「いちずに一本道 いちずに一ツ事」相田みつを (98/7/13)

数々の色紙等で有名なみつをの自伝。以前はトイレに日めくりのようなものが置いてあってトイレに入るたびになかなかいいこと言うじゃん、と思ってた。そんなこんなで作品の内容はいくつか知っていたが、小説としてはまだ見たことがなかったので、買う気になった。表紙もそこらの文庫と違って気合が入っていたというのもある。
しかし、読んでみるとこれは小説ではなくて自伝なのであった。みつをという人がどういう経緯で色紙などを書くことになったかがわかったに過ぎない。確かに内容も重いし、教訓もたくさんちりばめられているが、へらへら生きてる私にとっては、インパクトがいまいちだ。落ち込んだときや精神的に疲れた時に読めば元気付けられるかも。
しかし、この人の字はなぜこんなに人の心を動かすのか。決して上手とは言えないのに。これなら私でも書けそうだが。でも駄目。私が書いても気持ちが入ってなくて、小学生以下の字にしかならん。へらへら生きてる人にはそれなりの字しか書けないのだ。

「不夜城」馳 星周 (98/7/14-20)

金城武主演映画の元となった小説。歌舞伎町にはいろいろお世話になってるので買ってみました。
健一が最後の最後まで相手を裏切る様は凄い。てっきりハッピーエンドで終わるかと思っていた私まで裏切られた。
新宿が中国人に支配されているのはホント? 知らなかったなぁ。てっきりヤクザ幅をきかせているのだと思っていたのだが。恐るべし、中国マフィア。
中国人と日本人のハーフが日本で生きていく辛さがよく出ている。これがアメリカ人とのハーフだとまだいいのだが、アジア系ハーフだとちょっと辛いかもしれない。著者をまったく知らないのだが、名前からみると、ハーフなのでは。本人の体験がかなり生かされているように思える。私は人種差別の本としても読んでしまった。
これから歌舞伎町にお世話になるのが恐くなってくる・・・

「ゼニの人間学」青木 雄二 (98/7/21-25)

漫画「ナニワ金融道」でおなじみの作家のエッセイ。
漫画とは違って作者の主義・主張が至る所にちりばめられている。この世の中お金がすべてみたいな事が書かれているので、100%は好きになれないのだが、自身の実体験を元に書かれているのでかなりの説得力がある。
資本主義全盛の世の中で共産主義を唱える作者も珍しい。しかし、基本は国民すべてを貧富の無い世界に導こうとしており、問題意識をいくつか提示してくれている作者には感謝せねばなるまい。
やっぱり、売れる漫画はそうは簡単には書けないよね。

「リング」鈴木 光司 (98/7/26-28)

ザ・テレビジョンを毎週買っているため、どうも広告に躍らされて角川の本を買ってしまう。まぁ、映画になってるくらいだからつまらなくはないだろうと思って買ってみた。
読んでみると、結構面白くてすいすい進んでしまう。
あるビデオを見た人が皆1週間後に死んだ。そのビデオを主人公も観てしまったために、必死になってなんとか死なないように悪戦苦闘する、といった内容である。
浅川という一般市民と、竜司というちょっと変わった大胆不敵な人物の2人で謎を解いていく。竜司は一見どうしようもない男に見えるが、重要なポイントを次々について謎の解明に近づいていく。
一見アホにみえて実は賢い。まるで私のようだ。まったくもてないようでも、そういう男にはいつも美しい女性がそばにいるものだ。竜司もしかり。でも私にはそんなかけらもない。
うーん、いったい何が違うのだろう。

「らせん」鈴木 光司 (98/7/29-8/1)

リングとくれば次はらせんと相場が決まっている。
ホラーってあまり読んだこと無いんだけど、前作も含めて推理小説的要素も取り入れられてて、かつこの作品は科学的要素もあるので読んでて飽きない。解説にもあるように、これはもうホラーというジャンルの域を飛び出してますね。
前作で、ビデオを見た人間が死んでしまう謎を解き、主人公の家族の命は助かったと思ったが、その後家族が死んでしまい、謎はまだ解けていなかったということから、物語は再開する。
最終的には今度こそ謎が解けることになるわけだが、それでハッピーエンドにならないところがいい意味で後味悪い。自分の家族の生死をとるか世界平和をとるかというところが前作と共通しているポイントである。あなたならどちらをとるでしょう。世界が平和になるのなら自分の家族は犠牲にしましょうと言えますか?
私だったら絶対社会を犠牲にしてまでも、自分の家族を優先させるだろうな。

