平成10年度アカウミガメ産卵情報
・第1号 5月17日 上陸時間推定 午後11時(16日) 産卵数 116個 【8月12日孵化】
今朝はドシャブリの雨だ。本年最初のアカウミガメの産卵だ。昨年は5月23日なので、約1週間程度早い。
今後の上陸に期待したい。
・8月12日早朝(11日夜間)54頭が自力孵化して、駿河湾へ向かった。(産卵〜孵化期間 88日)
・第2号5月25日 上陸時間推定 午前3時 産卵数104個 【8月13日孵化】
大潮、新月、低気圧、雨・・・と条件が揃ったような朝だ。上陸痕跡から、午前2〜3時上陸と推測される。
昨年の台風で、段差ができたところで、登るのに苦労したようだ。
しかし、無事産卵していて良かった。
・8月13日(8月12日夜間)55頭が孵化して、自然放流された。(産卵〜孵化期間 81日)
・第3号 6月5日 上陸時間推定 午前2時 産卵数107個 【8月14日孵化】
この朝、3頭目の上陸産卵だ。最近、上陸が無いので心配していたところ、推定午前2時
の上陸だった。
このあたりの老人が曰く、カメの卵は108個という縁起数量まであと1個の107個の産卵だ。
あと1個ないかと、よく巣穴を探したが、みつからなかった。
今年はまだ一度もカメと会えない。比較的産卵シーズン初期には会える確率が高いのだが・・・
・8月14日お盆の時期に入り、一斉に孵化がはじまる。88頭が孵化。
しかし、海岸でキャンプをする人も多く、何頭かがキャンプの光の方へ歩いていってしまった。
上記写真はテント近くで早朝発見されたもの。(産卵〜孵化期間 71日)
・8月15日午後5時頃、孵化場の近くの海水浴客から、『子ガメが数匹顔を出している』との通報
があり、早速現地に行くと、10匹がまさに巣穴から出ようとしていた。
通報してくれた、若者4名に放流してもらう。彼らは非常に感激して、帰っていった。
しかし、日中出たと見られる2頭(写真右)は干上がってしまっている。
これは、日中曇りで、南の湿った涼しい海風が吹き付けていた為、間違って出てしまったと
推察される。 なかなかドラマが多い。
・第4号 6月13日 上陸時間推定 前日午後11時 産卵数143個 【8月14日孵化】
昨夜遅く、本年4頭目の産卵があった。上陸産卵率100%といまのところ好調だ。
しかし、4WDの走行にも頭が痛い。看板も立てているはずなのに、夜間の走行は止めて
もらいたい。
・8月14日孵化がはじまる。しかし、親ガメ上陸時にも4WD。子ガメ孵化時にも4WD。と
よっぽど4WDと縁があるようだ。幸い轢かれなくて良かった。走っていた若者の注意を促すと
『カメなんかいるんすか?』と屈託がない。説明して理解を得た。(産卵〜孵化期間 63日)
・第5号 6月20日 上陸時間推定午前2時 産卵個数 118個 【8月21日孵化】
昨夜はドシャブリの夜であり、今夜当たりは・・と思っていたら、案の定上陸した。
相良海岸では、最近4WDの夜間の海岸走行が増加しており、ヘッドライトによる上陸妨害が
起きているようだ。だから、雨天などに上陸するようだ。
産卵場所が悪く、素穴の状態からすると150個位は持っていたようだが、118個しか産む
スペースがとれなかったようだ。
・8月20日雷雨の夜 やっと孵化した。激しい雨で、子ガメの足跡が消されて、何頭の孵化
かは確認できなかった。(産卵〜孵化期間 63日)
・第6号 6月24日 上陸時間 午前3時 降海時間 午前4時50分 【8月19日孵化】
本年6頭目の上陸にして、やっと会えた。大潮、新月、満潮と重なった時間にはじめて産卵に訪れた。
産卵位置の確定までにかなり時間がかかっており、そこらじゅう這い回った後があり、3時30分の巡回
