≪A3・HR通信・特別号≫
ルネサンスV 『騰雲』
2005/3/1

敗戦60周年に卒業するキミたちへ
〜一社会科教師のつぶやき〜


この生徒会誌『騰雲』を手にするころ、キミたちは周りの人から「卒業おめでとう」と言われていることでしょう。しかし、現在の日本社会を見渡すと、それほど「おめでたい」状況ではありません。たとえば、イラクへ自衛隊が派兵されていたり、こんな状況だから日本国憲法を変えようよという議論がおこったり……。戦後、日本社会の中で重視されてきた平和とか平等とか人権といった理念が、いま、音をたてて崩れ去ろうとしています。
それに危機感をいだく良心的な人びとは、コワイ顔して「反対!」と叫んでいます。ボクはその考えに共感するものの、方法が違うのではないかと思っています。コワイ顔して「反対!」なんて言っていたら、みんな逃げてしまいます。では、どうしたらよいのか?
ひとつはコワイ顔ではなく、笑顔になる。笑顔の効用については授業で述べたので、ここでは繰り返しません。そしてもうひとつ「反対!」ではなく「平和をつくろう」と肯定的なことばを使う。肯定的なことばはココロの安定をもたらし、「信じられないような力」(イチロー選手のことば)を生み出します。だから、笑顔で「平和をつくろう」と呼びかけることが大事だと思うのです。
キミたちが高校を卒業する2005年は、日本が敗戦してから60年目の年にあたります。戦争のおろかさを骨の髄まで知り抜く日本国憲法のこころを、キミたちの胸に、そして世界に響かせてほしいと思います。
最後になりますが、卒業おめでとう。キミたちの活躍を祈ります。