平成15年度アカウミガメ産卵情報 IN SAGARA


相良海岸への4WD車の乗り入れは静岡県条例により禁止されています!
アカウミガメは非常に警戒心が強いので、光が見えると上陸できません!
夜間、駐車場等の利用につきましても十分ご留意下さい。

・第1号 5月23日 上陸時間推定午前1時 95個 移植  8月13日孵化脱出 72匹

本年最初の上陸産卵。
この海岸の南端の漁港内盗難防止用水銀灯設置により
砂浜の狭い南側に上陸産卵。
この地点の砂浜の巾は、緩傾斜護岸により更に狭くなっており、
満潮時汀線より10mしかなく、少し戻って7mの地点で産卵。
高潮・台風時にはあきらかに水没するので移植。









・第2号 5月26日 上陸時間推定 午前2時 99個 移植 8月14日孵化脱出 91匹
 
今朝は雨天。相良海岸最南端の砂浜の狭い場所に上陸産卵。
満潮時汀線より僅か7mの位置に産卵、高潮、台風時流失の恐れがあるので移植。


第3号 6月5日 午前3時40分上陸 午前6時15分降海 現状保存 8月25日孵化脱出
 
午前3時40分 白らみがけてきた中上陸してきた。甲長760mm 甲巾615mm の比較的小さな
個体だ。推測するに5月23日のものと同じ個体かもしれない。
標識装着 JPN19812
*この個体は7月17日御前崎海岸にて産卵後、8月2日相良サンビーチにて96個の卵を持ったまま死亡漂着が確認。
8月25日孵化脱出したが、地域住民が良かれと思いカラス
よけのネットで囲ってくれたのが災いして、7個体がネットにからまり、
動けなくなっていた。
午前5時過ぎに発見し、保護放流した。
その頃には、海岸にカラスの姿が見え始め、危機一髪。
8月30日孵化調査時 巣穴内部に死亡個体1、衰弱個体1発見保護。












・第4号 6月10日 推定上陸時間午前2時 産卵失敗
 
初産卵と同じ、緩傾斜護岸設置海岸に上陸。
右上画面右側方向が砂浜が広くなっているが、漁港の水銀灯が新たに設置され、嫌って
砂浜の短い位置に上陸。産卵は失敗した。


・第5号 6月23日 推定上陸時間午前0時 現状維持  116個 水没により全滅(8/31確認)
 
サーファーの居ない月曜日の上陸産卵。
満潮時汀線より49mの位置に産卵したので現状保存。
この海岸は比較的低く、高潮時や大量の降雨時には全面ウエットビーチになり易い。
発生ステージからみて、7月中旬の台風7号の高波により水没した模様。


・第6号 6月25日 推定上陸時間午前2時 現状維持 9月4日孵化脱出
 
連続して上陸産卵が確認されている。
今朝も雨天の中、海浜のかなり上の部分まで上って産卵。


・第7号 6月26日 推定上陸時間午前2時 降海時間4時15分 移植 111個 9月3日孵化脱出
 
川と川に挟まれた場所の土木事務所による水路確保の為、土砂を積み上げた山の上まで上って
産卵しようとしたものの、石ころばかりで巣穴が掘れず、右上写真の山の右側に降りて産卵した。
産卵巣は半分位水没状態であったので移植。
産卵個体は発見時、波打ち際近くまで迫っており、標識装着、体長測定もできず、写真撮影と
標識確認のみ行う。標識無し。


・第8号 7月6日 推定上陸時間午前2時 移植147個 9月8日孵化脱出 89匹  9日:19匹 10日:12匹
夜間観察ツアーの夜。ツアー開催海岸以外の浜で産卵。
夜中に雨が降ったが足跡の雨滴影響具合から、上陸時間
が推定された。
ツアー参加者の1家族がまだ海岸で待機していたので、
上陸痕跡に案内した。


・第9号 7月16日 午前3時上陸 午前4時25分降海 117個 移植 標識装着JPN19818 9月12陥没13日60匹脱出 14日6匹

甲長80cm程度の標準的なウミガメ。
午前3時20分に産卵を始めたが、巣穴と違う位置に産みはじめた為、手で掘って調整。


・第10号 7月17日 上陸時間推定午後10時 産卵失敗(緩傾斜護岸による)

上陸したものの砂浜が狭く、満潮時汀線より護岸まで僅か5mの
位置に上陸。砂浜へ降りる管理道路の下に捨てられたゴミ(雑草のかす)
の周囲に僅かにとどまっている砂(写真左の黒い固まり)の場所まで
上ったものの巣穴は掘れずに降海した。
この海岸は後方の漁港付近は広くなっているので従来はそこで産卵
していたのだが、漁港を拡張した為、盗難防止用水銀灯が旧漁港側
から新漁港側(こちらがわ)にむけて設置された為、上陸できなくなって
しまったようだ。







・第11号 7月18日 上陸時間不明 産卵失敗
・第12号  同日      同     産卵失敗  足跡の測定から同じカメと思われる。
 
昨日に引き続いて緩傾斜護岸設置海岸への上陸だが、緩傾斜護岸のせり出しにより砂浜が狭く
なった海岸では、産卵できない。
昨日の上陸位置より南側600mの地点で上陸、護岸の一番下段にそって30mほど歩いて降海。
その後、その地点より北側のヘッドランド設置場所(写真右)付近に上陸したものの、護岸に阻まれ
産卵できずに降海。