で発見(3時40分頃)した時には、巣穴を掘っている最中だった。
甲長約70cm程度の比較的小型のカメ。タグ(標識)の装着は無く。若いのか産卵時間は正味30分
で126個と比較的たくさん産卵して帰っていった。
・8月19日早朝確認 第1陣孵化数 62頭 (産卵〜孵化期間 57日)
・第7号 7月1日 上陸時間 推定午前0時 産卵個数145個 【8月25日孵化】
この朝、7頭目のアカウミガメの上陸だ。
満潮時間からかなりずれて上陸した模様。
産卵個数は145個で、比較的多いほうだ。
この月は流木が多く、上陸時、降海時ともに流木を
さけながらの産卵だった。
でも、4WDの轍がまだ横切っている。
・第8号 7月9日 上陸時間 推定午前1時 産卵失敗
本年8頭目の上陸だ。
産卵位置まで登ったが、犬が来たようで諦めて帰ってしまったようだ。
例年7月が最盛期になるのだが、ペースが遅く、心配だ。
・第9号 7月11日 上陸時間 推定午前2時30分 降海時間 午前4時50分 産卵数58個
午前3時30分の定時巡回で発見!昨夜からの雨で、砂が湿っていたのと、海水浴場の駐車場まで登った
のが災いして(たぶんそこで、街灯やコンビニの光を見た)58個の産卵をして、波打ち際まで約20メートルほど
のところで、再度ボディーピットしたが、砂の水分が多いのと、疲れてしまったのか、そのうち夜が明けて、
カメハメハ王国『ただいま上陸中で〜す。連絡しちゃうシステム』通報者、約10名の見守る中、降海した。
・第10号 7月16日 上陸時間推定11時(15日) 産卵数 80個【9月5日孵化 73】
本年10頭目のアカウミガメの上陸だ。昨年よりややペースダウンであり、産卵数が少ない。
しかし、海岸近くの企業の防犯灯の向きを変えてもらった為、上陸位置が通常の所まで
戻ってきたのは嬉しい。
・第11号 7月17日 上陸時間推定午前3時 降海4時30分 産卵数 60個【9月7日孵化34】
この日は雨が降っており、4時からの巡回で、4時10分降海途中を発見。
甲長95cm 全長110cm 程度の比較的大型のカメだ。しかし、産卵数は60個にとどまった。
最近の上陸個体の産卵数が少ないのが気になる。水温が低いのが原因かも?
・第12号 7月21日 上陸時間推定午前2時 産卵数116個【9月12日孵化】
7月になっても、本年はペースが遅い。
4WDによる上陸妨害が起きているのか、水温が低いのが原因か
わからないが、昨年より少ないようだ。
特に昨日のような、祝日、休日には夜中に花火や4WDの乗り入れ
が頻繁に起こっているので、上陸はまずしない。
昼間は海水浴で楽しむのだから、夜位は静かにしてやれないもの
なのかな。
・第13号 7月23日 上陸時間推定 不明 産卵数122個【9月12日孵化】
梅雨前線が南海上にあり、波の高い朝だ。
満潮が明け方なので、砂浜が極端に狭くなっている。
一度、草地帯まで上がろうとして、出来なくて下に産もうと産卵巣位置
を探すが、適当な位置がみつからずに、再度上の草地に上がって
産卵した。
・第13号 7月27日 上陸時間推定2時 産卵数120個 【孵化せず】
この朝、13頭目のアカウミガメが上陸した。やはり週末は避けての上陸だ。
海水浴場に比較的近い位置に産卵したのだが、ここは、ある会社保養所の防犯灯が海岸にまで
射し込んでいたので、申し入れて、防犯灯の位置を変えてもらつたところで、成果が出たようだ。
しかし、4WDの轍の上をカメが歩いた姿を想像すると可哀想でならない。
・第15号 7月28日 上陸推定時間 午前0時 産卵失敗
2夜連続の上陸だ。
しかし、川が大きく西に蛇行している場所に上陸した為、
