96年正月明け、九州の百武さんによって発見された彗星、軌道を計算した結果3月から4月にかけて、地球に金星の軌道までの半分以下の距離まで近づくことが分かり、大いに期待を集めた、実際3月26日に地球と最接近したときは、私の所でダストの尾(ダストテール)が40度以上も伸びており、生まれて始めて見たそのダイナミックな姿には言葉では言い表しようが無いほど素晴らしかった、これがあの巨大なヘール・ボップ彗星だったら、どんな風見えていただろう。
データーは上から撮影日時・使用したレンズまたは望遠鏡・フィルム名・撮影地です、望遠鏡またはカメラレンズの詳細については撮影機材詳細のページをご覧下さい。
Dは望遠鏡のレンズの口径、f.l.は望遠鏡のレンズの焦点距離、Fは望遠鏡のレンズの明るさです。
Nikon LENS SERIES Eは一眼レフカメラのレンズです。
Nikon LENS SERIES E ZOOM36-72mm(36mm F3.5)
FUJICOLOR SpG400
相良町
※最接近の日の姿、中広角の36ミリレンズを使っても入りきらないほどの尾である、私の所では視野にして40度まで確認できそのダイナミックな姿にはすでに言葉も出なかった、このようなダイナミックな尾を持った彗星を見るのは当然初めてで、今後これほど長い尾を持った彗星は表れるだろうか?
残念なことにフィルムに傷が入ってしまいました、横に流れる2本の白い線が傷です。
画像をクリックすると、大きな写真が見られます。
96年3月28日 4:16 露出15分
FC−76(D=76o f.l.=600o F8)
FUJICOLOR SpG400
静岡市
※百武彗星の中心核付近を望遠鏡で撮影したもの、最接近から2日経っているが、見かけの固有運動による移動スピードはまだ衰えず、15分の露出でこれだけ彗星が移動している、星が線のように伸びているのは、彗星の動きに合わせて撮影しているため。日周運動による星の動きはモータードライブで望遠鏡を動かすので問題ないが、彗星自体の固有運動はカメラを露出している間、ガイド用望遠鏡で彗星を追わなくてはならないので面倒である、ガイド用の望遠鏡とは目標の天体を望遠鏡が正確に追尾しているか確認するための望遠鏡。実際望遠鏡でも核付近はこのように見え、その幾何学的な形にはとても驚かされた。何とダストの尾はこの画面の百倍の長さを誇った。
96年4月2日 20:45 露出5分
FC−76(D=76o f.l.=600o F8)
FUJICOLOR SpG400
静岡市
※上の写真より5日経っています、かなりの勢いで小さくなっていますが上の写真より大きくスキャンしトリミングして有るので、この画像と上の画像では大きさの比較は出来ません。核より右上に伸びるジェット状の尾も小さくなっているのが分かります。
96年4月5日 19:40 露出1分
Nikon LENS SERIES E ZOOM 70-210mm(210mm F4)
FUJICOLOR SpG400
静岡市
※最接近から一週間が経ち210mmの望遠レンズでもこんなに小さくなってしまったがまだ尾も見える、最接近の頃より、尾の広がり方(長さではなく幅である)が広くなっている、これは太陽に近づくに連れ、それから受ける太陽風の影響が強くなるからだと思う。地球から遠ざかっているので彗星は暗くなっているが、この後太陽に近づく為再び光度が増していきます。
96年4月13日 19:37 露出5分
FC−76(D=76o f.l.=600o F8)
FUJICOLOR SpG400
静岡市
※最接近から3週間近くも経ってしまったが、今度は太陽に接近しているため、見かけは小さくなったものの、再び彗星が明るくなり、尾もしっかりしている。
96年4月18日 19:43 露出2分
FC−76(D=76o f.l.=600o F8)
FUJICOLOR SpG400
静岡市
※最接近から3週間以上経ち、もはやFC−76でもこんなに小さくなってしまった、3月28日のFC−76の写真と大きさを比較するとその違いは一目である。画面の100倍の長さを誇ったダストテールもこんなに小さくなった(ただし大気の条件が良いところなら、まだこの画面以上の長さが写ったかも知れない)
96年4月18日 19:38 露出1分
SSC−12 (D=304o f.l.=3048 F10)
FUJICOLOR SpG400
静岡市
※さすがに口径304oの大型望遠鏡の集光力を使えば、まだ核から右上に伸びるジェット状の尾が写る、赤っぽく写っているのは、高度が低いため大気に青色の成分が吸収されたため(夕焼けと同じ原理である)
百武彗星よサラバダ!