植物と人間―生物社会のバランス"宮脇 昭/ "いのちを守るドングリの森"宮脇 昭/ "鎮守の森"宮脇 昭/"この人この世界
2005年6/7月 (2005)"宮脇 昭/ "森よ生き返れ"宮脇 昭/ "あすを植える―地球にいのちの森を"宮脇 昭/
"緑回復の処方箋―世界の植生からみた日本"宮脇 昭/"緑環境と植生学―鎮守の森を地球の森に"宮脇
昭/"魂の森を行け―3000万本の木を植えた男の物語"一志治夫/"
☆新聞資料 北日本新聞 特集「沈黙の森」
☆HP http://www.eic.or.jp/ http://www.eic.or.jp/library/navi/
http://www.eic.or.jp/library/pickup/index.html http://www.wanokurashi.ne.jp/ 等