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『それ ほんとう?』
−伊藤経子氏の実践を追試する(3)−

TOSS静岡/杉山裕之

よい作品の構造を知ると創作が生まれます。言葉を広げる楽しい授業は子供に好評です。 



  1

 松岡享子作『それ ほんとう?』の暗唱の後お話作りをさせる。
 次のように指示をする。

 自分の名前の最初の音を使って『それ ほんとう?」ににたお話を作ります。辞書で使えそうな言葉をさがして、できるだけ長く書きなさい。
  お話しの終わり方は「〜たって」としなさい。


 他のクラスに授業参観に行く自習の時に、お話作りを書かせた。
 質問が出たので答えた。

 Q 「ひとつのお話が終わったらどうしますか」
 A 「自分の名前の他の音で、作りなさい」
 Q 「すで作る時、ずも使ってもいいですか」
 A 「いいです」


 さて、この指示で、何点位の授業ができると思いますか。
 私は、ことばあそびの楽しいお話しが続出すると思っていた。
 しかし、結果は百点滴点中の30点位という所であった。
 

どの子もおもしろいお話は作ってはいるが、長くお話を作っているが、同じ言葉のくりかえしが多かった。


のである。
 

 クラス全体で2134行書き、違うことばを使ったのは716であった。
 つまり、 716/2134 3割3分5厘である。
 松岡さんのお話のように、最初が同じ音でもちがう言葉を駆使してお話しを作るまでには致らなかった。
 
 3分の1位の子は、ちがった言葉を多く使って、お話を作っていたが、3分の2位の子は、1度使った言葉を何度もくり返して使っていた。
 だから、読んでいても、文に緊張感、リズムがなかった。
 できるだけ長く書こうと、「ひ」だけを使って104行書いた子は、ちがう言葉を3つしか使っていなかった。書き出しの「ひ」が全て、その子のあだなであった。辞書から、言葉をさがすという意識が弱かったのである。


   2
 このままでは、言葉の世界は広がらない。
 
 そこで、1人の男の子の「お」と「し」のお話を印刷して配り、もう少し勉強をした。
 その子のお話の一部を紹介する。

 「お」 おかあさんからうまれた
    おおさわ君は
    おおきくなって
    おかあさんや
    おとうさんにたのまれて
    おにがしまへ
    おにたいじに
    おっかなびっくりいった。(以下略)

 「し」 しんちゃんはごちそうをみて目がくらんだ
    しんちゃんは大よろこびでたべた
    かえりに
    しんちゃんは、はこをもらった
    それをあけたら
    しんちゃんは目がくらんでこしをぬかした
    しんちゃんは大よろこび (一部抜粋)

 私は、この2つを読んだ後、
 「両方ともおもしろいが、おの方が断然いい」と言った。
 半分位の子は、これで気がついたようであった。
 しかし、どの子にも気づかせなくてはならない。次のように指示をした。
  

 「お」で始まることばで違うことばがいくつあるか、「し」で始まるこ とばで違うことばがいくつあるか数えなさい。


 「お」の方は24行中17こがちがう言葉
  「し」の方は33行中5つがちがう言葉

であった。

 「し」の方は、同じ言葉のくり返しが多くて、文にリズム感がない。
 その後、自分の作ったお話のちがう言葉の数を確かめさせた。
 「オレの5つしかない」とか、「OOばつかり使っている」という声が聞えた。

 松岡享子さんの「あ」の最初の部分を暗唱で読ませた。全部違った言葉を使っているというのが、改めてわかった。
 
1回目に作ったお話で、違う言葉を多く使って書いてある子の作品を3名紹介した。思わず「オー」という声があがった。

   3
 ここまで、授業をして、最後の指示をする。
 

 もう1度、お話を作ってもらいます。
 辞書を見て、使えそうな言葉をまずぬき出しなさい。
 1度使った言葉はできるだけ使わないようにしなさい。


 結果を示す。

 クラス全体で594行書き、違うことばを使ったのは509であった。
 つまり、 509/594 8割5分7厘である。
 最初、3割3分5厘てあったのか、8割5分7厘になったのてある。
 これなら、授業に80点位をつけてやってもいいと思うのだが、どうであろうか。


 最後に、子どもの作ったお話を紹介する。

   それ ほんとう?  堀地勝法
  海国日本の            
  かぶ式会社は、ワープロの     
  かベをこえ、さいしんぎじゅつを  
  かいはつさせようと        
  かっこくのぎじゅつを       
  かさねあわせ           
  かなもじをはじめ         
  かん字              
  かたかな、ローマ字、を      
  かのうに、つかうことを      
  かんせいさせ           
  外交をひらき
  かっちゃんに
  かってもらった。
  その名は
  カッピープロ。
  しかし
  かげむしゃに
  かっぱわれて
  火災。
  火山ふん火の材料として、
  使われたって。


この実践は、教育技術法則化シリーズに所収されたものをweb化したものである。
 

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