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卒業式「よびかけ」指導の定石化 ―向山実践の追試―

TOSS静岡/杉山裕之

個別評定の原則にのっとって呼びかけ指導をすれば子供が激変します。 



◇卒業式「よびかけ指導」の場面で、思うように、子どもが動かないで、どなりちらしている教師もいる。声が小さかったり、間のとり方が早すぎて、その都度、教師が注意している。しかし、子どもたちの「よびかけ」は―向によくならない。

 思いあまって、教師は、時間を延長したり、回数を増やしたりする。子どもたちは、よけいにダレてくる。当日は、感動のない卒業式となる。
 

 こんなことでは、最後の授業にふさわしくない。私は、2回目の卒業生100名(3クラス)を送り出す時、向山洋―氏『特別活動研究』(No.197)の実践を追試して指導を行った。


◇全体での指導は3回とした。全体での指導の前に、

 各クラスでセリフを覚えてくる                  

ことを、学年の先生方で申し合わせた。                
 

 セリフのきめ方は、自分の言いたいところの希望をとり、重なった場合はジャンケンで決めた。
 さて、いよいよ全体での指導が始まる。

1 大きな口をあけて、休育館いっぱいに声を通らせなくてはならないので

 自分の名前を大きな声で、ゆっくりと、―人ひとりに言わせた。   

 

 教師は、体育館の一番はじで聞いていて、合格したらすわらせていった。15分ほどで終わる。

 

2 注意を二つだけ話した。       
 

 「当日は、卒業生、在校生、父母の方々、先生方、来賓の方々、合わせて400名ほど体育館に入ります。声が洋服にすいとられてしまいます。洋服に負けないように、大きな声で言いなさい。
 もうひとつ。

 「休育館のはじまで声が届くのに時間がかかります。前の人が言ってから、ゆっくりと、1・2と数えてから、次の入は言いな  さい」

3 最初の部分のよびかけ指導が始まる。最初だけは、5分ほど時間をかけて、何回かストップをかけて良くなるまでやり直す。
┌─────────────────────────────────
│S1 風                             
│S2 風                             
│全1 風                             
│S3 校庭に春を呼ぶ風                      
│S4 木々のこずえを歌わせて通る風                
│S5 わたくしたちの胸の希望の旗をはためかせる風         
│S6 ぼくたちの                         
│S7 わたしたちの                        
│全2 卒業式                           
│…………                             
└───────────────────────────────── 

「出方が早すぎる」とか、「もっとはずむような声で」とか、見本を示してやったっする。その後、全員を立たせ

 自分のセリフを1回だけ言ったらすわりなさい           

と指示する。                            

 ずっと、何回かストップをかけて、指導していったら、子どもはダラケテくるので、

4 「最後まで通します」と言って、全体への指導1回目を始める。
 

 一人ひとりが言っている時、教師は何をしているか? これが一番大切なポイントである。
 この時、評価のポイントを次のように決めておいて、プリントに印を書きこんでいく。


@ 声が小さい →チ                       
A 出方が早すぎる →ハ                     
B 切れ目がなくメリハリがない →メ               
C 合格  →○                         

5 最後まで終わったところで、メモをもとに次のように指導する。

  ものすごいスピードで話す。

 

 「これから番号を言います。自分のセリフの番号を言われた人は、立ちなさい。1番、3番、… 75番、149番。

  あなた方の声は聞きとれません。もっと口をはっきりとたてにあけて大きな声で言いなさい。わかったらすわりなさい」

 「また番号を言います。言われたら立ちなさい。2番、6番…。

  あなた方のセリフは出方が早すぎます。間がありません。前の人が言ってから、ゆっくりと1・2と数えてから出なさい。わ  かったらすわりなさい」

 「また番号を言います。言われたら立ちなさい。5番、9番…。

  あなた方のセリフは、切れ目がありません。ひとことひとこと、区切るように言いなさい。
  5番言いなさい。合格。
  9番言いなさい。おとうさん、おかあさんの間をあけなさい。そうです。合格」
  @と言われた子が2割、Aが3割、Bが3割ほどであった。やや厳しく評価した。

  「次に番号を言います、言われたら立ちなさい。4番、7番…」
  

 ここで、その子たちの顔をゆっくりと見回す。子どもたちは何を言われるのか不安そうな表情である。
  「第1回目は合格です。とても上手でした」
 と言って、ニッコリ笑う。ホーとため息をつく子や手をたたいて喜んでいる子がいた。

 この後、休けいを5分とつた。ほとんどの子が自分のところを練習しているのである。しかし、失敗もあった。一人の女の子の番号を読み上げるのを忘れたのである。その子が、「私は?」と聞きにきたのだ。
 

一人ひとりにやるべきことを示している              


から、子どもたちは真剣になる。十把ひとからげに対応していないのである。

6 2回目を始める。また、メモをして、終わった後、次のように言った。

 「これから番号を言います。言われたら立ちなさい。1番、2番、3番、4番、5番、7番 … 153番。

 (9割ほど言う。ゆっくりと子どもたちの顔を見て)以上の人は、大変すばらしかったです。

 (ヤッター、ワーイと歓声があがる)今日の練習を終わります」

 番号を言われなかった子はどうしたか。終わった後、家に掃って、練習をした子がほとんどであった。中には、これでいいかと聞きにきた子もいた。


7 次の日、3度目の練習をした。最後まで終わった後、

 「どの子もみんなすばらしい呼びかけでした」とほめる。

 「しかし、卒業式は小学校最後の授業です。このままでも立派です。しかし、先生はもう―歩すばらしいものにしたいと思います。もう―度やってみますか」と聞く。
 子どもたちは、口々に「やりたい」と言う。
 そこで、もう一度。「これから番号を言う人、立ちなさい」と言って、何人かを立たせた。

 「どこが悪いか、教えてほしいですか」とたずねたら、「自分たちで考える」と言った子もいた。「教えてほしい」と言った子もいた。

 私は、「ひとつのセリフをいろいろな読み方をしてごらんなさい。例えば最後を尻下がりで読むのか、尻上がりで読むのか、いろいろと考えて自分の一番いい方法を見つけなさい」と言った。

◇このような指導をして、総練習、卒業式当口と、むかえた。ある女の子は
次のように最後の日記を書いてきた。

 

  あしたは卒業式です。             
  みんな、最後の授業です。          
  いっしょうけんめいやりましょう。     
                        
  そうじを見て、みんな真剣だった        
  最後のそうじ                
  心をこめてやって             
  五年生や、下級生にゆずり          
  そして、その下へ             
  歴史ができていくでしょう          
                        
  さようなら……浜田小、みんな、先生     


 卒業式当日、父母代表の謝辞で、涙がとまらず、言展が途切れるほどであった。

 この実践は、教育技術法則化シリーズに所収されたものをweb化したものである。


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