はやし浩司

能力を知る
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はやし浩司

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これでわかる子どもの能力

●子どもの言語表現能力
簡単な話をして、子どもに作文をさせます。それで子どもの言語表現能力を知ることができます。

(テスト法)

(1)紙と鉛筆を用意します。紙には、図のような立て札(A)を、あらかじめ描いておきます。

(2)下の(B)の図を見せながら、次の話を子どもに、ゆっくりと二回読んで聞かせます。

 「さとし君があるいていると、草の中に、大きな穴がありました。さとし君はその穴にはまって、もう少しのところで、大けがをするところでした。『あぶないなあ』とさとし君は思いました。そこでさとし君は、あとからきた人が、その穴に落ちてけがをしないように、立て札を立てることにしました。さてさとし君は、その立て札に何と書けばいいでしょうか?」

(注意)「わからない文字は教えてあげます」と言い、子どもが書けない文字があるときは、それを別の紙に書いてみせます。それ以外は、一切助言してはいけません。

また子どもが書き終わったあとも、それについてのコメント、指導はしてはいけません。また別の機会に、同じようなテストをして、子どもの能力の発達を知るためです。あくまでもここでは、このテストにとどめ、「よく書けたわね」とほめて終わります。


(A) 
       

(B)
    


(年長児の書いた例から……)
●「ここには穴があります」
とあるが、理由が書いてな
い。
●「だから……」まで書いて、言葉が続かなかったのだろう。 ●理由も書いてあり、表現力が豊かな子どもの例。
●理由が書いてない例。 ●「あぶない」とは書いてあるが、やはり理由が書いてない。
●どうしてあぶないかを書いてほしかった。あと一歩!
●理由を書いたのち、「気をつけてください」と結んでいる。
●話をよく理解し、読んだ人(相手)の立場で考えることができることを示す。

年長児で、夏休み前後の段階で、約78%の子どもが、ひらがなをほぼ、自由に読み書きできます。
(はやし浩司調査)

●文字の第一の使命は、「心や感情、思いを相手に伝達すること」ですね。こまかいまちがい
などは、あまり気にしないでください。日本人はどうしても、「型」を重んじる性質がありますか
ら、書き順はもちろんのこと、トメ、ハネ、ハライにうるさいですね。しかし文字のルールばかり
注意すると、子どもは書くことに嫌悪感を覚えるようになります。そうなれば、文字指導は大失
敗というもの。「書く楽しみ」を大切にしてください。このテストでも、あまりテストと意識しないで、
「理由を書くといいよ」とか、「どうして?」と、軽い疑問を投げかけながら、楽しく指導してくださ
い。
●この時期、鏡文字、逆さ文字は、よく見られますので、あまり深刻に考えないように。また文
字の表記が不正確であれば(たとえば「昨日」を「きの」「きおう」「きのお」などと書く)、一度音
を分離しながら、子どもの前で発音してみせてあげてください。たとえば、「私は林です」は、
「ワ・タ・シ・ハ・ハ・ヤ・シ・デ・ス」と。そのとき音と一緒に、手をパンパンとたたいてあげると、効
果的です。一度試してみてください。



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簡単なテストでわかる、あなたの子どもの合理的判断力
      (対象、4〜7歳ぐらいまで)

(方法)

(1)紙(B5〜A4サイズ)と鉛筆を用意します。(クレヨン、サインペンでも構いません)

(2)子どもに次のものを描かせます。

(3)山→川→家→木を二本→道→花→白い雲→鳥→お日様
  (注意)最初は、「山を描いてごらん」と指示します。しかし次に
      何を描くかを、言ってはいけません。子どもが山を描き終えたら、
      そのときはじめて、「次に川を描いてね」と指示します。
      川を描くとき、瞬間ですが、子どもはどこに描くか、あるいは
      どういうふうに描くかを迷うはずです。しかしそのときでも
      決して、子どもを助けたり、アドバイスしてはいけません。
      子どもが川を描き終わるまで、静かに待ちます。
      (どんな絵になっても、この段階では、何も言ってはいけません。)
      こうして次々と、子どもに絵を描かせていきます。

(4)できあがった絵を見ながら、子どもの合理的判断力をみます。

(山)紙の中央に大きく描かれていればよしとします。
(川)山の下、あるいは山の上を流れていればよしとします。
   合理的判断力の育っていない子どもは、不自然な位置に川を書きます。
   また自分で考えるクセ(習慣)のない子どもは、山の横に言われるまま
   川を並べて描きます。
(家)山との大きさを比較してください。あまり考えない子どもは、山より
   大きな家を描いたりします。
(木を二本)木が二本、自然な位置にあればよしとします。三本〜以上描くようで
   あれば、日ごろ、口うるさくないか疑ってみてください。
(道)自然な位置に、自然な形であればよしとします。子どもは無意識のうちにも
   自然な位置に道を描こうとします。これが合理的判断力です。
(花)子どもが描く花と、あなたが日ごろ描く花を見比べてみてください。
   親子の密着度が大きい親子ほど、同じ花(形、はなびらの様子など)を
   描きます。(子どもが花を描く前に、前もって、別のところであなたも
   花を描いておくといいですよ。)
(白い雲)雲が山より高い位置にあればよしとします。
(鳥)絵のじょうず、じょうずでないをこの鳥を見て判断します。(集団でこのテストを
   するとき、一つの基準とします。)
(お日様)最後にお日様を描かせて、テストをしめくくります。


具体例(年長児6歳児の作品から)(山、川、木、家のみを描かせた)

