CENTURY X 72

 

1999年7の月

空から恐怖の大王が来るだろう

アンゴルモアの大王をよみがえらせる

前後に火星が幸福に統治する

 

 

1999年はノストラダムスが予言した人類破局の年とされる。確かに、日本と世界を見回してみても、長引く経済不況や、続発する毒物事件、高まる軍事緊張、テロなど世相は暗い。だが予言を信じる必要はない。天文学者であったノストラダムスは、今年欧州で見られる日食を計算しただけだという専門家もいる。…ルネサンスの自由人ノストラダムの実像にせまる。

 

ノストラダムスの実像探る

 

「いろいろなひとがノストラダムスについて書いていますが、まじめなものは一握りです。」とジャクリーヌ・アルマン館長は切り出した。

「的中」でっちあげ?

彼が生きた十六世紀前半は、フランス・ルネサンスの全盛期に当たる。彼は予言書の作者である前に、ペストと闘った医者であり、貧者を救った慈善家、天文学者でもあった。人間への信頼を掲げたルネサンス精神を体現する自由人だった。

「ノストラダムスとオカルトを混同してはいけません」とアルマン館長は断言する。ではなぜその予言書が、これほどの影響力をもったのだろう。アルマン館長は、王妃カトリーヌ・ド・メディシスの保護を受けたのが権威付けに大きな役割を果たしたと説明した。死後はその権威に預かろうと「いかさま師」たちが、予言の的中をでっちあげたのだともいう。一例を挙げると予言書の記述からフランス中部のリヨンでローマ法王が災難に遭う、と解釈した専門家がいた。確かに法王は1981年に狙撃され重傷を負う。だが場所はバチカンだった。

「それでも、専門家は予言が当たったと強弁する。リヨンと主張していたことを都合よく忘れるのです」とアルマン館長。こじつけと御都合主義が「予言的中」のからくりなのだ。

訪問者「アサハラ」

予言書の権威を利用したのは、こうした専門家だけではない。ヒトラーも、原本の一部をベルリンに持ち帰り、研究を命じた。カルト宗教の教祖たちも同様だ。

リヨンに住むノストラダムスの研究者ミシェル・ショマラ氏は89年「アサハラ」と名乗る男の訪問を受けた。「予言書の中に私に関する記述はないか」と尋ねるので「ない」と答えると男は失望して帰った。後に、地下鉄サリン事件で起訴されるオウム真理教の麻原彰晃と分かったという。

皆既日食を予測か

1999年の予言について、アルマン館長は「今年八月十一日に欧州全体で見られる皆既日食を予測したもの」と解説する。天文学者だったノストラダムスには、天体の運行を計算することが可能だったと言う立場だ。

ショマラ氏は、99年の予言を含む1568年刊行の版は、すべてノストラダムスが書いたものか疑問だ、との仮説をもっている。68年版は、作者の死後二年目に発行されており、文献学的に疑問点が多いのだという。…

ショマラ氏は、予言書について「警世の書」であることに間違いはないが、一つ一つの解釈には興味がないと言い切る。アルマン館長は笑いながら言った。「ノストラダムス記念館は2003年に予言者の誕生500年祭を企画しています。その前に世界が終末を迎えたらノストラダムスに申し訳ない」

 

(フランス南部サロン・ド・プロバンス、共同)

 

静岡新聞 平成11年1月3日版


それではノストラダムスの大予言は単なる夢物語・でっちあげであるのだろうか?

私は違うと思う。世紀末、ノストラダムスの見た鮮烈なイメージが確かにそこに現れる。 

’99・1.31アップロード

 

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