独 身 主 義

 『独身主義者というと世間から特異な目で見られがちですが、真面目に働き、人の道に外れないように生きていけば、別に結婚しなくてもいいのではないでしょうか』という相談が寄せられました。

 そこで独身主義については
『恋愛編・結婚しなければいけないの?』の項をご覧頂くとして、相談者が仰有っておられる「人の道」についてご一緒に考えてみましょう。

 「人の道」ってどういうことだと思いますか?。法律を犯すような悪いことをしたり、人に迷惑を掛けるようなことをしないで真面目に通ることが人の道とお思いでしょうが、これは単なる社会人としてのマナーなんですね。

 では人の道とは何か?、と言いますと、恩に報じる、恩に報いるということなんです。動物の中には産まれると直ぐに自分で餌をあさって生きていく種族もありますが、人間は独りでは生きていけませんね。すべて親に面倒を見て貰って幼児期を過ごし、学校へ入れば先生から知識を教わり、社会人になれば職親や上司、先輩に仕事を教えられ、友人知人や地域社会の人たちに協力、たすけられて人生を送って往くんです。

 こういうようにこの世は数え切れないほどの恩の上に成り立っているんです。この世は恩の果たし合いの世界なんですが、とても一々恩返しが出来るものではありません。

 そこで通り返しの道を歩むことによって、せめて万分の一のご恩報じを果たさせてもらうのです。つまり、結婚してお互い相手に尽くし、心を通じ合い、励まし扶け合うことによって配偶者にご恩が返せ、舅や姑に孝心尽くすことによって産みの親へのご恩報じに受け取っていただき、子供を産み育てることによって親に育てて貰った恩返しが出来ますね。

 それだけではありません。子供があれば子どもを通して、学校や、地域社会の活動に参加することによって、知らず知らずの内に、人様や社会へのご恩を果たしていけますね。

 では結婚をしない、子供も居ない人はどうすればいいのか?、ということですが、世の中には世のため、人のためにボランティア活動に心血を注いでおられる方もおりますし、専門職に就いて世の中の上に貢献している人たちは沢山おられます。

 しかし人間というのは、あざないものですから、我が身、我が為、我が家の事には心を使いますが、人様や地域社会への心配(くば)りが希薄になった世相を反映して、超個人主義的な索漠(さくばく)とした世の中になってしまいましたから新聞やテレビを賑やかす事件、事故が多発しているんですね。

 ですから線路に転落した酔っぱらいを助けようとして、中国留学生とカメラマンが電車に轢かれて死亡した事件がありましたが、そこまでしなくても余暇があればボランティア活動に参加なさるもよし、外出の折りにはゴミ袋を持ってゴミを拾わせて頂くとか、乗り物とか道路を横断中のお年寄りに手を貸してあげたり、やろうと心掛ければご恩報じはいっぱいあります。

 こういうように恩に報いる通り方、これが人の道であります。ですからあなたが独身主義者か否かは別として、ご恩報じに関しては、出来ることから実行に移されていかれては如何ですか。



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