第6日目

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 日 時  平成8年9月28日(土) 天候 晴れ



センペルセコイヤ3本

 金谷町大代から山へ入り、林道を大代ダムを越して奥へ入ると4つ辻があり、さらに奥へ入ると案内看板が立っていた。センペルセコイヤの樹林はそれより林道を逸れて、雑草を掻き分けながら沢沿いの山道を15分ほどたどったところにある。
 センペルセコイヤは原産地は北米でアカスギ・アメリカスギ・イチイモドキなどの別名を持つ。巨木のギカントセコイヤの弟分だと案内板にあった。昭和2年4月にこの国有林に実験的に300本植えられ、現在『13ホ』の圃場に16本と『13へ』の圃場に4本が残っている。案内板は昭和51年の記述で、最大木の樹高が37mとあったから、さらに3m高くなったようだ。
 センペルセコイヤは急斜面の一角に樹林をなしていた。回りは伐採され、伐採後に植林された苗がまだ小さいため、残された樹林が余計に目立った。樹皮は鮮やかな茶色で、成長が早いためか、縦に深い割れ目が入り、一見松の木の樹皮のように見える。とても樹齢わずか70年の木とは思えない。日本の杉なら300年〜400年の太さである。これだけ成長の早い樹木なのに、日本では試験栽培だけに終わったのは何故であろう。材木の用途が日本に合わなかったのであろうか。







安田の大シイ

 金谷町大代から原に登って安田の集落に入る。彼岸花やコスモスが花盛りである。
 昭和33年10月県指定天然記念物の安田の大シイは我々にはお馴染みの巨木であるが、根元で二股に分かれているとは知らなかった。枝の何箇所かつっかいぼうで支えられてはいるが樹勢は良かった。周りにはお稲荷さんなどの小さな祠が3つもあった。







春野スギ

 中川根町の瀬沢から春野へ抜ける山道は随分と時間が掛かってしまった。さらに山道を登りに登って春埜山大光寺に着いた。
 昭和27年4月、県指定天然記念物である。春埜山大光寺は8世紀初めに高僧行基菩薩の開山の神仏混淆の修験の山として有名なお寺である。その御神木の春野スギ(神代大杉)は行基が植林したものだと伝えられている。屋久杉にも匹敵する静岡県一の巨杉である。その巨姿に圧倒される。全く衰えを感じさせない樹勢を感じた。









天宮神社のナギ

 森町に入ったすぐの高台に天宮神社があった。天宮神社は欽明天皇の御代、九州の宗像神社より神霊を迎えて氏神として祀ったのが始まりである。ナギという木も元々は東日本にはない木で、神霊とともに持ってきて植えたものだと言われる。
 幹の内部は空洞で、鉄骨の枠で作った支えで漸く立っているように見えるが、サカキのような葉はどっこいしっかりと緑を保っていて、まだまだ健在ぶりを示している。







垂木の大スギ

 掛川バイパスの大池の出口を下りて北へ進み、上垂木の六所神社の参道の入口、今では住宅地の中の公会堂の後ろに垂木の大スギはあった。
 六所神社の御神木である。神社の境内でなかったために、いつか住宅に囲まれてしまい、公民館建築のために下部の大枝を切られ、足元までアスファルト道路に迫られて、大変厳しい環境下にあったが、けなげに生き延びていた。







伊達方の大ヒイラギ

 日暮れ前のまだ明るい内に今日最後の巨木を見に行く。伊達方の大柊は筆者の勤める会社から、昼休みに散歩で行ける距離にあり、過去に一度見に行ったことがあった。
 伊達方の大ヒイラギは渡辺邸の入口にある。現在渡辺邸は取り壊されて更地になって、明るくて写真に撮りやすくなっていた。
 大ヒイラギを撮影していると渡辺家のご当主が出てきて、問わず語りに色々と話をしてくれた。取り壊した旧宅は430年たっていた。豊臣方についていたため、武田軍に家を焼かれた後に新築されたもので、その新築時に玄関口に魔除のためにヒイラギを植え、その反対側には子孫繁栄を念じてカシワが植えられた。カシワもかなり太い木が残っているが、植え変えられたものだろう。
 県指定天然記念物になると枝一本自由に切ることは出来ない。更地で見通しの良くなった裏手に、これもかなりの太さのマキがあり、市指定保存木になっているが、これは自分で枝を落としても良い。大ヒイラギは樹木医がついていて色々保存のための手当てをしてくれる。しかし、樹木医の言うこともあてにならない。一部分枯れた枝を切るという。先祖から受け継いできたことや長年自分で大ヒイラギを見てきた経験から、枯れた枝を切るとその回りがさらに枯れてしまうと主張したが、樹木医が切ってしまった。案の定一枝すっかり枯れてしまった。また樹木医は根元を乾かせというので乾かした所、樹勢がなくなったので、今は藁を敷いて乾かないようにしている。水を吸い上げる力が弱っているためなのか、このヒイラギに限っては大変水を欲しがる。だから枯れ枝も切るとそこから水を蒸発して枯れが広がるし、根元も乾かしてはいけないのではないか。
 これは面白い話であった。樹木医は若いヒイラギの性質だけでこのヒイラギの手当てしようとしたのではないか。430歳のヒイラギの性質が一般化しているはずはないから。一方、毎日ヒイラギをウォッチングしている持ち主はこの個体が持つ性質について最も正しい判断が出来るのであろう。

 


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