≪E3・HR通信・特別号≫
ルネサンス 生徒会誌『騰雲』
2008/3/1

清工最後の卒業生のキミたちへ
〜一社会科教師のつぶやきU・「偽」から「技」へ〜


2007年の「今年の漢字」として「」という漢字が選ばれました。その理由として、(財)日本漢字能力検定協会のウェブを見ると「身近な食品から政界、スポーツ選手にまで、次々と『偽』が発覚して、何を信じたら良いのか、分からなくなった一年」であったからとまとめています。あわせて「来年は『看板に偽りなし』の安心できる社会になって欲しい」という希望も述べています。
12月12日(漢字の日)に、「偽」という漢字を揮毫(きごう)した森清範(もり・せいはん)・清水寺貫主は、「こういう字が選ばれるのは、誠に恥ずかしく悲憤に堪えない。分を知り、神仏が見ているのだと自分の心を律してほしい」と語りました(asahi.comより)。ボクもその通りだと思いますし、大人社会のこうした「荒れ」が、現代社会の諸問題を生み出し、子ども社会にも影響しているのだと思います。
それでは、キミたちが卒業し、次のステップに向かっていこうとする2008年は、どんな年としたらよいのでしょうか。
それは、「」ではないでしょうか。資源に恵まれないこの国が、世界でも有数の「先進国」となれた背景には、いわゆる「熟練の技術」、「匠の技」がありました。そうした「技」によって高精度・高品質の製品を世に送り出し、世界からも尊敬される「美しい国」をつくりあげてきました。それは工業の分野に限らず、ボクがここ数年勉強している平和の分野でもそうでしょう。九条に代表される平和憲法が紡ぎ出す平和構築の「技」によって、この国は「国際社会において、名誉ある地位」(憲法前文)を占めてきたのです。その「美しい国」はいまや何処へ……?(ついでに安倍前首相も何処へ?)
工業高校で学んできたキミたちは、この3年間、座学(普通教科も含めて)や実習などを通じて、多くの「技」を身につけ、磨き上げてきました。高校時代に身につけた「技」が、2008年、いや、今後のキミたちの人生において、問われてくると思います。
最後になりましたが、卒業おめでとう。キミたちの御活躍を祈ります。