平成11年度アカウミガメ産卵情報 IN SAGARA


夜間の相良海岸への4WD車の乗り入れ遠慮ください!
アカウミガメは非常に警戒心が強いので、光が見えると上陸
できません!

・第1号 6月4日 午前2時30分 産卵数103個  8月16日孵化 76匹脱出
 
本年の初上陸・産卵だ。昨年より2週間以上遅い。
午前4時7分に無事降海。波打ち際から約20メートルの植生に登れないので戻って産卵。
保護区画に移植。
標識装着 JPN19801



第2号 6月9日 午前4時30分 産卵数102個  8月14日孵化 118匹脱出
 
6月9日午前6時30分、通常の巡回区域外からサーファーによる通報にて産卵中のウミガメを発見。
甲長80センチ全長1メートルあまりの平均的なアカウミガメだ。
しかし、この海岸は漁港防波堤により、砂浜の減少のひどい所であり、通常満潮時には砂浜は、
僅か5〜6メートルになってしまう所であり、防波堤工事による玉砂利により、産卵巣上部の深さは
僅か10センチ程度であり、通報者と相談のうえ、保護区画に移植した。
甲長 81cm 甲巾 69cm 全長 104cm 標識装着 JPN19802



第3号 6月12日 午前3時30分  現状保存のため数量不明   8月17日孵化
 
6月12日午前3時30分の定時巡回で、巣穴堀り中のアカウミガメを発見。
全長1メートルあまりの比較的若いアカウミガメだ。
砂浜上部の植生帯で安定的な産卵をみることができた。
ただ、このカメは後肢の左側が、奇形か怪我で短くなっており、巣穴堀の時間が1時間に及ぶ
ものであり、最初に掘った巣穴には発泡スチロールがでてきて、そこを諦めて2回目の巣穴
で産卵した。土曜日ということもあり、10人程度に連絡をして見守りながらの2時間であった。
6時20分降海。
甲長 82cm 甲巾 64cm 全長 103cm 標識装着 JPN19803
9月12日 堀取り調査 総産卵数113個 内未ふ化卵5個



第4号  6月15日 上陸時間不明   現状保存のため数量不明  孵化不能(無性卵?)

通常の巡回区域以外の場所で、16日の早朝発見。
24時間以上経過しており、移植はせず現状維持。
しかし、この場所は一昨年緩傾斜護岸工事をしたところで、
砂浜が更に狭くなっている場所であり、台風等の高波
が来た場合は、流失の危険性が非常に高い。
9月12日掘取り調査 総産卵数97個 内未ふ化95個
2ふ化幼体は脱出途中(同日放流)
未ふ化卵95内8個は発生途中死滅(初期発生停止2、中期
発生停止4、ふ化直前死滅2)
原因は初期水没と思われる。その後飛砂により産卵巣上に
10cm砂の上乗せがあった。






第5号  6月25日 午前4時上陸 5時30分降海 現状保存 129/137 8月27日孵化
 
午前3時30分巡回時には、上陸しておらず、午前4時前後の明るくなりはじめた頃、上陸してきた。
砂浜の広い所で、上部植生帯まで登って産卵をしたので、保護区画へは移植せず、現状保存。
甲長83cm、甲巾67cm、全長1mの標準的な大きさのアカウミガメだ。
前肢、後肢とも健全で、標識が認められなかったので、左前肢に標識装着。
王国国民限定サービス『ただ今上陸中!!連絡しちゃうシステム』により、4家族8名の見守る
中、産卵を終えて降海した。
8月27日一斉に孵化する。孵化幼体126匹が一斉に脱出。3匹が巣穴に取り残される。
残り卵8個が孵化不能卵だ。実に孵化率95%を超える。
甲長 83cm 甲巾67cm 全長 100cm 標識装着JPN19804



第6号  6月26日 午前1時上陸 午前1時30分降海(推定) 産卵せず

昨日に続いて、アカウミガメの上陸があった。
しかし、浜ガケの出来ている場所で、2度ほど
上部の植生帯に登ろうとしたが、果たせず、
そのまま降海した。
足跡から、かなり若い元気の良い個体である事が
推察される。
ボディーピットをした痕も全く無く、さっさと諦めて
帰ってしまった。









