平成9年度アカウミガメ産卵情報 IN
・第1号 1997年5月23日 午前4時上陸 【8月12日孵化。】
本年最初の上陸だ。一昨年5月19日上陸と同一個体の上陸だ。このカメはいつも朝方上陸する。
一昨年に5月19日、7月8日の2回と今回で3回目だ。何度も出会うとかわいくなる。
4時上陸、4時30分産卵開始、6時50分産卵終了、7時30分降海。総産卵数100個。
・第2号 1997年5月29日 午前1時上陸(推定) 3時30分降海。 【8月10日孵化。】
本年2頭目の上陸だ。午前1時頃上陸したと思われる。上左の写真は午前3時30分降海時のものた。光量がたりず、波間にかすかにカメの姿を見る事ができる。産卵場所が悪い為、保護区画へ移す為、卵を掘り出す作業をしていたらすっかり夜があけて、足跡がクッキリと残っていた。総産卵数 120個。
・第3号 1997年5月30日 午前2時上陸 4時産卵開始 5時産卵終了 5時30分降海。 産卵数120。
【8月13日 孵化】
昨日に続き連続の産卵だ。3時30分の巡回で、確認。まだ穴を掘っている最中なので、暫く離れて観察後、
特徴等を確認した。比較的若いカメで体長約1メートル20の中型のカメだ。元気があるので、産卵時間も短く
降海速度も驚く程速く、見ていた人たちをびっくりさせた。産卵場所が悪い為、保護区画へ移した。
・第4号 1997年6月11日 午前1時上陸(推定)。 産卵数134。【8月22日孵化】
本日久しぶりに産卵跡を確認した。満潮時間が2時55分であり、上陸と降海の足跡から、上陸時間は午前1時頃と推測される。
南海上には、低気圧や台風6号があり、波が高いので、しばらく産卵がなかったが、気温、水温ともに上昇してきたので、今後に期待する。
今回の産卵場所は、海岸から堤防までの距離が20メートル位しかない、海岸が浸食されたところで、カメの足跡は堤防にあたって戻って産卵していた。
場所が悪いので、保護区画に埋めなおした。
産み方がへたなのか、産む環境が悪くなっているのか考えさせられる状況だ。
・第5号 1997年6月22日 午前1時上陸(推定)。 産卵数135。【8月19日 孵化】
・第6号 1997年6月21日 午後11時上陸(推定)。産卵跡をそのままの状態で保護。【8月21日孵化】
沖合の低気圧や台風も去り、今日は朝から梅雨空で雨が降っている絶好の
産卵日和と思っていたら、案の定2頭の上陸が確認された。
1頭は産卵場所の状態が良いので、堀取りをせずそのまま保存(左写真)
したが、もう1頭の産卵は苦労したようで、海岸のビニールなどのゴミでうまく
穴を掘る事ができず、結局3回も場所を変え、かつかなり浅く産卵(5センチ程)
したので、堀取り(135個)後保護区画に移した。
海岸に漂着するゴミが毎年増えるのは困った事だ。
・第7号 1997年6月26日 午前2時上陸(推定)。産卵数117個。降海午前3時45分(確認)【8月19日 孵化】
午前3時20分の巡回で、産卵終了カモフラージュ中のアカウミガメを発見。甲長90cm全長130cmにも及ぶ
中型のアカウミガメだ。丁度干潮時を狙って上陸したような・・・?
産卵場所に草の根が生い茂っていて孵化時に這い出しに困難が予想されるので、保護区画に移した。
産卵数117個。午前3時45分降海した。
と家に帰ると地元の人から、上陸足跡発見の連絡があり、現地へ行ってみると、堤防と海との間が満潮時で10
メートル位しか離れていない所に昨夜の10時前(満潮時)に上陸して産卵しないで降海した足跡でした。
足跡の大きさからほぼ同じカメと推測されるので、干潮時産卵の謎は解けました。
・第8号 1997年7月2日 上陸時間降海時間不確認。 産卵数143個。【8月27日孵化】
昨夜は雲の多いどんよりとした空で、波も穏やかだつたので、満潮時間
(午前3時50分)を狙って海岸に行ったが、3時20分時点で降海したあと
だった。
足跡から甲長1メートル以上の大型のカメと推測される。産卵数も本年1番
の143個が確認された。
海岸への通路上に産卵したので、保護区画へ移した。
いよいよ7月入り産卵の最盛期を迎えます。夏のレジャー時期と重なり、また
梅雨が明けるとカメと逢いにくくなります。(カメも産卵手際がよくなるのか?)
