3学期の授業録


使用教科書/『高等学校 新現代社会 改訂版』清水書院(清水・現社517)

第66回 3年B組金八先生(第2シリーズ)「卒業式前の暴力」A
1981年に放送された3年B組金八先生「卒業式前の暴力」Aを視聴する。加藤優らは荒谷二中に乗り込み、校長らを放送室に監禁し、これまでのことについて謝罪を要求する。そして校長はこれまでのことを謝罪し、解放される。加藤らは警察に捕まり、金八先生たちは加藤らを返すよう警察に求める。金八先生シリーズでは名作中の名作。
第67回 どうする?少年法〜少年法の≪現在≫〜
問題行動をおこした少年たちはどうなるのであろうか?14歳以上に適用される少年法という法律によれば、家庭裁判所での審判を受けることになる。凶悪な場合には、検察庁に逆送され、通常の裁判を受けることもあるという。いずれにしても、少年法という法律は、人格的に未熟な少年を保護し、教育・指導によって更生させるという保護主義の立場に立っている。これは、前回見た金八先生の立場とも通じる見方である。しかしながら、このところ少年による凶悪事件が相次いでいるとし、少年たちを厳罰に処すべきだという世論も高まっている。少年たちによる事件を減らしていくためには、保護主義の立場を維持すべきなのか、あるいは厳罰に処すべきなのか、いま、その岐路に立っている。

『NHKスペシャル 少年院』、加藤好一『公民授業プリント 生徒のやる気をひきだす』(地歴社)

第68回 教育は喜びだ!〜教育を受ける権利〜
第69回 「加藤優」の誕生〜生存権〜
第70回 「新しい人権」って、必要なの?〜新しい人権〜
政府が「国民のみなさんに新しく「人権」を与えます、だから憲法を変えよう」なんて言っている。ジェファソンが言うように、ここは一度疑って見なくてはならないだろう。ねらいは何か、と。なぜなら、そもそも人権・権利を与えようという自民党のみなさんのこれまでの人権・権利に対する態度は、あまりにもヒドかったからだ。環境基本法制定時に「環境権」ということばを拒否したのは、どの政党だったか。情報公開法制定時に「知る権利」ということばを拒否したのは、誰だったか。いまさら、人権・権利を与えますなんて、ウラがあるに違いない。もう一つ。そもそも人権とは、お上から与えられるものではない。私たちが獲得するものである。その点も、忘れがちである。

愛敬浩二「『新しい人権』って必要なの?」(『い・ま・こ・そ・憲法』愛知憲法会議)、『法律時報VOL.7710』日本評論社

第71回 伊藤出張のため、自習
第72回 憲法の「改正」?「制定」?〜憲法改正〜
日本国憲法には、改正のための手続きが述べられている。しかし、なんでもかんでも「改正」できるのだろうか?お化粧・整形程度ならば、まだ、その人といえるだろうが、心まで変わってしまったら、同一の人とは言えない。ところで、「国民投票」については憲法上定めがあるが、@投票権はだれにあるのか?、A「過半数」をどうとらえるのか?、B改正項目が複数ある場合は、一括方式でやるのか、逐条方式でやるのか、などなどまだ、課題が山積している。今年の国会の注目点はこの憲法改正手続き法案です。

芦部信喜『憲法 新版 補訂版』(岩波書店)、浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、森英樹『新版 主権者はきみだ』(岩波ジュニア新書)、水島朝穂『憲法「私」論』(小学館)

第73回 大切な一票、「私」のために〜憲法「改正」〜
高校を卒業していくキミたちに、そして遠くない将来、憲法改正国民投票が行なわれ、一票を投じるかもしれないキミたちに、ぜひとも考えてほしい問題を提起して、1年間の授業の締めくくりとしたい。それは、憲法「改正」の問題。いま、政治家や財界から憲法「改正」の大合唱が聞こえる。安倍首相も先日の施政方針演説の中で、これまで歴代内閣が発言できなかった憲法「改正」について、初めて述べた。ところで、そもそも憲法とは何だったか。誰が憲法尊重擁護義務を負っているのか。いまの改憲論議の中で落ちているのは、その点である。そして、これまで人類は憲法に書かれた理念を実現しようと「努力」してきた。例えば、「平等」がそうである。現実に合わせてなくしましょうなどという動きはなかった。「平和」の問題は、ちがうのであろうか。大切な一票を、「私」のために使いたい。

浦部法穂『全訂 憲法学教室』(日本評論社)、水島朝穂『憲法「私」論』小学館、森英樹『国際協力と平和を考える50話』(岩波ジュニア新書)

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