第7号  6月28日 午前2時30分上陸 午前5時降海 産卵数137個  8月27日孵化 55匹脱出

午前3時30分の定時巡回で、産卵中のアカウミガメを
発見。河口と海岸堤防のつながっている内側で産卵。
写真の向こう側が海であり、手前には水門の建家を囲む
金網のフェンスがあり、産卵場所の下はコンクリートが出て
おり、コンクリートの所まで掘って産卵した。(可哀想)
だから、この巣穴はフラスコ状の形状をしていた。
帰りはまた、たいへんで、私一人ではらちがあかず、王国
の大王と大蔵大臣を呼びだして、みんなで持ち上げて海
に帰してあげた。重かった事。そしておとなしくしていないこと。
これで、竜宮城への道へ一歩近づいたような・・・
甲羅の上には、標識装着用のプライヤーがのせてある。
標識装着 JPN19805





第8号  7月2日 上陸時間不明 産卵失敗
 
本年8回目の産卵だ。4回目と同じ海岸での上陸だが、心配していた事が的中した。
地域住民の海辺とのふれあいを目的とした『緩傾斜護岸』の設置により、産卵できなかった。
この海岸は、右上の写真のように静岡県の『ふるさと海岸整備モデル事業』として、一部の海岸が、全て
緩傾斜護岸にされてしまい。海側へ約4メートルせり出したので、砂浜の減少により、事実上、ウミガメ
が産卵出来なくなってしまった。このモデル事業は、『人と海辺とのふれあい』・・・などうたっているが、
左上写真で見られるよう、南風の強い日には、後背地への飛砂が増加し、それを防ぐ為、防風ネット
が設置された。これにより、住民は完全に海辺と隔離されたと言っている。
みんな、文句をブツブツ言っているが、『お上』にはなかなか言えない。



第9号 7月5日 上陸時間 午前0時(推定) 産卵数124個  8月31日孵化 83匹脱出
 
本年9回目の上陸で、産卵した。多分7月2日の産卵失敗と同一個体と思われる。(証拠は無い)
上陸しても産卵できない緩傾斜護岸を諦めて、他の場所に産卵したのは賢明だろう。
3日、4日と監視を強化していたものの、この場所はサーフポイントな為、土日は夜間の車両の乗り入れ
が多く、月曜日になってしまったようだ。通常、産卵に失敗すると2日以内に再上陸する(過去のデータより)
のだが、このことからも、車両の光を嫌って沖合で待っていた事がわかる。
この場所は、上左の写真をみても分かるように、砂浜は僅かしかなく、東側30mに海水浴場が
設置されている為、保護区画へ移植した。



第10号 7月10日 午前0時(推定)  現状保存の為、数量不明 8月31日孵化
 
本年10回目の上陸だ。上部植生帯まで、苦労して登り、産卵した。
草の根がはびこっている所に産卵した。数が多いのか、巣の上部は、地表より僅か10cmの
ところにあったので、砂を少し足し増ししてあげた。
足跡がクロスしている。
9月12日掘取り調査 総産卵数90個 内未ふ化卵30 白アリ確認





第11号 7月12日 午前2時(推定) 産卵数 114個 移植  9月3日孵化 50匹脱出

いよいよ産卵上陸も最盛期を迎えつつあるようだ。
大潮で満潮時間が午前3時50分なのだが、例年最盛期
にはウミガメとなかなか会う事ができない。
それに、この場所は緩傾斜護岸の設置海岸で、砂浜の長さ
が極端に短い。
本年は、巡回監視区域も例年の2.5kmから6.7kmに
(内、約2kmは港湾及び港湾により砂浜の無い海岸なので
 実質4.7kmになる)
拡大しているが、傾向としては減っているようだ。








第12号 7月14日 上陸時間不明 産卵失敗  
 
本年12回目のアカウミガメの上陸だ。8回目の時と同じ海岸で、ここは緩傾斜護岸が建設されており、
極めて砂浜の狭い場所である。
現在は大潮の満潮時近く、この後満潮になり、足跡は全く水没した。
この海岸に本年上陸があるのは、後背地にあるリゾートホテルが倒産して、無灯火となった事と、
防砂ネットの設置により、後背地の民家の明かりや国道を通行する車両の光を遮断している為
と考えられる。しかし、可哀想だ。



第13号 7月15日  上陸時間不明 産卵数128個 8月31日孵化 97匹脱出
 
昨日に引き続き、上陸だ。昨日の上陸位置から僅か50mほど離れた場所に上陸産卵した。
しかし、この場所も砂浜は狭く、緩傾斜護岸が張り出し、3回護岸にあたって引き返す途中で
産卵した。この写真は午前4時30分で、急いで卵を掘り出し移植。この後、満潮になり産卵巣
は水没した。昨日のものと同一個体と思われる。
右の写真には後背地のホテル(7階建て)が写っているが、倒産状態のまま放置。
昨夜は、このホテル右側の民宿で宴会をしており、22時頃見回ったが、上陸していなかった
ので、今朝の上陸と思われる。



