はやし浩司

愛読者の方へ
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はやし浩司より……
読者の皆さんへ

長い間、中日新聞で「子どもの世界・こんな問題」を
ご愛読くださり、ありがとうございました。突然ですが、
新聞社のほうから連載を中止するという連絡を受けました。
そのためこの10月はじめをもって、「子どもの世界」は
終了することになりました。が、こうまで長くコラムを
書きつづけることができたのは、新聞社の方たちは
もちろんのこと、読者の方の温かいご支援があった
からです。本当に長い間、ありがとうございました。
この場を借りて、中日新聞東海本社の皆さん、ならびに
読者の皆さんに、改めてお礼申しあげます。
ありがとうございました。

もちろんこれではやし浩司の「子育て論」が完結する
わけではありません。また別の機会で、別の場所で
皆さんに原稿をお届けすることになると思いますので、
そのときはよろしくご支援ください。皆さんの力を借りて、
よりよい日本の未来の礎(いしずえ)となるよう、
これからも私の魂を燃焼させていくつもりです。
(少しかっこいいことを書きましたが、これは本心です。)

なお、もしこれからも私のコラムを読んでくださるという
ことであれば、どうか、デジマガ、E-マガなどの
ご購入をご検討ください。この電子マガジンは無料で、
定期的に皆さんのところに配信されます。加入の仕方など、
詳しくは、このサイトの「リンクのページ」に書いて
おきました。ぜひ、ご加入ください。

またこの9月より、雑誌「ファミリス」のほうで、連載が
始まります。もしお読みいただけるようでしたら、
どうかファミリスをご購読ください。ご購読方法などは、
「ファミリスのコーナー」で書いておきました。
詳しくは、トップページより、お進みください。

はやし浩司

2001年9月記


 「子どもの世界」最終回

●ご購読、ありがとうございました。

 毎週土曜日は、朝四時ごろ目がさめる。そうしてしばらく待っていると、配達の人が新聞を届けてくれる。聞きなれたバイクの音だ。が、すぐには取りにいかない。いや、ときどき、こんな意地悪なことを考える。配達の人がポストへ入れたとたん、その新聞を中から引っ張ったらどうなるか、と。きっと配達の人は驚くに違いない。

 今日で「子どもの世界」は終わる。連載一〇九回。この間、二年半あまり。「混迷の時代の子育て論」「世にも不思議な留学記」も含めると、丸四年になる。しかし新聞にものを書くと言うのは、丘の上から天に向かってものをしゃべるようなものだ。読者の顔が見えない。反応もわからない。だから正直言って、いつも不安だった。中には「こんなことを書いて!」と怒っている人だっているに違いない。私はいつしか、コラムを書きながら、未踏の荒野を歩いているような気分になった。果てのない荒野だ。孤独と言えば孤独な世界だが、それは私にとってはスリリングな世界でもあった。書くたびに新しい荒野がその前にあった。

 よく私は「忙しいですか」と聞かれる。が、私はそういうとき、こう答える。「忙しくはないですが、時間がないです」と。つまらないことで時間をムダにしたりすると、「しまった!」と思うことが多い。女房は「あなたは貧乏性ね」と笑うが、私は笑えない。私にとって「生きる」ということは、「考える」こと。「考える」ということは、「書く」ことなのだ。私はその荒野をどこまでも歩いてみたい。そしてその先に何があるか、知りたい。ひょっとしたら、ゴールには行きつけないかもしれない。しかしそれでも私は歩いてみたい。そのために私に残された時間は、あまりにも少ない。

 私のコラムが載っているかどうかは、その日の朝にならないとわからない。大きな記事があると、私の記事ははずされる。バイクの音が遠ざかるのを確かめたあと、ゆっくりと私は起きあがる。そして新聞をポストから取りだし、県内版を開く。私のコラムが出ている朝は、そのまま読み、出ていない朝は、そのまままた床にもぐる。たいていそのころになると横の女房も目をさます。そしていつも決まってこう言う。「載ってる?」と。その会話も、今日でおしまい。みなさん、長い間、私のコラムをお読みくださり、ありがとうございました。
(はやし浩司のサイト…http://www2.wbs.ne.jp/~hhayashi/) 

新聞掲載記事をそのまま、お読みくださる方は……

 中日新聞の「子どもの世界」の過去に掲載したものが、ここでお読みいただけます。
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