・第9号 1997年7月4日 上陸時間不確認。産卵せず。
7月に入り、産卵も最盛期に入る。しかしながら、最近の4WDの不必要な
夜間の砂浜への乗り入れや、写真に見るような護岸工事により、産卵場所
は年々少なくなってゆく。
写真は最近完成したばかりの海岸へ降りる階段に阻まれて、産卵できずに
そのまま海に帰ってしまった。
6月26日にも同じ場所で産卵できずに帰ってしまったものがあったが、同日
違う場所に産卵しなおしたが、この場合他で産卵した形跡は無い。
海の中で生み捨てる場合もあるというので心配だ。
・第10号 1997年7月6日 上陸時間未確認。降海時間3時15分。
また、場所が悪く産卵できないカメだ。どうやら足跡の大きさから、第9号と同じ個体のようだ。(推測)
5日に上陸すると思って徹夜で、巡回したが、上陸しなかったので心配していたが、また産卵しないで
降海したので多分産み捨てるのではないかな?心配です。デジカメでは撮影できなかったので通常の
カメラで撮影したので、現像したら掲載します。
・第11号 1997年7月7日 午前2時上陸。午前4時15分降海。産卵数149個。【8月29日孵化】
7月4日と7月6日に産卵できなかったカメがやっと産卵した。昨日のものとは
甲良についているフジツボの位置で同個体と特定をしたかったが、写真を
見るとフジツボの位置と数が微妙に違う事がわかったので違う固体と断定。
甲長1メートル 全長1メートル40もある比較的大型のカメだ。
海水浴場の真ん中に産卵したので、保護区画に移した。
・第12号 1997年7月8日 午後10時上陸(推定)午後10時30分降海。産卵せず。
午後10時過ぎに産卵の為上陸したが、産卵場所を何カ所か探した
あと、結局堤防に阻まれて産卵できずに降海したようだ。
本年は潮の具合か夜間の街灯の影響か、産卵適地に上陸する
数が減って、条件の悪い場所(海水浴場、波打ち際、等)にばかり
産卵したり、上陸したものの産卵できずに帰るカメが目立つ。
なにが原因かわからない。
・第13号 1997年7月9日 上陸・降海時間わからず。 産卵数116個。【9月13日孵化】
今朝は、通常の監視巡回区域に入っていない地区からの通報を受けて、また、午前11時から地頭方小学校
生徒の立ち会いのもと、卵の堀取りをおこなった。満潮時の潮位と防波堤の間が5メートル位しかない所で、
通常は産卵しない場所で産卵した。
珍しいのと小学校近くだったので、小学生100人以上の立ち会いのもと、堀取りをおこなった。
・第14号 1997年7月18日 午前3時10分上陸、4時50分降海。産卵数134個。【9月6日孵化】
今朝、曇天の静かな海面から、真っ黒な首がでたと思った瞬間、カメと認識した。
潮、波、天候、などの様子から海岸をパトロールしていたところ、的中!(はじめて)
しかし、最近このページを掲載してから、夜間の砂浜への4WD車の乗り入れが増えた
ような気がしています。カメハメハ王国でも、この公開が仇にならなければ・・・と
心配をしています。特に、アカウミガメの産卵場所も西よりにずれて、産卵できずに帰る
カメも増えています。
今後、王国ではこれらカメの産卵環境を守る為、手段を尽くしたいと考えます。
・第15号 1997年7月19日 上陸、降海時間未確認。 産卵せず。
・第16号 1997年7月21日 上陸、降海時間未確認。 産卵数134個。【9月11日孵化】
7月19日産卵できなかったアカウミガメの産卵だ。しかし、最近護岸工事
を終わり、見てのとおり、観光客にはうけるつくりだが、ここの同じ場所に
何十年と産卵の為に上陸してくるアカウミガメにはいい迷惑だ。
・第17号 1997年7月25日 上陸、降海時間未確認。 産卵数171個。【9月13日孵化】
台風9号の接近により咲昨日より5〜6メートルの高波の押し寄せる中で
の産卵だ。足跡巾からも産卵数からも、本年上陸カメの中では最大級の
もので、甲長1メートル以上のものと推測される。
しかし、写真を見ても分かるとおり、防波堤わきで産卵場所を何カ所か
探して、波打ち際から5メートル位のところに産卵した。
このような護岸工事により、人間の住環境の改善に反比例して、カメの
産卵環境は悪くなるばかりだ。
・第18号 1997年7月28日 上陸、降海時間未確認。 産卵数155個。【9月12日孵化】
台風9号も去り、波が穏やかになった。通常の位置に産卵したが、この場所は昨日日曜日に海水浴客が
サンドバギーで走りまわっていた所。心配なので、保護区画に移した。
・第19号 1997年7月29日 上陸、降海時間未確認。 産卵数114個。【9月20日孵化】
・第20号 1997年7月30日 上陸、降海時間未確認。 産卵数133個。【9月13日孵化】
・第21号 1997年7月30日 上陸、降海時間未確認。 産卵数151個。【9月14日孵化】
本日の産卵は2ケ所とも、防波堤に阻まれながらも、その脇に産卵した。産卵場所を探して、歩き
