黄飛鴻(ウォン・フェイフォン)

 今さら言うまでもないだろうが、実在の人物である。

 1847年、清朝時代の中国広東省生まれ。
この1847年という年は日本で言えば幕末、ペリー来航(1853年)前夜、欧米の艦隊が南シナ海・東シナ海へ向け大挙押し寄せていた時代である。
当時の中国は1840年に起こったアヘン戦争によりイギリスの勢力下に入り、1844年にはフランス、アメリカの圧力により開国を迫られている。
1851年には民衆が大蜂起する太平天国の乱が起き、まさに動乱の時代。

 黄飛鴻の父は広東十虎にも数えられたウォン・カイヤン(黄麒英)という人物。
父の黄麒英は、ボランティアで広東将軍所統兵団の武術インストラクターをするほどの人物。「宝芝林」という名前の漢方薬局店と拳法の道場経営で生計を立てていた。
そんななか、黄飛鴻は父や広東十虎のリーダー、リク・アーチョイ(鐵橋三)から南派少林拳洪家拳を英才教育されたのである。

 黄飛鴻は「鉄線拳」「五形拳」「十字拳」など独自の拳法を創出、とくに「無影脚」という技は“影が出来ないほど早い蹴り”と言われるくらい凄い技だったという。
晩年は清朝「黒旗軍」の総教頭や民軍総教練などをつとめ、1924年に77歳で没している。

 この黄飛鴻を国民的英雄に仕立て上げたのは、彼の弟子だったズー・ユザイ(朱愚斎)だ。
ズー・ユザイは小説家で、黄飛鴻の一生を小説にして新聞や雑誌で連載したところ大人気となったのが、そもそもの始まりである。
 この小説のヒットにより、他の作家や小説家達も黄飛鴻に関するものを書くようになり、次々と彼の偉業が掘り起こされていった。
クワン・タッヒンが主演した第1作目の『黄飛鴻傳・鞭風滅燭』は、ズー・ユザイの小説を多少誇張はしているものの、ほぼ史実に基づいた内容だったようだ。

 なお、日本で見ることが可能な主な黄飛鴻映画は以下のとおりである。

 ジャッキー・チェン主演
『ドランク・モンキー 酔拳』
『酔拳2』

 サモ・ハン・キンポー主演
『燃えよデブゴン7』

 リー・リンチェイ主演
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地争覇』
『ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ 烈火風雲』

 ウィン・ツァオ主演
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ4 天地覇王』
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ5 天地撃攘』

 アラン・タム、レオン・カーファイ主演
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ外伝 天地笑覇』


香港映画の世界トップ 香港映画の歴史 香港スター名鑑