第24日目

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 日 時  平成10年8月10日(月) 天候 くもり



竜華寺のソテツ

 竜華寺は清水市の日本平の東麓に位置する。寛文十年(1670)日蓮宗の高僧日近大僧都が開いた寺である。寺には文豪高山樗牛の墓がある。樗牛の展示館と庭園の拝観料に300円払って入った。
 『竜華寺のソテツ』は巨木巡礼の閲覧者からメールを頂き、番外であったが見に行くことにした。国の天然記念物で期待して行ったが、千年も立つためか、巨木としてはやや樹勢に欠けるように思えた。背の高い支幹がなく樹叢も小さいように思えた。開山当初、紀伊頼宣、水戸頼房二卿の寄進で、中国から移植されたものだという。今から400年前だから、樹齢700年のソテツを移植したことになる。







大平のコウヤマキ

 興津から国道52号富士川街道を北へ進み、清水市但沼から興津川に沿って遡ること30分で大平の集落に着く。大平キャンプ場の先で茶畑で肥料をまくおじさんにコウヤマキの所在を尋ねると、右手に山の尾根を指差し、「避雷針が見えるだろう。雷の被害を防ぐため立てたから、あそこだ」という。道が開いてないから大変だといいながら、登り口を教えてくれる。
 その先すぐに川へ下る農道があり、川底にはコンクリートが打たれて、車が渡れるようになっていた。靴を脱いで沢の流れを渡る。農道はすぐ尽きてた。道を塞ぐいばらを分けて林に入った。登山道は荒れていおり、忘れた頃に出てくる標識杭、白ペンキと赤い布が頼りの苦闘だった。何度も迷いそうになった。1時間半ほどの登山でやっと尾根上のコウヤマキに達した。案内書の「徒歩1時間」の簡単な表示にだまされたようだ。「遭難しないようにいってらしゃい」というおじさんの言葉の方が正しかった。山慣れない人は誰か案内を頼んだ方がよいと思う。県の天然記念物なのだから、登山道をもう少し整備してほしいとも思う。
 尾根には霧がかかり、薄暗くなっていた。コウヤマキにも霧がおよんでいた。コウヤマキはびっくりするほど太かったが、南西の半分は枯れて枝が白骨化していた。半身不随ながら何とか生きているといったところであった。幹を叩いてみたが、空洞化も進んでいるのだろうか、充実した音はしなかった。根元には栄養剤を注入しているのだろう、フィルムケースほどの円筒形の容器が刺さっていた。コウヤマキと数メートル離れて避雷針の高い塔があった。
 根元には弘法大師像であろうか、小さい石像が一体。伝説では、弘法大師が甲斐から駿河に来る途中、この山で寝過ごし、慌てて山を下りた時、地面に刺したまま忘れた杖がこのコウヤマキになったという。弘法大師の杖が巨木になったとの言い伝えは多いが、実に人間的なうっかりミスから巨木が出来たというのは初めてで、大変面白い。
 帰りに川で今一度靴を脱いだら脛にヤマビルが付いて脹らんでいた。ヤマビルにも御用心。



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