ドライブ途中や自宅で不思議な光や円盤を目撃、記憶を失い、気づくと数時間たっていたり、別の場所にいる。消えた時間の記憶はないが、しばらくして「大きな目の宇宙人の顔」といった断片的な記憶が脳裏に浮かび出し、不眠や、いわれのない恐怖感に襲われる。・・・・・これが「宇宙人誘拐現象」の典型的なパターンだ。
アメリカでは60年代後半から宇宙人に誘拐された記憶に悩む患者が続出し、精神科医や心理分析医の関心をひきはじめた。そして同現象を事実と確信する研究者が増えていった。・・・・・
科学者の間では「宇宙人誘拐現象」への関心が高まり、92年にはマサチューセッツ工科大学で「宇宙人論議」が開催された。・・・・・NASAや国立研究所出身の研究者、有名大学出身の教授たちがそれまでの研究成果を公開、誘拐体験者たちもまじえて宇宙人誘拐の真偽や仮説が議論されたという。
「宇宙人誘拐現象」の認識を一般大衆に広めたのはピュリツアー賞受賞歴もあるハーバード大学の精神科医ジョン・マック教授の94年の著書「アブダクション」だ。数多くの臨床例を挙げ地球外知的生命体による人体操作は否めない事実だと主張、メディアで大反響を呼んだ。・・・・・
宇宙人は人にテレパシーで話しかけるが、「大丈夫」「怖がらなくてよい」といった最低限のことしか伝えず、自分たちの正体は明かさない。火の玉とともに部屋にふっと湧き出たり、壁や閉じたドアから出入りしたり、瞬時に停電を起こしたり、周囲の人の記憶や動きを凍結させたりと、その行動は物理の法則を超えている。
誘拐の目的には宇宙人善玉説と悪玉説がある。「人類に意識革命をおこさえ、地球の未来を救うため」とみる善玉説の筆頭は前出のジョン・マック教授とワイオミング大学の心理学部名誉教授のジョン・スプリンクルだ。
「地球の未来に起きる自然災害や戦争の映像を見せられたり、先進科学知識や超能力を授けられ、社会に貢献し出す人も多い」と、高度な科学力をもつ崇高な知的生命体が、脳や遺伝子の操作、ハイブリット化などで人類の進化を促進させていると考える。実際に誘拐体験後に予知能力、テレパシー、手かざしのヒーリング能力が発達した人が多いのは確かで、「誘拐体験者の脳波は一般人と異なる」とする研究もある。
しかし、こうした宇宙人善玉論者は少数派に過ぎず、研究者の大半は誘拐は宇宙人の自己利益に根ざしたものとみている。マックに宇宙人誘拐研究の師と仰がれるバド・ホプキンスは「人の都合や意志を無視した誘拐は人類にとって迷惑なだけ」と怒る。・・・・・ホプキンスの見方によれば、誘拐の主目的は生殖実験だ。・・・・・
「宇宙人誘拐現象は地球植民地化の前兆」と警告するのは、テンプル大学の歴史学教授、デビット・ジェイコブス教授だ。研究歴30年のジェイコブスは、「目的は宇宙人と人類のハイブリット化。交配を進め地球環境で生存できるハイブリットを増やし地球を乗っ取るつもり」と分析する。・・・・・
もちろん、こうした「宇宙人誘拐現象」研究全般の信憑性を否定する意見も少なくない。ハーバード大学の天文学者たちは「非科学的なたわごと。地球と他の天体との距離を考えれば、宇宙人が頻繁に地球を訪れられるわけがない」と真っ向から否定する。・・・・・物理学者ポール・ハロウィッツ博士は「物的証拠がなければ現実性は証明できない」と語る。
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