「イーストサイド・ワルツ」小林 信彦 (98/8/3-7)

久しぶりにこの人の本を読んでみた。
昔、「オヨヨ」シリーズや、「唐獅子」シリーズを書いてたころは、よく読んでいたが、シリアスな本を書くようになってからは興味がなくなりほとんど読んでなかった。最近はどんなのを書いているのかなぁという興味があって買ってみた。
内容は、50を超えた男が20そこそこの女性を好きになり、結婚していくというもの。これだけだとなんてことはないが、そこは小林信彦。山の手と下町の対比、昔の東京のノスタルジーがあちこちにちりばめられており、まだまだ変わってないなぁという印象を強く抱いた。
しかし、これが女性讃歌の小説だとはあとがきをみるまでわからなかった。こういう本は作者と同年代でないとなかなか理解できないものがあるのでは。それも東京に住んでないとなかなか小説の中に入り込めないです。
それはそうと、私も歳をとってこんな恋愛ができれば、もういつ死んでもいいってもんです。

「返事はいらない」宮部 みゆき(98/8/8-10)

こんな作家がいたのを知らなかったなんて不覚だ。
山本周五郎のような、読後感が心地よい作品が好きなのだが、この本はまさにその路線だ。単なるミステリー作家にしておくのはもったいない。作品をみると時代物もあるし、いろんな賞をとってるので、かなり期待できる。
この本は短編集で、いろんな題材が詰め込まれているが、どれも読んでいて厭味の無いストーリー。下手な人生論を語っている本よりも、この本の方がよっぽど人生に夢と希望を与えてくれるのではないか。なんてのはちと誉めすぎか。
とにもかくにも、私はこの人の作品が好きになってしまったのだ。

「火車」宮部 みゆき(98/8/11-13)

前作がよかったので、山本周五郎賞に輝いた本作を読む。
ストーリーは、ある男の婚約者が突然行方不明となり、探そうとするのだが、そこにはカード破産の人生が隠されていた・・・といった、カード社会ならではの作品だ。
しかし私としては、ちょっと期待外れであった。ストーリー展開がどうものんびりとしている。作品的には確かに面白いんだが・・・。山本周五郎賞をとったので期待し過ぎたか。
話は飛ぶが、今、テレビでこんなにサラ金のCMが流れてるのって異常じゃないの? この本にも書いてあるけど、ちょっと前までは借金なんて、質屋でコソコソしながら借りるもんだったのに、今ではサラ金なんて当たり前って感じで、身分証明所さえあれば誰でも簡単に借りちゃうからなぁ。借りるんなら借りるで、もっと安全に借りられるところ(人)があるでしょうに。他人や銀行で借りられないような金額は借金すべきじゃない。
ご利用は計画的に。

「レベル7」宮部 みゆき(98/8/14-19)

これはめちゃくちゃ面白い。
ある男女が記憶喪失になった状態でマンションの一室に置き去りにされている。彼らの記憶を取り戻そうとしていくうちに、二人はある殺人事件に関わっていたことが明らかになっていく。「レベル7まで行ったら戻れない」という言葉が気になってどんどん読めた。クライマックスになって話の展開が二転三転するので、飽きない。
マンションの一室で見知らぬ奇麗な女性と同じベッドで寝ていて、両者共過去の記憶が全く無い。しかもその部屋には現金5千万円と拳銃がある。こんな状況に陥ったらどうするだろう?
過去の記憶を懸命に取り戻そうとするのもいいけど、お互いゼロから新しい生活を始めるのも悪くないな。こんな世の中だから、下手に自分の過去がわかって再び厳しい世の中に放り出されるよりは、過去のしがらみは全部捨て、気分一新して生活をスタートできたらどんなに気持ちがいいか・・・。
うーん、どうも現実逃避モードに入ってるな。

「狗神」坂東 眞砂子(98/12/28-30)

