日本の巨木−第12回−(鹿児島県)

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 日 時  平成11年4月14日(水) 天候 はれ


千本楠 

 吹上町役場のすぐ近く、伊佐の大汝牟遅神社参道の東側に『千本楠』と呼ばれる森がある。
 アスファルトの参道から石段を十数段上ると、そこには原始の森に迷い込んだ雰囲気があった。草地の地面が新芽を吹いて緑の絨毯になっている。足を踏み入れると柔らかい地面が沈む。おそらく人が多くは入っていない為であろう。学校のグラウンドほどの広さの中に20本ほどの巨大な楠が思い思いに枝を広げている。今夕陽が枝を茶褐色に照らして緑の地面とのコントラストが素晴らしく、しばし息を呑んでたたずんだ。
 参道に立てられた吹上町教育委員会の案内板によると、「この辺一帯は、古来大汝八幡の神域で二十数株の大楠があたかも竜が寝ているように連なり、また、天空高く梢を伸ばしている。この中の、倒れ伏して朽ちた楠が親木と伝えられ、当時は根回り18メートル余りあったという。明治43年日英博覧会に出品した楠材の切株は樹齢800年以上と推定された。神話によると大汝牟遅命下向の時、楠の木の杖を地にさされたところ、これが根付いて親木になり増えたと伝えられる。」
 なお案内板には野口雨情の句が添えられていた。
       「伊佐八幡千本楠は 横へ横へと寝て伸びる」



大汝牟遅神社のクスノキ 

 吹上町伊佐の大汝牟遅神社境内の社殿右手に、崖下の道路を見下ろすように立っている。
 千本楠を探して境内に入ったところ、境内隅にこの木があった。その後、千本楠を見つけ見学の後、千本楠のどの楠よりもこの楠の方が太い気がして戻って写真に撮った。千本楠とは元は同じ森にあったと思われるが、今は間に道路や人家があって別の森になっている。
夕闇の迫る中、ノーフラッシュで写真を撮るにはほぼ限界であった。しかしその太さは大変存在感があった。
 社殿前に貝殻に砂を入れたものが沢山供えられていた。聞くと正月に吹上浜で拾った貝殻に海砂を掬って初詣にそれを供えるという風習があるという。貝殻の種類は赤貝と決まっているらしいが、中にはハマグリも混じっていた。





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