第14号  7月16日 午前2時上陸(推定)  産卵数162個  9月3日孵化 53匹脱出

上陸産卵の最盛期に入った模様。
もうすぐ、1回目の産卵個体も2回目の産卵行為に
入る頃だ。
しかし、例年そうだが、この時期になるとウミガメに
会うのが難しくなる。なかなか会えない。













第15号 7月21日  上陸時間不明  産卵数96個(内小玉1、破損1) 9月9日孵化 59匹脱出
 
心待ちにしていた、海水浴場への産卵だ。
海水浴場中央付近の海の家の欠けた部分へ上陸産卵した。最近は後背地のパチンコ店の
駐車場の明かりや自動販売機の明かりによる上陸産卵の減少していた場所だった。
なかなか、左の写真では、海水浴のお客様へと題した看板の横を上陸している。
この看板には『環境保護のため、ゴミの持ち帰りにご協力下さい』と書いてあるが、産卵後
この看板を見ながら『そうだ!そうだ!』頷きながら帰ったのだろうか?!
やはり、ウミガメは私たちの生活の身近に居るんだと感じさせられる一時である。



第16号 7月23日  上陸時間推定午前1時  現状維持の為数量不明 9月12日孵化確認

今朝は相良海岸というより榛原町海岸に上陸だ。
この場所は砂浜が比較的長く、植生も豊かな場所
で、かなり(200m位は歩いている)歩いて、産卵した。
通常は殆ど上陸しない場所である。
9月12日孵化確認。9月19日孵化率調査。
総産卵数99個、(内既脱出92、脱出途中3)
未孵化卵 4個、(内発生途中停止2、発生無し2)
孵化率92.9%










第17号 7月24日  上陸時間推定午前0時 現状維持の為数量不明 9月12日孵化確認

昨日に引き続いて、殆ど同じ場所で産卵が見られた。
上部植生帯との浜ガケにより阻まれて、海の方を向いて
産卵した。
この場所は砂浜が広く、直線でも70m以上あり、かなり
の距離をあるいた事がわかる。
9月12日孵化確認。9月19日孵化率調査。
総産卵数115個、(内既脱出56、脱出途中1)
未孵化卵 58個、(内発生途中停止7、発生無し51)
孵化率49.5%
産卵場所が植生の下部であり、降水や高波により水没
した可能性あり。








第18号 7月26日  上陸時間推定午前2時  産卵失敗(ゴミによる)

本年18回目の上陸だ。
通常の巡回区域から拡大位置に上陸した。
しかし、砂浜上部の植生帯まで登ったものの、この海岸
は漂着ゴミをはじめ、地元の人々の捨てるゴミで覆われて
おり、巣穴は掘ったものの、ゴミが多くて産卵せずに降海
してしまった。
巣穴の状態を確認したところ、流木の腐ったものがあり、
カブトムシの幼虫のようなものが、中から出てきた。
このあたりでは、砂浜が集落より離れており、昔から
海岸はゴミ捨て場として利用されてきた関係から依然として
その習慣のうえに生活している人もあるようだ。
ちなみに写真左側に見えるのはエアコン室外機。





第19号  7月27日  上陸時間推定午前3時  産卵失敗(浜ガケによる)

台風の影響で波が高い。
相良海岸の産卵最適位置だが、浜ガケの上に登ろう
と3回試みた痕があったが、いづれも果たせず。
産卵できないまま降海した。














第20号  7月28日 上陸時間推定午前2時  産卵数130個(内、小玉1) 全巣孵化不能

台風の影響で高波が押し寄せている。
この中を26日失敗した個体と同じものと思われる個体
が産卵した。
全く同じ位置での上陸だ。
偶然なのだろうか?5メートルを越す高波の中を3メートル
以内の誤差で上陸している。
狙って上陸したとすると、その視力(0.3位と言われている)
に頼って上陸するのだろうか?実に不思議だ。









第21号  7月31日 上陸時間推定午後9時   産卵数 現状維持の為不明 9月21日孵化脱出
            総産卵数156 内孵化脱出 100匹
第22号  8月1日  上陸時間推定午前3時   産卵失敗
 
一晩に2頭の上陸があった。右上のものは、上陸場所が悪く産卵失敗。
左上のものは、上部植生帯頂上まで登って産卵した。



第23号  8月2日  上陸時間推定午前2時  産卵数 現状維持の為不明 10月3日脱出確認
総産卵数100個 内孵化96個 発生途中死亡4個 孵化率96%
第24号  8月1日  上陸時間推定午後10時 産卵数 現状維持の為不明 9月19日脱出確認
総産卵数約36個 内孵化脱出33個 モグラ食害有
 
