はやし浩司

知力を知る
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はやし浩司

簡単なテストでわかる、子どもの集中力

●こんなテストでわかる、子どもの集中力
子どもの集中力は、こうすればわかります。

(テスト法)

(1)紙を用意し、それに下のような点を描きます。ワープロのようなものを利用すればより簡単に正確に描けます。

     
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 実際のテストで使ったのは、下のようなものです。
    
       
    (紙の大きさ、B4サイズ、点の間隔、約3センチ、上下幅約3センチ)

(2)この点を上下に鉛筆でつながせて、ジグザグ線を完成させます。

(注意)
●時間は、子どもがあきたらやめる。しかしある程度集中してやり始めたら、そのまま静かに見守りながら、長くても5〜10分前後で切りあげる。(このテストは、子どもにとってはかなりめんどうなものであることをわかってあげる。子どもが乗り気でないときや、やる気がないときは、無理をしない。)

●子どもの心が落ち着いたのを見計らって、テストをはじめる。まわりを静かにすることも忘れてはいけない。

●テストが終わっても、子どもには「よくできました」とだけ言い、子どもの前では評価などはくだしてはいけない。

●また「うちの子は集中力がない」とわかっても、この種のドリルを子どもに強要してはいけない。このテストはあくまでも、子どもの集中力をみるためのものであって、反対にこの種のテストを繰り返したからといって、集中力がつくということにはならない。(風邪薬は風邪をひいたときには、有効だが、だからといって、つまり風邪薬を前もってもんだからといって、風邪の予防にはならない。それと同じ理屈である。)




年中・年長児の子どもの結果から

年中児
●まだこのテストそのものが無理であることを示す。
●しかし線の濃淡がはげしく、それだけに気分的なものの考え方をする子どもであることがわかる。
年中児
●ルールを無視して、自分勝手な線を引いているのがわかる。ところどころ山が小刻みになるのは、その時点で集中力が乱れることをあらわす。
●線の濃淡が乱れていることに注意。
年長児
●2行目まではほぼ正確な山を描いているが、3行目で乱れる。この子どもの場合、集中力がこのあたりで弱くなるとみる。
●ところどころで山が乱れるのはこの時期の子どもには、よく見られる現象である。
年中児
●5行目で山が大きく乱れていることに注意。こうした乱れは、本人自身が気づかないことが多い。また6行目から山が正しくなり、7行目から乱れ始める。
5行目で集中力が切れかかったことを意味する。
年長児
●年長児としては平均的な結果。ところどころで山の形そのものが乱れるが、こうした乱れは問題はない。
●7行目で大きく乱れていることに注目。
年長児
●きわめて安定し、集中力のある子どもの結果。あまりきれいにやりすぎるというのも、このテストでは好ましいことではない。
●この子どもの知的能力は高い。
●線の濃淡も安定していて、それだけ精神的にも安定している子どもであることを示す。


●集中力と知的能力は、ちょうど紙の表と裏の関係にあります。知的能力を伸ばす方法が簡
単でないように、集中力をつける方法も、簡単ではありません。
●知的能力の高い子どもは、他人を寄せつけないような緊迫した集中力を見せます。気迫の
ようなものです。
●「うちの子どもは集中力がない……」と思っておられるようなら、第一に、「うちの子はそういう
ものだ」と思い、納得してあげます。そういう子どもに無理に集中力をつけさええようとしても、
ムダなばかりか、かえって子どもを勉強嫌いへと追いやってしまいます。そうならないように注
意してください。要は、その子どもにあった学習法や勉強法にするということです。


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これでわかる子ども知能

空間図形弁別能力は、きわめて高度な知的能力の一つです。
それを手がかりにすると、子どもの知能の完成度を知ることができます。

●子どもの空間図形弁別能力
子どもに箱の立体図(立方体の図形)を見せ、それを描き写させるだけで、子どもの知的能力の完成度を知ることができます。

(テスト法)

(1)紙と鉛筆(クレヨンなど)を用意します。

(2)下図のような立体図を、子どもに見せ、それを別の紙に描き写させます。



(注意)子どもが描き終わるまで、何も言ってはいけません。指導や指示もしてはいけません。
 
またテストが終わっても、何もコメントを出してはいけません。次の機会に、また同じテストをして、子どもの能力の発達の度合いを知るためです。


子どもの作品から……
年中・男児
●まだ形の弁別そのものができないとみる。三角は三角らしく、四角は四角らしく描ける子どもは、年中児(満5歳児)で、約60%とみる。
年長・女児
●よく見られる図形。四角を三つ集めているのがわかる。
年長・男児
●懸命に描こうとしている姿勢が読み取れる。このタイプの子どもは、あと一歩で立体図が描けるようになる。
年長・男児
●このレベルまでしっかりと描ける子どもは、100〜200人に一人とみる(幼稚園児)。この図を描いた子どもは、その後小学4年生のときには、中学3年生と一緒に数学の勉強をしていた。きわめて能力的に恵まれた子どもの作品である。







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子どもの学習能力を知る

うちの子は、なかなか覚えなくて……と
悩んでいませんか?
「教えたことをすぐ忘れてしまう」とか、など。
そう考える前に、一度、お子さんの学習能力をテストしてみませんか。

●子どもの学習能力を知ることができます
このテストで、子どもの学習能力を知ることができます。

(テスト法)

(1)紙と、鉛筆(クレヨン)を用意します。

(2)ぼうしが三角、顔が丸、体が四角の「かかし」の絵を見せます。

(3)子どもに次のように指示して、同じかかしを、できるだけたくさん描かせます。

(注意)
●時間は5分前後。子どもがいやがったり、あきたら、その時点でやめます。この種のテストは、無理にしても意味がありません。無理にして、子どもに恐怖心をもたせてはいけません。

●結果については、何も言ってはいけません。あくまでも子どもの特性を知るためのテストです。

●学習能力の高い子ども(いわゆる要領がよく、もの覚えのよい子ども)は、しばらく反復作業をさせると、コツを覚え、また作業を定型化することができます。そうでない子どもは、いつまでもその定型化ができず、乱れた絵を描きます。このテストはそれをねらったものです。


年中・男児
●かかしを描くにつれて、形が乱れていくことに注意。このタイプの子どもは定型化が苦手で、その分だけ、もの覚えが悪いということになる。
●形の弁別(三角、四角、丸の表現)がまだ苦手。子どもは満4・5歳を過ぎるころから、形の弁別能力が発達する。
年中・女児
●三角のぼうしと、顔の丸はうまく描け、定型化しているのがわかる。体のほうは、まだ定型化することができない。書き順も、そのつど乱れているのがわかる。
年長・女児
●かなり定型化ができるが、作業能力がやや遅い。左から二つ目のかかしで、かなり悩んだ様子が見られる。
年長・女児
●順にスラスラとかかしを描いているのがわかる。2〜3個かかしを描く間に、書き順も自分で決めてしまい、あとはそれに従って描いているのがわかる。そのため作業性も高い。
●このタイプの子どもは、漢字や英単語を覚えさせても、すぐ覚える。頭の中で、形を定型化するのがうまい。またその分だけ、記憶にしっかりと残ることになる。


注意……知能テストは、あくまでも子どもの知能を知るためのものです。
知能テストをたくさんしたからといって、知的能力が発達するということは
あまり期待してはいけません。それはちょうど、風邪薬をたくさん前もって
のんだからといって、風邪の予防にはならないという理屈と同じこと(?)です。
子どもの知能は、生活の場で、五感を養いながら、伸ばします。