小さいことにくよくよするな!

リチャード・カールソン

サンマーク出版

 

一年前、私の著書の翻訳本にベストセラー本の著者ウェイン・ダイヤー博士に推薦文を書いてもらおうと依頼した。私の依頼にたいして、回答はこなかった。ダイヤー博士は忙しすぎるのか、推薦文を書くつもりはないのだという結論に達して、出版社に連絡した。

それから半年後に翻訳本が届いたのだが、なんと私の前作についていたダイヤー博士の推薦文がそのまま、表紙に掲げられているではないか!私は頭に血がのぼると同時に、とんでもないことになったと、動揺した。ただちにその出版社にかけあって本をすべて回収させるように要求した。その一方で私はダイヤー博士に謝罪の手紙を書き、状況を説明し、本を回収するように手配したことを伝えた。どんな返事がくるかと悩みながら二週間がたったとき、彼からこんな手紙が届いた。

”リチャード、穏やかに生きるには二つのルールがある。1、小さいことにくよくよするな。2、すべては小さなことだ。あの引用をいかそう。愛をこめて、ウェイン”

 

小さなことにくよくよするな

私たちは少し頭を冷やせばなんなく解決することに、つい大騒ぎしがちだ。

たとえば、渋滞の道路でほかの車に割り込まれたとする。気にせず、ほおっておけばいいのに、なんてやつだと怒るのが当然だと思い、頭の中でその相手をやっつける場面を思い描く。そんな運転手には、どこかで勝手に事故を起こしていただこう。または彼に同情してみて、そんなに急がなくちゃならない事情はどんなにつらいものか想像してみよう。そうすれば、自分の幸せをあらためて確認できるし、他人のせいで腹をたてることもない。

こんな小さなことは日常ひんぱんに起きる。長い行列の順番待ち、身に覚えのないことで非難される、そんなとき、くよくよしないコツを知っていれば生き方に大きな差がつく。小さなことにくよくよすることに生命力を使いはたし、人生の楽しみに気づかない人がどんなに多いことか。 

すべては小さなことだ。

完璧主義を通しつつ平和な人生を送っている人に、まだお目にかかったことがない。完璧を求める思いと心の平和を求める思いは水と油だからだ。

いまよりもっといいものを求めてばかりいると、人生はまちがいなく負け戦に終わる。人は現状に満足して感謝するかわりに、何かと欠点をほじくり出して無理やり直そうとする。欠点ばかり気にしていると、不満だけがふくらんでいく。

かといってベストを尽くさないでいいということではない。人生の悪いところばかりにとらわれ過ぎないように、ということ。自分を向上させる方法は常にある。だからといっていま現在を楽しんだり、感謝できないのはおかしいではないか。人生のあらゆる場面で完璧主義を捨てるようになれば、人生はそれ自体で完璧なことに気づくようになる。

バランスのとれたものの見方をするには、人にたいする思いやりの心を養うのが一番だ。思いやりとは相手に心を寄せること。相手の立場にたち、自分のことはひとまずおいて、相手の苦しい立場を思いやり、その相手に愛情を感じること。相手の悩みや苦しみ、不満をわがことのように認識すること。相手が苦しんでいるのを知り、なんらかの力になりたいと口にすることで、私たちは心を開いて共感することができる。思いやりは訓練で養うことができる。それには二つの方法がある。相手に心を開くことを忘れないようにすること。それにたいして自分が何かをすることだ。

マザーテレサが「私たちはこの世で大きなことはできません。小さなことを大きな愛ですることです。」と言ったように。

 

言うまでもなく、私たちはさまざまなことを心配しながら生きるというノイローゼの術を身につけている。いまのこの瞬間より過去の問題や将来の不安を優先させたあげくに、不安や欲求不満や失望にとりつかれてしまう。ジョン・レノンはこう言った。「人生は僕らがほかの計画を練っている間に過ぎてしまうんだよ。」

私たちには今しかない。コントロールできるのはいましかない。不安をなだめる最善策は、いま、このときを考えること。マーク・トウェインは言った。「私は人生の苦難を味わってきたが、実際に起きたのはほんの少しだった。」

いまこの瞬間を意識する練習をすること。その努力が生き方を左右する。

 

いまの状況が何であれ、それがいま起きているのでなく一年後に起きるのを想像するだけでいい。次に「これはそんなに重要な問題なのか」と自分に聞いてみる。本当に重要なことも万に一つはあるだろう。だが、ほとんどたいしたことではないのだ。配偶者、子供、上司とのもめごと、自分のミス、失ったチャンス、なくしたサイフ、仕事の失敗、捻挫、問題はなんであれ、一年たてば、気にならなくなるはずだ。

 

人のアラばかりさがすようでは穏やかな人生は望めない。厳しい目で人のアラや自分自身の人生のアラを探す人がいる。この癖がつくと、あらゆるものや欠点を指摘せずにいられなくなる。そうなると人との関係や人生のありがたみが薄れ、ありのままの現状を肯定できなくなる。

ついアラ探しをしがちな人は「ぜったいやめる」と心に決めること。アラ探しをやめれば、自分の人生のすばらしさに目がむくようになるだろう。

 

楽しんでいるとき、私たちはそれが永遠に続いたらと願う。でもそうならない。苦痛を感じているとき、それが消えてくれたらと願う。だが、そうならない。この自然な流れに逆らってもがいた結果、不幸な思いが生まれてくる。人生とは次々に変わっていくものだと気づくこと。苦痛や不快を味わっているときには、やがては過ぎ去っていくと悟っておく。そのことを心にとめておけば、逆境にあっても落ち着いていられる。

 

小さなことにくよくよするな!すべては小さなことだ。

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