第21日目

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 日 時  平成10年3月7日(土) 天候 晴れ



大瀬崎のビャクシン樹林

 大瀬崎は沼津市街から駿河湾を隔てた向かい側につき出た岬である。沼津市街から国道414号線を駿河湾沿いに進み、狩野川放水路の三叉路で沼津土肥線に分かれ、さらに駿河湾沿いに進むと大瀬崎に行き着く。
 大瀬崎の回りは近年ダイバーで大変にぎわっている。2年前の11月に来た時は海辺は黒っぽいウェットスーツ姿のダイバーで埋まり、まるでアザラシのハーレムのような賑わいであった。駿河湾の大瀬崎沖は水の透明度が高くてダイビングに適しているためダイバー初心者のメッカとなっているのだ。今日はそれほどでもないが、器材を積んだリヤカーを引くダイバーがユーモラスに見える。
 この小さな岬には昭和7年に国の天然記念物に指定されたビャクシンがある。ビャクシンは子供の頃、近くの公園に植わっていて、登って遊んだことのある木である。もともと日当たりの良い所を好むため山林や森の中には育ち難い木といわれ、この海岸端の日当たりの良い所だから成長した。この小さな森に130本以上のビャクシンが生育しているといわれ、そのうち捩じれたような幹の樹齢が千年を越すものも多いという。
 我が物顔のダイバーの間を縫うように岬へ向かった。ダイバーのたむろするレストハウスのある辺りにも大きなビャクシンが数本あり、捻じ曲がった奇怪な姿を見せていたが、ウェットスーツを掛けて乾かすのに使われていた。
 岬の森に入るには入場料が100円かかる。明治25年4月9日、戸田村の山林火災が大瀬崎にうつり、多くのビャクシンの巨木が焼失した。中でも「十抱」と称された岬最大の根回り15m、樹齢2000年以上あった巨木の根が、海辺のビャクシンの巨木の林を抜けた所に、今も焼け焦げを残していた。岬の先端の灯台に近い所に、現在の最大木で御神木になっている『夫婦びゃくしん』があった。周囲7m、樹齢千五百年以上だという。確かに2本のビャクシンが一体化したようにも見える。
 この岬にはビャクシンの他に伊豆七不思議に数えらる『大瀬の神池』がある。突き出た岬に針の糸通しの穴のように池がある。海辺近くで波も越えて来ることもあるところなのに、常に淡水が湧き出て潮の気もなく、鮒や鯉が住んでいるのは不思議なことである。







こぶ付き大クス

 大瀬崎から海沿いに南下して戸田村に入る。部田神社は戸田大川を渡ってすぐ左折し、修善寺へ抜ける道路に入り、1kmほど行った右手にある。
 部田神社にはクスノキの巨木が本殿を囲むように8本生育しているが、最大のクスノキ「こぶ付き大クス」は本殿裏側左手のもので、地上3〜4mの所に大きなこぶがある。さらにその下にももう一つこぶがある。その木以外にもこぶのある木がある。木のこぶは虫が入ったためだというが、虫の付かないクスノキにつく虫とはどんな虫であろうか。







安楽寺のクス

 伊豆西海岸を海沿いに南下すると戸田村の次に道は土肥町に下っていく。土肥町の中央で左折し、国道136号線に入る。左手に役場を通り越してすぐに左に回り込んだ役場の裏手に安楽寺がある。
 「安楽寺のクス」は安楽寺山門外の水路のほとりにあった。一見枝張りも立派で若々しく、樹齢1000年の言い伝えはにわかに信じがたいものがあった。



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