昨日に引き続き1晩に2頭の上陸産卵だ。
両方とも植生帯まで登って産卵したので、現状維持。
特に、右上のものは、昨日の失敗したものと同じ個体と思われる。
浜ガケのかなりの勾配の斜面を登っている。
9月19日孵化調査。須々木(右上)総産卵数36(内既脱出33、未孵化3)孵化率91.7%



第25号  8月4日  上陸時間推定午前0時 産卵数82個 全巣孵化不能

本年25回目の上陸だ。
漁港の西側の砂のたまった所に上陸産卵した。
















第26号  8月7日  上陸時間推定午前2時 現状維持の為産卵数不明 10月3日脱出確認

総産卵数159個内孵化123個 孵化率77.3%
本年26回目の上陸だ。
台風の影響で波浪が高い中、上陸した。
本年は産卵位置が比較的高く、地元の人によると
今年はデ〜カイ台風が来るという。
昔からの言い伝えらしい。
でも、カメにとっては何の関係があるのかな?
そろそろ産卵シーズンも終盤を迎えた。










第27号  8月9日  上陸時間推定午前1時  産卵失敗

浜ガケのひどい場所へ上陸した。
しかし、再び登ろうともせず、またボディーピットもせず、
いとも簡単に降海してしまった。
汀線から僅か10メートルだ。














第28号  8月10日  午前3時  産卵失敗

昨日と同じ個体と思われる上陸だ。
昨日失敗した場所から東側に20メートル程度の所に上陸したが、
浜ガケに阻まれて4回上部植生帯に登ろうとしたが失敗。
降海してしまった。
入水時撮影したのだが、ストロボ光量足りず写っていないが、
足跡くらいは分かる。
台風の影響で4メートルの高波で東の風が10メートル以上
吹いている。
2日前、行方不明の海水浴客はまだみつかっていない。








第29号  8月11日  上陸時間推定午前1時  現状維持の為数量不明 10月2日孵化脱出
総産卵数88個 内孵化84個 孵化率95.5%
第30号  8月11日  上陸時間推定午前3時  産卵失敗
 
今朝は、午前2時からの巡回としたが、時すでに遅し。既に産卵後であった。(左写真)
卵の確認作業に手間取った為、別の場所のカメさんも見逃した。残念!
右側のものは、植生の中にゴミがいっぱいで、どうやら、ベニア板の上でボディーピット
をしようとした跡があり、産卵しないで帰った。また、この海岸は夜間から車両が走りまわって
おり、その光が影響したのかもしれない。



第31号  8月12日  上陸時間推定午前2時  産卵失敗

昨日失敗したものと同じ個体と思われる。
今回は巣穴の中に石が出てきた為、産卵しないで
降海した。
写真巣穴左上部に見える石がそれだ。














第32号  8月12日  上陸時間推定午後9時  産卵失敗
第33号  8月13日  上陸時間推定午前2時  現状維持の為数量不明 10月3日産卵巣確認
全巣孵化不能(発生無し) 総産卵数143個 孵化率0% 原因不明
 
左側の写真が午後9時頃上陸したものの、海水浴客かサーファーが花火でもしにきたのだろう。
産卵しないで、帰ってしまった。
そこから、1キロメートル西へ、ジャリ間なのだが、上陸し、上部植生に産卵した。



第34号  8月15日  上陸時間推定午前1時  現状維持の為数量不明

産卵も最終段階に入ったと思われる。
総産卵数143 内孵化脱出1匹

















第35号  8月17日  上陸時間推定午後10時  現状維持の為数量不明
総産卵数130 全巣孵化不能
緩傾斜護岸の海岸に産卵だ。
しかし、この産卵時期だと孵化は10月下旬。
積算温度が足りても脱出時の気温の低下により、海
まで、たどり着けない可能性もある。
通常巡回終了まであと3日。
これが、本年度最後か???












第36号  8月19日  上陸時間推定午前0時  現状維持の為数量不明
総産卵数120全巣孵化不能 白アリ食害による
20日で定時巡回を終了するつもりなのに、まだ
上陸してくる。
この頃の卵の孵化には2ケ月以上かかるので、
10月下旬、下手をすると11月になるか、孵化
できないかもしれない。
でも、砂浜上部の植生まで登って、しっかりと
卵を産んであった。










第37号  8月28日  上陸時間不明 現状維持の為数量不明

  
巡回終了後だが、本日の王国祭を祝して、上陸産卵があった。
しかし、孵化できないだろう。

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