産卵巣を掘る位置も見つからず、川と海の間を2往復して
帰っていった。
・第16号 7月29日 午前3時上陸 4時30分降海 産卵数 20個(奇形)
午前3時30分の巡回で産卵中を発見。しかし、どうみても場所が悪く
他のカメなら産卵しない場所で産卵していた。
案の定、産卵巣穴を掘ってみると、水びたしだ。それに卵は20個しか
なく、全て奇形だ。本日、名古屋港水族館に持ち込み、アドバイス
を得る事にする。
甲長80cmの比較的、若く、小さなカメだ。標識無し。
10月6日名古屋水族館より連絡があり、この卵は全て腐敗して
孵化できなかった旨の連絡がありました。浜松のサンクチュアリ・ジヤパンさんや日本ウミガメ協議会
に問い合わせても、産卵数(20個)と全て奇形の産卵というのは例が無いとの事で、原因の推測も
できない。
・第17号 8月5日 上陸時間 未確認 産卵数101個 【9月28日孵化】
この朝、久しぶりにアカウミガメの上陸産卵があった。
満潮時間が午前2時頃なので、上陸痕跡から、上陸時間を推定する
ことはできなかった。
砂浜のかなり上部に登ってきて、草地帯に産卵しようとしたが、草に阻まれて
思うように巣穴が掘れず、何カ所も探して、人が歩く草の無い場所に産卵した。
保護区画に移す為、堀取りをしたが、産卵数は101個と比較的少ない。
9月28日の朝(9月27日夜)8月5日、7日産卵の巣が一斉に孵化した。
昨日は一日中降雨があり、孵化時間は推定できない。
しかし、巣穴にはポッカリと穴が開いており、多くの子ガメが一斉に海にむかった
様子が分かる。
このように、ウミガメは人の見ていない夜間に、『ひっそりとした産卵から孵化への
ドラマ』を繰り返して来た。この中の雄は、たとえ生きながらえたとしても、二度と
陸地に上陸することは無い。
・第18号 8月7日 上陸時間 未確認 産卵数107個 【9月28日孵化】
大潮の朝、18頭目のアカウミガメの産卵があった。
左の写真は最初の巣穴堀の途中、失敗したものだ。
中には、ストローが出てきて、これが気に入らないらしく、別の
場所へ巣穴を堀りなおして、産卵した。
現在の海岸清掃は、砂の中へゴミを埋めるのだが、ビニール、プラスチック
類は、ずっと残ってしまうので、今後の掃除の仕方も問題になろう。
この朝、先日名古屋からツアーに見えた今飯田さん他1名の姿があった。
暗闇の中、名古屋から、わざわざアカウミガメを見に来てくれた。
とても、マナーの良い青年達だ。また見に来てあげて下さい。
9月28日の早朝、昨夜孵化した巣穴のきんちゃく型の肩の部分に引っかかっていた
要領の悪い子ガメを見つけて、巣穴から出してやると一目さんに海に向かった。
気温も日に日に低下してきており、夜間脱出時の気温が10度を下回ると、巣穴から
せっかく出ても、海に辿り着く前に体温の低下により、動けなくなってしまう場合がある。
本年はあと、一巣を残すのみとなった。
・第19号 8月15日 上陸時間推定午前1時 産卵数86個 【孵化せず】
この週はお盆休みで、海岸でキャンプする人も多く、夜中にたき火や花火
が頻繁にあがるので、上陸は無いものと思っていたら、天候が思いの外悪く
この日にはかなり、夜の人出も減って、産卵に至ったようだ。
産卵も最後の週位になるだろう。
・10月18日の孵化率調査を待って、全て平成10年度の上陸調査は終了しました。
総産卵数1,729 総孵化数1,158 孵化率66.98%(実効孵化率80.14%)
産卵不能巣 4/17(内 1 極反転、内 1 全奇形、内2 無精卵)
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