●言われたものを、ただ並べて描いているのが気になる。あまり深くものごとを考えない子どもの絵。
●従順だが、従順であることがよいというわけではない。三角や四角が、ほぼ正確に描けるようになるのは、満4.5歳を過ぎてから。そのころ子どもは文字に興味を示すようになる。形があまり正確に描けないようであれば、紙と鉛筆を子どもの。そばにおいてあげ、いつも絵を描かせるようにするとよい。
●左の絵とよく似ている。山よりも家が大きい。川は四角になっている。自然体験が少ないのではないか? 
●子どもの合理的判断力をつけさせるtらめには。日ごろから「なぜ」「どうして」という会話を多くするとよ。いつも子どもに語りかけるようにする。
●この時期子どもはたいへん理屈っぽくなる。そういうチャンスを見逃さないようにする。
●絵全体に伸びやかさがないのが、気になる。絵を描くことに、ある種の恐怖心(自信のなさ、萎縮性)があると、右利き児の場合、絵を左隅に描く傾向がある。
●この子どももやはり、言われた通り順に山→川と描いている。こうした従順性は決して好ましいものではない。このテストでは、無意識のうちにも、子どもが「考えて描く」ということを期待している。
●川が上にあり、家が下にあるなど、あまり理屈っぽくない子どもの絵。大きさも不自然。しかしこのテストでは、「川はここでしょ」式の押しつけはしてはいけない。
●この子どもは一人っ子で、たいへん深い愛情に包まれて育っている。そのためか生活力がなく、柔和でやさしいが、理屈をつけて考えることが苦手になったようだ。
●ほぼ標準的な絵。全体の20〜30%は、このような絵を描く。木の位置、家の大きさに不自然さがない。山が宙に浮いているのが少し気になるが……。
●絵に対して恐怖心のない子どもは、このように紙いっぱいをつかって、伸び伸びと絵を描くことができる。 
●ここまで合理的でしっかりとした絵が描ける子どもは、全体の10〜15%。絵を描きなれている子どもの絵。木の表現力に注目。川の位置、川の流れも自然。一般に心の落ち着いている子どもは、見た感じほっとするような絵を描く。
●「描く」「書く」ということを通して、子どもは「考える子ども」になる。そういうことも頭に入れて、子どもを指導するとよい。


このテストは無意識下における子どもの合理的判断力をみるために考案したものです。
もしあまり合理的な絵を描かないようでしたら、またしばらく時期をおいて同じテストをして
みてください。過干渉、頭ごなしの威圧などがあれば、避けます。子どもから考えるという力を
奪います。


この造絵テスト法は、はやし浩司が25年前(1977年ごろ)に考案したものですが、現在、あちこちで使われています。

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子どもの運筆能力

字がきれい……?
字がきたない……?
それを悩む前に、
やっておくことがあります。

……が、その前に、あなたの子どもの運筆能力を調べてみましょう!

●ぬり絵でわかる、子どもの運筆能力
丸や四角を、クレヨンやペンで色をぬらせてみます。それであなたのお子さんの運筆能力を知ることができます。

(テスト法)
(1)紙とクレヨンあるいはペンを用意します。

(2)紙に、半径が2センチくらいの丸(円)と、一辺が4センチくらいのましかくなどを、あらかじめ描いておき、それを子どもにぬらせます。「ていねいに、しっかりとぬってください」とだけ指示して、あとは様子をみます。

(注意)
●このテストでは、丸も、半径が1センチ〜3センチと、いろいろな丸を用意しました。お子さんを緊張させないよう、楽しみながらこのテストをしてください。結果をみて、叱ったり、説教したりしてはいけません。

●手の運動能力(運筆能力)について
 あなたも一度、鉛筆をもって、縦線と横線を引いてみてください。横線は、手首を動かして書きますが、縦線は、指、手、腕が複雑に動くのがわかるはずです。さらに丸を描いてみてください。あなたの指、手、手首が、それぞれ微妙に、複雑に力を分散しながら動いているのがわかるはずです。
 子どもについて言えば、一般に横線は得意ですが、縦線はあまり得意ではありません。さらに丸を描かせてみると、それがわかります。運筆能力のある子どもは、きれいなスムーズな丸を描くことができます。そうでない子どもは、多角形に近い、丸を描きます。

●運筆能力が、まだ十分でない子どもの描いた、丸。
丸が、多角形に近いことに注目。
●このテストでは、「雪だるまを
描いてね」と言って、丸を描かせてみた。
●運筆能力の発達した子どもの描いた丸。
丸全体が、スムーズで、きれいなのがわかる。


●運筆能力は文字学習の基本です。
 運筆能力のまだ発達しちない子どもに、「字をきれいに書きなさい」とか言ってもムダなことはもうおわかりですね。文字学習に先立って、手の運動がしっかりとできるようにしておきます。
 方法として、お勧めするのが、「ぬり絵」です。子どもがペンや鉛筆をもち始めたら、ぬり絵をさせてみてください。しばらく遊ばせておくと、子どもはやがて「きれいにぬろう」という意思が働き、こまかいところもていねいにぬれるようになります。そうなれば、運筆能力が備わったとみます。
 


子どものぬり絵から……

年中児の例
●どれも縦線と、横線だけでぬろうとしているのがわかる。特に一番左の丸に注目。曲線をほとんど使っていないのがわかる。
年長児の例
●線が直線的であるのがわかる。線そのものが乱雑なのは、この子どもの性格による。
年長児の例
●曲線が多用されているのがわかる。運筆能力が発達してくると、このように曲線を多く使い、こまかいところもていねいにぬれるようになる。
年長児の例
●きわめて運筆能力の発達した子どもの例。ここまで発達していると、文字を書かせてもきれいな文字を書くことができる。
●ひらがなにしても、直線と曲線が複雑に組み合わさっていることを忘れてはならない。





以下制作中