松島園の所在地は静岡県榛原郡川根本町元藤川字小井平ですが、
昔は恋代と書き(こいだいら)と呼んでいました。
そのいわれは、この地に昔から伝わる伝説からきています。その話を少し紹介いたします。
この地は東に大井川、西に榛原川(その昔は藤川)が流れ、その度合いの高台にあります。
その昔大井川上流の山奥に、人目を避け落人が住んでいました。
年頃の若者が恋に落ち、一緒になることが許されず駆け落ち同然でたらいの船で水多き大井川を
下流に向かい漕ぎ出しました。急流の中、大岩をよけ深い谷底を抜け今にも転覆しそうな
たらいの船で下流へ下流へと流れてきました。
川幅も次第に広がり流れも穏やかになってきた頃、榛原川との合流地点で岸にたどりつきました。
上を見ると平坦な台地が見え、二人はその地に上ってみました。
(榛原川と大井川の合流点に我が家の茶畑がありますが、ここを昔から恋登りといっています。)
日当たりもよく東と西に川があり、あまり人目に付かない土地であることがわかり、ここを二人
の永住の地と決め生活を始めました。
この二人の名は、夫は「川島」、妻は「柏木」といいます。
それから二人は、誰にも気兼ねしない平和な毎日をおくっていまいた。
ある年、それは今までにない寒い冬の訪れでした。雪が降り野の作物は枯れこの冬はどうして
過ごしていこうかと二人で考えました。
いつもは近くの山で獲ることができた鹿も今年は現れず、夫川島は雪深い榛原川の奥に鹿狩り
に行くことになり、7匹の犬と共に山へと分け入り獲物を探しにいきました。
何時になく獲物の姿が見当たらず、川島は妻柏木のためにどうしても動物を捕って帰らなけれ
ばと思い、訪れたこともない山奥に入り込んでしまいました。
険しい山と深い雪に閉ざされ幾日も山をさ迷い、食べるものさえ底をつき、疲れきた川島は7匹
の犬を許しを請いながら食べ飢えを凌ぎ獲物を探しましたが、慣れない山と深い雪に閉ざされ
ついに力尽き帰らぬ人となりました。
恋しい夫の帰りを幾日も幾日も待つ柏木は、裏山の高台に毎日毎日登り今日か明日かと夫の
帰りを待つ日々でした。(今も榛原川の奥が見える裏山の平坦な土地があります。そこを恋の代
と呼んでいます。)
それから幾日たった頃か、やせ細った犬が柏木のもとに何かをくわえてよたよたと現れました。
よく見るとそれは夫川島の片腕だったのでした。
柏木はそれからは一人悲しい日々を送りました。
後の恋代に住み着いた人々が小さな社を作り、柏木大権現として今も旧暦の10月10日に
お祭りをし供養をしています。
夫川島も「川島さん」と呼んで、榛原川源流の川の中州にある大きな岩の上に祭られています。
我が小井平にはこんな伝説が伝わっております。
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平成25年10月24日
今年も柏木大権現
のお祭りが行われました。 |
「女の神様の為」女性は
お札で清めてから
お参りをします。 |
私たちの菩提寺
観天寺の秋です
この寺の境内に
柏木大権現があります。 |