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●Nikomat FT2●



※右軍艦部の「FT2」のロゴは、私がレタリングした物で、オリジナルには存在しません。

 1975年に登場したNikonの普及モデル一眼レフです、「Nikomat」とはNikonの普及モデルに付けられた愛称で、以前には「Nikkorex」や海外では「NIkkormat」などのブランドもあります、「Nikomat」を調べるとNikonの普及モデル一眼レフの大きな発展が勉強できます、Nikonの最高級一眼レフ「Nikon F」・「Nikon F2」のレンズであるNikkorレンズシリーズの普及にも大きく貢献しました。「Nikomat」シリーズが登場する以前のそれまでのカメラは、一般に露出計は内蔵していないため、露出計をボディに内蔵、TTL測光(レンズを通った光を露出計へ伝える)への進化、中央部重点測光、電子制御シャッター、縦走り羽根シャッター(高速シャッターによるシンクロへの対応)、ストロボホットシューの装備、Ai方式(レンズの解放F値と現在設定されているF値を同時に露出計へ伝える)などは「Nikomat」シリーズで進化されていった物です、このFT2はAi方式ではない最後のモデルになるので、「Nikomat」の最大の特徴である「ガチャガチャ」を備えています!(次のモデルのNikomat FT3はAi方式のためガチャガチャはありません)、またTTL測光、中央部重点測光、ホットシュー、を備えています、シンクロ(ストロボに同調できるシャッター速度)は当時としても高速な1/125sに対応しています。昔のカメラなので少し重いです、FT2は機械制御シャッターで、シャッターを切ったときの音はメカニカルな感じが凄くかっこいいです。

 このカメラは私が中学生だった20年前に、25歳年上の従兄から借りていた物、当時天体に興味を持ち出していた私は、天体写真にも手を広げこのカメラを借りて一生懸命下手な天体写真をとり続けていました!、高校へ進学と同時にお人好しだった従兄から半ば強引に「進学祝にくれ!」と言って無理矢理貰ってしまいました(爆)。最近はシャッター設定ダイヤルを動かすと露出計が振り切ってしまうと言う不具合もありますが、それ以外は問題もなく主に天体写真用として今でも現役で活躍しています、ボディーはほとんど傷が無く25年経った今も良好です。昔のNikonらしく角張ったデザインが気に入っています。
 尚、`02年3月に大規模にオーバーホールをしてもらい、現在は露出計も正常に動作しています。


《ガチャガチャ》

 これが「Nikomat」の特徴であるガチャガチャ。写真は「Nikomat」のネームプレートを外した状態。
 解放測光(レンズの絞りリングを回してもレンズの絞り羽根は解放のままで測光)を実現するための機能、装着されているレンズの解放F値をカメラの露出計に伝えることで、レンズの絞り羽根を絞り込まずに露出を計ることが出来る。従来の絞り込み測光ではレンズの絞りを絞り込むと絞り羽根も絞り込まれるので、ファインダー内の被写体がそれに応じて暗くなり、これが大きな支障となっていたが、レンズの解放F値をカメラに伝えることで解放測光が可能になり、被写体はいつも明るい状態で最適な絞り値を測光することが出来るようになった。
 レンズを装着するとき、カメラの絞りリングに着いているピンに、Nikkorレンズの露出連動挟み(いわゆるカニバサミ)をはさみ、レンズを装着したらレンズの絞りリングを一旦最小F値にして再び最大F値に設定すると、カメラの絞りリングに付いている解放F値スケール(写真手前の5.6----2.8----1.2と書いてあるところ)に、そのレンズの解放F値が表示される、この作業をするときにガチャガチャと音がするのだ!!おでこの「Nikomat」のネームプレートを外すと、この解放F値をリセットするための機構が隠れている。写真はネームプレートを外した状態。
 解放測光を実現しつつ昔のNikkorレンズと互換性を取るためのユニークな機構だが、装着の時いちいちレンズの絞りリングを最小から解放へ動かすなど少し面倒なのは確かだ、しかし次のモデルであるNikomat FT3からいよいよAI方式が採用され、この面倒な機構はこのNikomat FT2が最後となった。逆に言えばこのめんどくささは昔の発展途上的なカメラで面白い。



《右軍艦部と内部》

 シャッターダイヤルはレンズのマウント面にある、一般的なカメラはシャッターボタンとペンタプリズムの間にあるが、このカメラはユニーク。この為フォーカス、絞り、シャッター速度全てが同じ手で操作出来るという利点があったが、高級感に乏しくなるため(写真でも分かるように、シャッターボタンとペンタプリズムの間は絞り込みボタンが付いているだけでちょっとスッキリしてしまっている)、後のNikon FMからは通常通りシャッターボタンの横にシャッターダイヤルが戻されている。
 「FT2」のレタリングシールは私が高校生のとき勝手に張った物、いつでもはがせるので取りあえず付けっぱなし(^^;


 「Nikomat」のネームプレートを外すと、《ガチャガチャ》で述べている解放F値リセット機構がお目見えする!
 奥のシャッター羽根を見ると、コパルシャッターユニットの特徴であるアームも見える、このカメラはミラーアップ機構も備えているのだ。



《左軍艦部》

 露出指示針はファインダー内にもあるが、このように左軍艦部にもある。



《Nikon》

 ブランドは「Nikomat」だが、歴とした「Nikon」のカメラなのだ!!




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