はやし浩司

心を知る
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はやし浩司

絵でわかる子どもの心(1)

●お父さんと、お母さんの絵
お父さんとお母さんの絵を描かせてみてください。
それでいろいろなことがわかります。

(テスト法)

(1)紙と、描きやすいペン、クレヨンなどを用意します。鉛筆でもかまいません。(鉛筆の濃さは、子どもの筆圧をみて決めます。幼児だから2Bとか、小学生だからHBとか、そういう決め方は正しくありません。線が薄いときは、濃い鉛筆を。線が濃いときは、薄い鉛筆をもたせます。あくまでも子どもの筆圧の問題です。余計なことですが……)

(2)「お父さんとお母さんの顔を描いてみようね」と指示し、あとはすべて子どもに任せます。途中であれこれ言ってはいけません。子どもの絵が完成するまで、じっと待ちます。「目を描くのですよ」とか、「髪の毛は?」などという問いかけもしてはいけません。子どもが「終わった」というまで、静かに待ちます。

(3)絵をみて、判断します。



年中・男児
●表現力がこれからの子どもの絵。
●左の黒いシミに注目。何らかのこだわりがあると、子どもは無意識のうちにもそれを表現しようとする。以前、父親の手を黒く塗りつぶしてしまった子どもがいた。その父親はやけどで、指がくっついていた。子どもはそれを気にしていたらしい。
年中・男児
●体のない絵を描く子どもは珍しくない。
●母親と父親の相違点は髪の毛のみ。
●親の顔が笑っている点に注目。愛情豊かな家庭に育っている子どもは、このようににこやかな顔を好んで描く。
年中・女児
●どこかほっとするようなぬくもりのある絵。心の温かさを感じさせる。
●父親のひたいに、何かのわだかまり(こだわり)があるのが気になる。
●母親の髪の毛、母親の目の2点が違う。この「違い」の数が多いほど、表現力豊かな子どもとみる。
年長・女児
●父親と母親の区別がつかない点に注目。父親の存在感の薄い家庭では、子どもは母親を先に大きく描く。あるいはこの絵のように、父親の顔そのものがはっきりしない。

年長・女児
●年長児になると、マンガ的な顔を描く子どもが急増する。こういう絵は、一見しっかりしてみえるが、「絵」としては個性がなく、また子どもの内面世界が見えてこないので、好ましい絵とは言えない。
年長・男児
●父親と母親の相違点がこまかく表現されている。
●観察力もすぐれ、表現力も豊かな子どもの絵。
●知的能力もすぐれていることを示す。
●父親の存在が大きいが、父親の顔が威圧的であるのが、少し気になる。


●ほかに、「幼稚園でみんなと遊んでいる絵を描いてごらん」とか、「学校の先生の顔を描いて
みてね」というふうに、応用することができます。子どもの心の中をのぞく(失礼!)、一つの方
法です。ただし描いた絵について、あれこれコメントをしてはいけません。この種の心理テスト
は、子どもの前では、「よく描けたわね」で終わるようにします。コメントをつけると、次回からテ
ストができなくなります。子どもが仮面をかぶったウソの絵を描いたり、あるいは自分をごまか
すようになります。
●家庭のあり方は千差万別です。結果はあまり気にしないで、……というのも、あまり深刻に
考えないで、「まあ、そういう面もあるかな」というようなとらえ方で、結果を判断してください。
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