その人については、既に千数百点の書物が著され、数千万人の人びとが、それぞれに帰依の心を持っていると言われていた。彼は訪れた信者の目の前で、何もないところから指輪やネックレスを取り出して与え、一瞬にして病気を癒し、世界のさまざまな場所に同時に現れ、食物を増やし、死者すらも蘇らすという。
また、各国で慈善活動を展開し、無料の学校、病院、孤児院、老人ホームなどがボランティアの手で運営されている。そして、その教えの普遍性は、いまや世界中の人々の心を捉えようとしているという。
「邪悪がはびこり、使命のときが来る時、私は想像を絶する人間の姿をとる。罪の時代、カリユガの時代に、法と正義を護るため、私は黒い肌をした神の化身となり、南インドの徳高い家庭に生まれるだろう。
この神の化身は、偉大な知性と偉大な力を持ち、使命の遂行に必要なものは、想った瞬間に手にする。
彼は徳の力に輝き、世界に平和と秩序を回復する。霊的な人々に囲まれ、新しい真理の時代を開く。
真理を求める人々でアシュラムは一杯になり、彼らの王国は徳によって治められる。この化身はたいへんな名声を得ることになるだろう。」
・・・インドの叙事詩「マハーバーラタ」の予言・・・
サイババの起こす奇跡現象は数多いが、そのうち最も一般的なものは、何もない空中から物品を取り出す、いわゆる物質化現象だ。サイババは幼少より、どこからともなく品物を取り出してくることがあった。それは、友達が無くしたもののこともあれば、神や仏の像、また薬草やお菓子などの食べ物だったりもした。取り出す場所も、空中からの場合もあれば川原の砂中からのことも、また、タマリンドの木からリンゴを取りだすことすらあったという。
「サイババさん、あなたがもし本当に神の化身というのなら、証拠を見せてください」こう言った途端、目の前のサイババの写真から、ビィブーティが吹き出したというのだ。
サイババは彼女に話しかけた。「お前は何がほしい?」「スワミ、あなただけがおられれば」サイババはうなずくと、おもむろに彼女に近づき、腰を三回軽くたたいた。そして、「立ちなさい」と言った。私は素直に言って、それは無理な話だと感じざるを得なかった。彼女は、長年の車椅子生活で、上体は太り、それに比べて下肢は頼りなくやせ細っていたからである。みなはその光景を固唾を飲んで見守った。彼女は、やはり答えて言った。「スワミ、それはできません」しかしサイババは、「いいや、立って歩くのだ」と言って取りあわなかっった。そうして彼女は、おそるおそる立ちあがったのである。彼女は歩いて接見室を出、その後には、長年の主を失った車椅子が残った。
「あのときのことは、思い出しても恐ろしい」アニールは言った。「恐ろしい?」「あるとき部屋でぼーっとしてたら、スワミが来たんだ」「来たって・・・・・・?」「来たんだよ。光の粒子がぱーと集まったかと思ったら、スワミの姿になったんだ。そして、それは、正真正銘のスワミだった」「肉体をもったサイババが現れたの?」「まさに、サイババの肉体だった」「で・・・・・どうなった?」「そのまま、消えた・・・・・・」「単に消えたの?」「いや、にっこり笑って、それから消えた」