回った跡が生々しい。やっと産卵も最盛期に入ったようだ。
・第22号 1997年7月31日 上陸、降海時間未確認。産卵せず。 落居海岸(植田さんの通報による)
・第23号 1997年8月 1日 産卵せず。須々木海岸(場所悪い)
・第24号 1997年8月 1日 産卵せず。須々木海岸(場所悪い)
昨日は相良海岸最南端に近い、落居浜から、アカウミガメ上陸足跡の通報
があり、かけつけてみたが、案の定産卵場所を探して歩き回った跡はあるも
のの、産卵しないで降海したようだ。
相良海岸の南端は、御前崎港湾工事や天竜川河川流域整備の影響で、
漂着砂が最近少なくなったのと、沖合50メートルに設置されたテトラポット
や防波堤により、極端に産卵環境が悪くなっている場所だ。
・第25号 1997年8月 1日 上陸、降海時間推定午前1時前後。産卵数124個。【9月19日孵化】
・第26号 1997年8月 3日 産卵せず。須々木海岸(場所悪い)
・第27号 1997年8月 3日 産卵せず。須々木海岸(場所悪い)
・第28号 1997年8月 4日 上陸、降海時間未確認 。産卵数160個。【9月22日孵化】
《上の写真は8月3日 堤防の直前で回れ右!》 《8月4日 160個》
・第29号 1997年8月17日 121個。須々木海岸(台風の大波がかぶる波打ち際)
【10月19日孵化】運が悪く週末の孵化だ。海岸へは4WDのわだちができて、子ガメの降海を阻む。
写真左のものは、まっすぐ海に向かう事ができて、無事たどり着く事ができたが、写真中央のものは
4WDのわだちの中をえんえん100メートルほど歩き、寒さの為、力つきていた。(写真右)
どうにかならないものだろうか。
・第30号 1997年8月17日 99個。須々木海岸。【10月26日孵化】
台風13号の影響を受けて5〜6メートルの大波が押し寄せるなか、
2頭の産卵をみることができた。
昨日までは、お盆で海岸でキャンプをする人が多く、今朝は、
誰もいない海岸であったのが幸いしたようだ。
いよいよ、産卵時期も最終だ。
・第31号 1997年8月18日 産卵せず。須々木海岸
台風13号の高波の中、昨日に引き続いて上陸が見られたが、堤防に阻まれて産卵せずに降海した。
・第32号 1997年8月19日 産卵せず。須々木海岸
干潮時に上陸したと思われるが、満月で明るかったのと堤防に阻まれて産卵せずに降海した。
・第33号 1997年8月20日 産卵せず。須々木海岸
18日から多分同じ個体の上陸だろう。何カ所もボディービットを試した跡があるが、お気に召さないらしく
そのまま降海してしまった。
過去の例からするとこのまま、海中で生み捨てるか、もう一度試みるか?微妙なところである。
このカメが本年の最終産卵となると思う。
・第34号 1997年8月21日 産卵時間未確認。 相良海水浴場 151個。【10月13日孵化】
・第35号 1997年8月21日 産卵時間未確認。 波津海岸 108個。【10月24日孵化】
いよいよ 産卵時期も最終段階を迎えている。
通常の盆過ぎの産卵は珍しいが、台風13号が居座った為か、
現在、波浪がおさまったところで、最終の産卵がおこなわれているようだ。
しかし、気温が低くなり孵化しないかもしれない。
1997年10月13日早朝、約40頭の子ガメが産卵穴の近くで、仮死状態
で発見された。
昨夜の最低気温は10度を下回り、産卵穴から這い出た直後から、体温
の低下をみて、仮死状態になったものと推測。
発見後、波打ち際の水溜まりに移し、蘇生を待ち、約30頭は自力で海
に帰った。
やはり、変温動物であるカメは、低温には耐えられないのだ。
保護しようにも、通年の加温設備が必要となる。残念だ。
・第36号 1997年8月22日 産卵せず。 午前2時(推定) 須々木海岸
・第37号 1997年8月27日 産卵せず。 須々木海岸
例年よりかなり遅い上陸だ。今年は特に3つの大きな台風の接近で
産卵時期がおくれているようだ。
この時期産卵しても多分孵化しないだろう。
しかし、ボディービットまでしたところで、人が来たのか、車が来た
のか、産卵せずに降海してしまったようだ。
・第38号 1997年8月28日 上陸時間 午前3時 降海時間 午前5時20分。産卵せず。須々木海岸。
昨日と同じ個体と思われるが、午前3時の満潮時間を狙って上陸した。しかし、波打ち際から5メートル
位のところでボディービットそして産卵穴堀りに入ったが、5時になってもまだ堀り続けているので、
近くでよく観察してみると、足は動かしているものの殆ど掘れていない。写真右にあるように甲羅には
大きな亀裂が入り、血が滲んでいる。その為か穴堀りが上手くいかないようだ。
5時20分諦めて降海となった。助けてあげたくてもどうにも手のでないはがゆい朝だ。
平成9年度アカウミガメの孵化は10月26日(8月17日産卵)をもって終了しました。
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