エロチックな表紙につられて買ってしまった。
狗神というと、「犬神家の一族」を思い出すけど、これもある地方の祟りを題材にした内容。その地方では血が繋がったもの同士が交わると、祖先がよみがえるという言い伝えがあり、それが実行されることによって、奇怪な出来事が発生するという内容。
多少話しが現実離れしているのでいまいちのめり込めなかったが、横溝正史ファンなら楽しめるのか?
こういう小説って、時代設定を昔に戻すか、田舎のまだ未開の土地に場所を設定しないと書けないだろうね。少なくとも東京の真ん中でこんな題材は書けないでしょう。都会だったらコンピュータ犯罪とか、ハイテクを駆使したものになって味気なくなってしまうので、たまにはこんな本もいいかなと。

「ホリー・ガーデン」江國 香織(98/12/30-99/1/1)

んー、やはり私は恋愛小説ってもんは苦手だ。
今まで、恋愛と呼べるような恋愛をしてこなかったからだろう。静枝のようなお互いの立場を理解した恋愛も、ましてや、果歩のような人生がズタズタになる恋愛もしたこともない。
そんなだから、この本も読んでるときはそんなに面白くなかった。でも読みおわってあとからじわじわきました。どこがって聞かれても難しいものがあるけど。
内容は、5年前に破局になった恋愛をまだ引きずっている女性(果歩)と、不倫をしている女性(静枝)のやりとりと、彼女らに絡み付く人々についての出来事が書かれている。
この中で気に入ったのは、静枝が、相手に家庭があり、見知らぬ場所で生活していることを含めた上で相手を好きになったのであり、決して結婚を望んでいるのではなく、今の状態が一番幸せなんだというところ。
こういうふうに人を愛せたらいいんだろうな。(今回は何を言ってるかわからんな)

「贋作師」篠田 節子(99/1/1-1/2)

タイトルを見て、贋作師が人をだまして金儲けでもするのかな、と思ったが、やはりというか、そんなに単純ではなかったね。
内容は、死去した高名な画家の遺品を補修する作業を依頼された主人公が、以前の恋人と画家の間に起きたトラブルに巻き込まれていくというもの。
サスペンスあり、エログロあり、ミステリーあり、と内容は盛りだくさんで、読んでて飽きない。
わたしゃ、美術の才能はゼロに等しいので、とてもこの本に出てくる画家のようにはなれないが、描く作品すべてが億単位の値段が付いてったら笑いが止まらんだろうな。
そこまでいかなくてもいいけど、私も何か取り柄がほしいぞ。

「きらきらひかる」江國 香織(99/1/2-1/3)

苦手なくせにまた恋愛小説を読んだ。 でも、今度のは前作(ホリー・ガーデン)と違ってわかりやすくて、苦手な私としては、こっちのほうが断然よかった。
内容は、ホモと精神障害者の結婚生活の中で、あれこれ悩みながらも、お互いが無くてはならない存在になっていくという話。 何のひねりもなく、ストレートなだけに、私でも楽しく読めた。
まぁ普通は、子供がいらないとかでなけりゃホモの相手とは結婚しないだろうけど、特殊な状況設定だけに、お互いピュアで部分が現われて感動を誘う。
私だって、好き好んで精神障害者とは結婚しないけど、こんな幸せに包まれているなら、そんな人と結婚するのもあながち悪くないな、なんて思ってしまう。
なかなか新年からいい本を読んだねぇ。しばらくラブストーリーでも読んでみるとしますか。

「ラヴレター」岩井 俊二(99/1/3-1/4)

ということで、また恋愛小説。
Swallowtail は映画になってたのを知ってるけど、これも映画になってたのね。
内容は、婚約者を失った女性が、以前彼の住んでいた住所へ手紙を送ったら、意に反して返事が返ってきたところから始まる話し。お互い見知らぬ人を通して、一人の男性を思う姿が書かれていて面白い。
なんか、続けて恋愛小説読んでたらすっかりいい気分になってしまった。TVのラブストーリーもそうだが、今までちょっと毛嫌いしていたが、そう悪くも無いもんだ。
実際、自分のフィアンセが亡くなったりしちゃったら、私なんかいつまでもうじうじしてて、いつまでも過去を引きずってるんだと思うな。女性の方が断然立ち直りが早いと思う。だから、女性を主人公にしたほうがリアルなんだなぁ。
back page