第13号 7月19日 上陸時間推定午前0時 移植(海水浴場内の為)133個 9月15日孵化脱出
 
一昨日からの産卵失敗を心配していた矢先、今度は相良海水浴場中央部に上陸産卵。
満潮時汀線から実に50m以上を歩いて産卵した。
歩幅から昨日、一昨日と同一個体と思われる。
何故か今朝に限って海水浴場進入口の防潮扉が閉じられていたので、夜間の車両の進入が
少なかったのが幸いしたようだ。海水浴場内なので移植。
丁度名古屋から来られた家族の方に掘り取りを手伝ってもらう。(写真右:午前3時20分)


第14号 7月20日 上陸時間推定午前1時 移植(水没流失の恐れあり)113個(内1個破損) 9月14日陥没 15日脱出
 
相良海岸の最南端に上陸産卵。満潮時汀線より17mの位置だが、大潮時には水没する川と川
に挟まれた狭い砂浜だ。
安定帯の植生などが無い為、防潮堤にあたり、戻って引き返して産卵。


第15号 7月21日 上陸時間推定23時 産卵失敗(緩傾斜護岸による)
 
連続して上陸しているが、またしても緩傾斜護岸により産卵を阻まれた。
満潮時汀線より12mの位置で巣穴を掘ったものの、護岸の階段状になったコンクリートにより
産卵できずに降海した。


第16号 7月29日 上陸時間推定午前2時 降海午前3時36分 123個 移植 9月21日孵化脱出
 
相良海水浴場東端の漁港脇に産卵した。
この付近は海水浴場でもあり、高潮時水没するので移植。


第17号 8月9日 上陸時間午前3時 降海時間7時45分 現状維持 標識装着JPN19819 10月8日孵化脱出
  
台風10号接近により暴風雨・高波5m以上の中、上陸してきた。
ところが、巣穴掘りがうまくいかず、7回も失敗・・左肢と右肢の掘る位置が微妙に違う為、途中
で崩れてしまうのである。
観察者(ただ今上陸中連絡システム登者)も隠れて見守っていたが、一向に進展しないので
姿を現したが、そんな観察者には目もくれず、また巣穴掘りを始めたので、やむなく後ろから
近づいて巣穴をうまい具合に掘ってあげたところ、産卵することができた。
5mを越す高波の中を海に帰ってゆく姿は実に圧巻であった。
甲長:808mm 甲幅:638mm
10月8日午前5時巡回時には異常なかったのだが、午前6時半に散歩中の地域住民より通報があり、
海岸に行くと孵化脱出していた。風速10mの曇天の中であったが、気温が18℃と比較的暖かいのが
幸いしてほとんどが海に入った。遅れた20匹を手で海に入れた。
強風の為、カラスなどが居なかったのが幸いしたようだ。親ガメも嵐の中、子ガメの孵化脱出も嵐の中だ。


第18号 8月10日 上陸時間推定午前3時 移植88個(内1個破損) 10月12日移植巣内で脱出できず。3匹放流
 
台風10号の余波の残る朝、連続して産卵した。
通常はサーフアーの車が走り回っている海岸だが、昨日からの高波により、防潮扉が閉じられて
いた為、日曜日の朝にもかかわらず、絶好の産卵条件となったようだ。
ウェットビーチに産卵したので移植。


第19号 8月14日 上陸時間不明 失敗(護岸及び海の家)

相良サンビーチ(海水浴場)への上陸。
画面左側の海の家付近に上陸、建物の下に入って、
まわりこんで、昨年出来た新しい護岸にあたって
産卵できずに帰った。












第20号 8月15日 上陸時間不明 失敗(海水浴場内護岸)

昨日に引き続き、海水浴場の好きなウミガメの上陸だが、
画面左手の海の家の前から上陸して、建物の前を歩いて
右手の建物との間を歩いてきたが、手前まで来て護岸に
阻まれて産卵できずに降海した。












第21号 8月17日 上陸時間不明 失敗(緩傾斜護岸)

14日から産卵に失敗している個体だろう。
夜半、緩傾斜護岸設置海岸に上陸したが産卵出来ずに
帰った。













第22号 8月18日 上陸時間推定午前1時 現状維持
 
産卵失敗し続けていた個体がやっと成功したようだ。
6月25日産卵場所の横を通って、すぐ脇に産卵した。しかし、時期的に孵化できるか
ぎりぎりの日に産卵したので砂の温度を見て人工孵化に切り替えるかどうか検討する。


第23号 8月29日 上陸時間推定午前2時 移植 110個 9月28日人工孵化器へ移行(99個) 10月20日人工孵化
 

砂浜の非常に狭い海岸に上陸。河川の底を浚渫した砂を積み上げた砂山に登ろうとした
が失敗。下に降りて産卵した。河川から5m。汀線から7mしかない位置に産卵したので移植。
しかし、自然孵化限界日は過ぎており、定着次第人工孵化で孵化を試みる。

この産卵巣は自然状態では孵化不能(過去の研究から相良、御前崎における孵化限界
日は8月10日頃とされている。)であると判断された為、産卵後1ケ月後の9月28日に人
工孵化器に移し替え、相良町立菅山小学校4年生のクラスに預けられていたものが、10
月20日に孵化が確認され、マリンロボの海水温チェックの後、10月21日に子ども達の手
で放流が行われた。





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