第5日目

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 日 時  平成12年7月12日(水) 天候 くもり時々晴れ、通り雨





前村の大クス

 伊勢自動車道の勢和多気インターチェンジを降り、国道42号線を右折し、松阪方面に1kmほど行くと、前方に大きな樹影が見えてくる。国道から左へ逸れて紀勢本線の踏切りを渡った向こう側に「前村の大クス」がある。
 町道と小川に挟まれて、身を細めたように、横から見る太さに比べて縦から見ると随分細い。小川が側にあって水が切れることは無かったのだろう。今も樹勢はすこぶる良い。
 説明板によると、「この一帯は北畠家及び南朝派一族の隠匿地と言われ、神祇を奉祀して王朝の興復を企図した。その後時勢の変遷を受け里人が忠臣の遺蹟を後世に伝えるために一老樹を保存し、記念の表徴として来た。かくて樹木を神木として偉霊の実在を信仰し、小祠を祀って霊木の保存をはかっている。」そばに小さな祠があり名前が大楠神社とあった。







瀧原宮のスギ

 国道42号線を南下して大宮町に入り、3kmほど進むと左手に大きな森が見えてくる。明らかに巨木の樹相を示す杉が森から何本も突き出ている。情報は持たなかったが、立ち寄ることにして左折した。それが滝原神宮(瀧原宮)である。
 杉の巨木が立ち並ぶ、清掃が隅々まで行き届いた平らな参道を進む。日が射しながら雨がぱらつく「狐の嫁入り」状態の参道は全く静かであった。途中で出会った若い神官に「この森で最も太い杉は?」と聞いたが、返事に困っているようだったので、「御神木になっている杉は?」と質問を変えると、「この森全体が御神木で、大切にされております」との返事が戻って来た。森の中は人も寄せ付けないところもあり、よく調査されていないのだろう。平成元年の環境庁全国巨樹調査でも巨木として報告されているのは、スギ2本、ヒノキ2本に過ぎない。実際はその10倍位はありそうである。
 御神木で最も太いと思われた杉は注連縄を巻かれて、神明造本殿の右側、玉垣の内側にすらりと建っていた。奥側の空地は古殿地と言い、二十年毎に遷宮する御敷地であるが、その真ん中にもやや傾いた巨杉が一本立っていた。
 参拝のしおりによると、「第十一代垂任天皇の皇女倭姫命(やまとひめのみこと)が、御杖代(御使い)として天照坐皇大御神を奉戴して、宮川下流の磯宮をお発ちになり、・・・・・・真奈胡神の案内でお進みになると、「大河の瀧原の国」という美わしい土地があったので、この地に草木を刈り払って新宮を建てられたのが、瀧原宮の起原です。そののち皇大御神の御神意によって、再び伊勢に向われたので、瀧原に御滞留の期間はさほど長くなかったと思われます。」








ドントの大スギ

 国道42号線を南下して大内山村に入り、4kmほど進んだ梅ヶ谷の交差点を右折して、紀勢本線と大内山川の支川の梅ヶ谷川を渡ると、右手の大内山川の土手に杉の巨木を含む樹叢が見えてくる。車で土手まで出て、土手の上を少し歩き「ドントの大スギ」に至る。
 かっては5本あったが、今残っているのは幹周囲7m、5.8m、5mの3本という。しかし確認したのは手前に並んで立つ2本だけだった。
 最も太いと思われる手前の杉は、心持ち川側へ傾こうとする幹のバランスを取るように、下の太い枝を2本、陸側へ伸ばしていた。川のそばにあると日照りには強いが、水が出ると根元を洗われてしまう。その杉も根元が洗われ、穴が開いて危うくなっている。しかしむき出しになった根は土手に沿って大きく広がってその巨体を乗せて支えているように見えた。もう一方の杉の根元に山の神の祠が置かれており、夜は対岸からムササビが飛んでくるという。




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