平成17年(行ウ)第16号 損害賠償請求権等行使請求事件

原告 鈴木重義 外16名

被告 島田市長

2005年8月17日

静岡地方裁判所 民事2部合議係 御中

 

準 備 書 面 ()

 

原告ら訴訟代理人

弁護士 藤森克美 

 

2005年8月4日付被告答弁書に対する反論

1 第2「本案前の答弁の理由」2項「訴訟提起期間の途過」及び3項「島田市監査委員に対する『申し入れ』について」

1、           原告らが請求人として、本件住民監査請求に関し島田・榛原地区広域市町村圏組合監査委員より受領した2005年3月31日付「住民監査請求について(お知らせ)」は、地方自治法242条の2第2項の「監査の結果」又は「勧告」のいずれにも該当しない。

2、           その後4月12日付で、原告らは島田・榛原地区広域市町村圏組合監査委員道田房次氏並びに同八木正一氏に対し、「提出した措置請求書の処理について」を送付し、前記「住民監査請求について(お知らせ)」につき監査請求の手続き上の位置づけ、文中の「審査にかかる相当な期間もなく、結論を出すことができない」を理由に監査委員が監査請求の審査をしない法的根拠、及び仮に「審査にかかる相当な期間がないこと」で審査をしない行為が容認されるならば、監査請求書の以後の扱いについての見解、の3点を示すよう求め、2005年4月18日までに文書で回答するよう請求した。しかし、監査委員両名からは「回答する立場にない」旨の返答がなされた。

3、           そこで、2005年5月2日付けで原告らは請求人として島田市監査委員吉川睦氏並びに同大池幸男氏に対し、本件監査請求を島田市において審査し60日以内に監査結果を示すよう「申し入れ書」を郵送にて提出したが、いずれの監査委員からも回答は無かった。

4、           よって原告らは広域組合監査委員も本件事業を引き継いだ島田市監査委員のいずれも本件監査請求について「監査又は勧告」を行なわなかったことから、同条第2項3号に定められた期間、すなわち監査請求をした日である2005年3月30日から60日を経過した日から30日以内である6月24日に訴訟を提起するに至ったものであり、本件提訴は適法である。

5、           本件監査請求は、広域組合が存在している間に提出されたものであり、監査委員による審査は、広域組合解散後は島田市に引き継がれると考えるのが妥当である。仮に被告の主張どおり、3月31日の経過をもって本件監査が行なわれないことが確定し、60日の監査期間を待たずに30日間の訴訟提起期間が進行するとすれば、解散もしくは合併により消滅間際の地方公共団体の住民は一切監査を請求することができなくなることから、これは住民の権利の不当な剥奪であり、地方自治の精神に反し、決して認容されるべきではない。

6、           地方自治法242条の2第2項1号の適用により、前記「住民監査請求について(お知らせ)」の通知があった日から30日以上経過後に提起した本件訴訟は不適法であるという被告の主張は、被告独自の見解であると思われる。被告においては、同法同条の適用を正当とする判例なり学説なりを示されたい。

 なお、答弁書第2第1項「監査請求前置主義違反」及び同第4項「監査請求期間の途過」に対する反論は準備中であり追って提出する。

 

第2 第4「請求の原因に対する答弁」について

1、         「第1 当事者」について

(1) 被告は、原告らの中に、2002年(平成14年)当時の島田市議会議員の職にあった者、および現在の島田市議会議員の職にある者が含まれていることを指摘しているが、原告の中には、その外にも広域組合の構成市町の議員の職にあった(現在もある)者も含まれている(原告手塚文雄は旧島田市議会議員、同大塚邦子は現吉田町議会議員、同大石和央は現榛原町議会議員、同遠藤ます枝は前川根町議会議員)。被告が島田市の前議員1名と島田市以外の町議の職にあった原告らについて言及しないのは不自然である。

2、         「付言」について

 被告訴訟代理人の個人的意見として述べられており、新聞報道及び住民監査請求が原告らにより政治目的を持って仕組まれたものであることを示唆していると思われるが、全くの邪推である。原告らのうち特に当時島田市の議員の職にあった者は、毎日新聞の報道により事態(委託業者の選定方式が競争入札からプロポーザル方式に突如変更になり、その結果として桜井市長と関係の深い会社に決定した)を理解し、調査の必要性を認識し、島田市議会厚生常任委員会で綿密な調査を行った。

原告らとしてはその調査の結果、違法性のある契約と結論づけながら、当該行為から1年を経過しているという理由で不問に付すことはできなかった。原告らは可能な限り速やかな解決を求めて活動したのが事実であり、このような新聞報道や今回の住民監査請求及び住民訴訟が自らの政治的評価にプラスにはならないと感じているというのが真情である。むしろイメージダウンに繋がる危惧があるところを敢えて住民の立場に立って解決の道を求めて本件訴訟に至ったものである。

以上