第18日目
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日 時 平成9年11月8日(土) 天候 晴れ
函南原生林のブナ
番号 84
生育地 函南町桑原 禁伐林
指定 無指定
樹種 ブナ(ぶな科)
幹周囲 6.35m
根回り 12.0m
枝張り東 10.45m
枝張り西 16.0m
枝張り南 12.6m
枝張り北 17.0m
樹高 24.0m
樹齢 700年
巡礼日時 1997年11月8日 AM11:50
地図を見てもブナの巨木まで辿れそうになかった。困った時は地元の役場にとびこめばよい。これはウォーキングの自ら決めた鉄則である。あいにく今日は土曜日。役場は休みだが、これでひるんではならない。函南町役場の裏口からずうずうしく入り、そこにいたジャージ姿のおじさんに『函南原生林のブナ』について尋ね、パンフレットがないか聞く。そのおじさんは親切に対応してくれて、どこかに走って行って、地図を貰って来て、北へ入って行く道を教えてくれた。その上、心配になったのか、車で追っかけて来て、車を停めて評定をしている我々を追い越しながら、この道で良いと指差して教えてくれた。そのおじさんのいた役場の机には『収入役』と書いてあったから、きっと偉い人だったに違いない。
函南町役場を出てすぐに北へ左折し、JR函南駅を過ぎてガードをくぐってさらに北へ登って行く。月光天文台を左手にみて、函南ゴルフクラブの脇を通って少し下ると池と芝地と林と散策路が整備された公園に至る。遡ること10分で函南原生林入口の不伐の森記念碑がある。
『函南原生林のブナ』はよく整備された遊歩道を一と山越えて40分ほど登った登山道から左へ入った斜面にあった。板張の展望台から見学する。
数メートルの高さまで直径2mほどの太さで立ち、それより10本ほどの太い枝を八方へ伸ばしていた。幹は裸の筋肉のような縞状の盛り上がりをびっしりまとって、日本一の名に恥じない堂々としたブナであった。樹勢もまだまだ衰えを見せない壮年の巨木に見えた。
休んでいる間にも数組のハイカーが訪れて行く。中々人気のスポットのようだ。案内板によるとこれより少し登ると県道熱海箱根峠線に出るようで、ここへは県道から降りて来る方がはるかに近いようだ。ハイカーもほとんどそちらからのように見えた。
函南原生林のアカガシ
番号 番外2
生育地 函南町桑原 禁伐林
指定 無指定
樹種 アカガシ2本(ぶな科)
幹周囲 bP-6.0m bQ -5.4m
根回り bP-13.3m bQ -11.3m
枝張り東 bP-20.0m bQ -9.0m
枝張り西 bP-6.0m bQ -17.1m
枝張り南 bP-16.2m bQ -15.0m
枝張り北 bP-11.4m bQ -12.3m
樹高 bP-20.0m bQ -16.0m
樹齢 bP-700年 bQ -500年
巡礼日時 1997年11月8日 PM0:30〜AM0:50
『函南原生林のブナ』より少し登ったところにbPのアカガシ(最左の写真)はあった。全体に林の中にあって暗くて判りにくいが、東に幹と同じほど太い枝が伸びていた。
下る途中登山道をふさぐように巨木が倒れていた(右の写真)。傍らの説明板によるとこの巨木はアカガシで「平成元年8月の台風により倒れたものです。数回の落雷により幹に空洞ができ、推定樹齢四百年の『あかがし』も、自然の猛威には勝てず倒れたのですが、四百年の樹齢は人間の百才に相当する高齢です。」自然の森では常にこのように新陳代謝が行われている。倒れた木が次代の木を育てる肥料となっているのだ。
一度下って帰りとは別の富士箱根ランドの方へ少し下った樹林の中に、bQのアカガシ(真ん中の写真)はあった。黒い幹と数本伸びた枝が人の手首から先を自然に上に延ばしたように見えた。
函南原生林にはブナ・アカガシ以外にも、ケヤキやヒメシャラの巨木が沢山見られ、原始の日本はさぞやこんな風な森だったのだろうと思った。なお、ヒメシャラは函南町の町の木である。
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