第16日目

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 日 時  平成9年8月30日(土) 天候 晴れたり曇ったり



阿豆佐和気神社の大クス

 JR熱海駅の西、伊東線来宮駅のすぐ北側に来の宮(きのみや)神社がある。『阿豆佐和気神社の大クス』は来の宮神社の本殿奥にあった。
 案内板によると、古来この社の森には七本の楠の巨木が生育していた。ところが江戸時代末期の嘉永年間に熱海村に大網事件という全村挙げての大事件が起こった。そしてその訴訟費用の調達のために五本の楠が切られた。さらにこの大楠も伐ろうとして樵夫が大鋸を当てようとしたところ、白髪の老人が忽然と現れ両手を広げてさえぎったという。大鋸は二つに折れて同時に白髪の老人も消えてしまった。村人は神のお諭しと思い大楠を伐るのを中止したのだという。残された二本の中の一本がこの楠で、この神社の御神木となっている。
 幹の盛り上がりがまるで小山のように見える。大きく二つに分かれた幹の細いほうは地上数メートルのところで無残にも切られていた。根元近くでは岩を抱き込んでいるところがある一方、根のうねりに似せたコンクリートの補修も目立ち、2000年という年を感じさせた。境内の西側には沢が勢い良く流れている。おそらく根はそこまで達していて、日照りが続いても影響を受けることはあるまいと思われた。
 この大楠は太さでは鹿児島の
蒲生の大クスに次ぐ日本で第2位であり、樹齢2000年はクスノキでは日本最長齢だと思う。









比波預天神社のホルトノキ

 熱海から国道135号線を海沿いに南へ走り、伊東市宇佐見に下って最初の道を右折してすぐの、狭い道路から20mほど登った高台に比波預天神社がある。巨木と山の斜面に囲まれて、昼間でも薄暗い。
 ホルトノキは南関東沿岸部以南の本州から台湾・中国南部・インドシナ半島にわたって分布する常緑高木で別名モガシともいう。神聖な木とみなされ、神社の境内に大木が多い。
 ホルトノキの中では知る限り県内では最大木と思う。幹が根元から幾つかに分かれて、何本かの木が束になっているように見えるが一本の木である。境内には他にも照葉樹の巨木が何本かあった。







葛見神社の大クス

 伊東市街の南端の山懐に葛見神社はある。
 『葛見神社の大クス』は葛見神社本殿左側に山の斜面を背後に仙人のような風貌で立っていた。左右にV字型に分かれた幹の左側が上で大きく折れていた。これは平成8年9月の台風で折れたものであろうか。下記へその時の新聞記事を引用する。

【 静岡新聞 平成8年9月26日(木) 朝刊 】

    国天然記念物の大クス 台風17号で枝折れる−伊東の葛見神社

 伊東市馬場一丁目の葛見神社境内にある国指定文化財(天然記念物)の大クスが、台風17号による強風で主要な枝が折れる被害を受けていたことが二十五日までに分かった。市教委が県教委に状況を報告した結果、現場を写真撮影した後に、周囲を片付けることになった。
 枝が折れたのは主に二カ所。一本は同クスノキの主な枝の一つで、直径五十センチ、長さ十二メートルほどある。高さ約十メートルの部分で折れ、地上に落下した。周囲の拝殿や石碑、石塔などに被害はなかった。
 同神社宮司の朝日昌夫さん(59)によると、被害を受けたのは二十二日午後とみられ、同日午後五時半ごろ朝日さんが発見した。「用事を済ませて神社に戻ると、枝が折れていた。風格が失われたのは残念だが、ほかに被害が出なかったのは不幸中の幸い」と語った。
 同クスノキは樹齢千数百年といわれ、根本部分の周囲は十六メートルに達する巨木。昭和八年に国指定文化財となった。同台風による強風で、伊東市内ではこのほか玖須美神社(同市芝町)の県指定天然記念物・スダジイの木も被害を受けた。


  第2回目 巡礼 日時 1999年1月16日 AM11:50

 前回よりも時間に余裕があったので幹の回りを巡る道をたどり、改めてこの樟の大きさを知った。また裏側の上から見ると中心はほとんど空洞となっており、この老樟の傷みの激しさも知れた。







来の宮神社の鳥居杉

 伊東から県道伊東修善寺線を山越えして、中伊豆町に入る。役場を過ぎてから右折、田園の向こうの山の麓に来の宮神社がある。
 境内の入口の両脇に杉の巨木が2本ある。向かって右手の方が太いが、何度かの落雷を受けて白い木肌がむき出しになり、巨木の骨のようにみえた。
 来の宮神社本殿の裏山への道を50mほど登った林の中に、500年以上のクスノキの古木の瘤状の根株の上に、4代目といわれるひこばえのクスノキがそびえていた。秋の例祭日にはこの木の長寿にあやかって、氏子の長寿と村の無事息災が祈願されるという。







白山神社の大楠

 中伊豆町の来の宮神社とは同じ谷の城川をはさんだ反対側に白山神社がある。
 巨木のわりに異形を呈さず、生のよいクスノキであった。まだまだ壮年期の巨木である。根元は低い石垣を呑み込むように根を張っていた。







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