少年少女環境釣り教室報告書
主催:(財)日本釣振興会静岡県支部・静岡県釣漁具商工連合会
運営:駿河湾海を守る会
運営責任者:大澤恒幸 駿河湾海を守る会専務理事
(財)日本釣振興会静岡県支部副支部長
村岡忠勇 駿河湾海を守る会副会長
静岡県釣漁具商工連合会副会長
企画趣旨:平成14年4月より、公立小中学校が完全週休2日となり、子供達の休日の過
ごし方が問題となっている。
ともすれば休日 学習塾やパソコンなどにかかわって、屋外での活動や自然と
のふれあいが少ないことが子供達の情操に悪影響を及ぼしている。
現在日本の水辺の環境はお世辞にも良い物とはいえないが、
まだ十分子供達に自然とのふれあいを与えられる。
水辺の自然とふれあうのは魚釣りが一番適している。
そして魚釣りを通してこの危機的状況を子供達に認識させ、水辺環境保全に
ついて学んでもらう。
目的:単なる釣り教室ではなく釣りを手段として水辺環境保全教育をする。
青少年の釣り離れに歯止めを掛ける。
釣り人口の減少を嘆くのではなく、新たな釣り人を作り出す努力をする。
募集:平成15年5月より静岡市内小中学校80校に教育委員会を通し、募集のポスター
及びチラシを配布。(別紙添付)
応募者:
1、柚木健吾 庵原中学校1年 保護者 柚木喜雄
2、佐藤真理 清水第二中学校1年 保護者 佐藤正美
3、森伸世 清水第二中学校1年 保護者 森利彦
4、小沢那央 飯田小学校6年 保護者 小澤光博
5、渡辺真也 清水不二見小学校6年 保護者 渡辺久典
6、青野航(ワタル) 静岡市三番町小学校6年 保護者 青野勝
7、深沢拓未 浜田小学校6年 保護者 深沢淳二
8、杉山諒 飯田小学校6年 保護者 杉山宏幸
9、杉山匠 飯田小学校4年 保護者 杉山宏幸
10、鈴木亮 不二見小学校6年 保護者 鈴木剛
11、森正光 清水入江小学校5年 保護者 森信明
12、後藤勇人 清水小学校6年 保護者 後藤嘉寛
13、鳥羽陽介 横内小学校 2年 保護者 鳥羽達也
14、嶋 佑 千代田小学校4年 保護者 嶋 聡
ほか2名の応募があったが、病気で辞退した。
インストラクター :大澤恒幸、村岡忠勇、鈴木孝久、外岡正隆、伏見裕之、野澤健夫、
長尾勝美、
講師:風間哲夫(ザウルスフィールドテスター)
澤本彰三(東海大学海洋学部教授)
親子説明会・清水テルサにて H15、7、19
参加者:指導者5名・父兄生徒21名
釣り教室の趣旨説明、カリキュラム説明、魚釣りの基本講座、ラインの結び方教室
生徒とインストラクターのはじめての顔合わせ、小学生には父兄の付き添いがついている。
主任インストラクター大澤より主催者挨拶及びこの教室の趣旨説明、カリュキュラム説明、
日釣振より提供の教材を使い魚釣りの基本講座 をする。
ついで 主任インストラクター村岡より基本のライン結び教室を行う。
感想:
釣り好きの子供たちばかりが集まっているのでみな目がきらきら輝き、我々の説明も一言
の聞き逃さないぞと言う姿勢がうれしい。
しかしライン結び教室になると、普段既製品ばかり使っているので基本の8の字結びにも
苦戦する現代っ子ぶりが見えた。しかし全員8の字結びをマスター。
付き添いの父兄も私たちの指導に安心した模様。
日釣振よりのグッズも配布した。
開校式・仕掛け作り教室(入船館にて) H15、7、26
参加者:12名 インストラクター4名
主任インストラクター大澤の簡単な挨拶で開校式を済ませ、大澤出演のVTR鑑賞、その
まま続いて釣り概論講座。休憩を挟み村岡主任インストラクターによる次回行う渓流釣り
の仕掛け作り教室。
感想:
2回目の顔合わせともなると生徒達はもうなじんでいて色々質問したり、自慢話や、うわ
さ話をしてくる。
大澤出演のVTR(駿河湾を釣る)及びGTフィッシングンのプライベートビデオを1時
間鑑賞。VTRを見てから生徒達のまなざしに尊敬の念が少し見えたような気がする。
やはり論より証拠。釣り概論では危険防止、水辺環境の話しも入れ魚釣りを体系的に概略
を教える。
村岡主任インストラクターによる仕掛け作り教室は、次回行う渓流釣りのウキ仕掛けを作
成した。まず天井糸を8の字結びのとっくり結び。ゴム管を通しヨリモドシを8の字結び
で連結。オモリをかみつぶし、ハリ仕掛けは小さな渓流バリを外掛け本結びにする。
生徒達は小さな渓流バリを外掛け本結びに出来ず悪戦苦闘。ハリが結べず悔し泣きする生
徒も見受けられたが、インストラクターに手伝ってもらい全員完成した。
反省点:
畳と座卓で教室を行ったが、生徒に集中力がないと思ったら、足がしびれるようだ。
次回からはイス・テーブルにする。
渓流バリが小さく不器用な現代っ子にはちょっとつらかったようだ反省。
興津川・渓流釣り教室 H15、8、30
参加者:生徒13名 インストラクター4名
8月9日の予定が悪天候、興津川増水のためこの日に延期された。
8時テルサ前集合、入船館のマイクロバスにて興津川和田島地区へ。
本日も増水の後で平水より15cmほど水位が高い。
生徒達は前回自作した仕掛けを竿にセットし、インストラクターの説明もそこそこに川辺
に並ぶ。水位が高いため狙ったハヤなどの小魚が散っており釣果が上がらない。
生徒達はだんだん深みに入って行くがさしたる水深もない安全な釣り場なので心配ない。
1時間経ち、生徒達の体が冷えてきたので休憩を30分取る。
休憩の間大澤主任インストラクターにより、テンカラ釣りと、アユ友釣りのデモンストレー
ション。生徒達のアンケートの中に一人、友釣りの引き抜きを覚えたいとの記述があった
ので模範試釣となった。テンカラ釣りでは魚が釣れなかったが、アユ友釣りでは1匹釣り
上げ引き抜きの見本を見せることが出来た。
後半は水温が少し上がったのか少し魚が釣れだし生徒達ははじめての実釣を楽しんだ。
反省:
本年は天候不順で川の条件が良くなかった。
条件が良ければもっと魚が釣れ楽しめただろう。
興津川は安全な川とはいえ、少数の生徒がへそまで川に入り、流されないかとちょっと心
配した。もちろん流されても良いようにインストラクターは配置してあるが渓流釣りでも
フローテイングベスト着用がベターかもしれない。
生徒達の監視に気を取られ写真撮影が出来なかった。
ルアー釣り教室・ビデオ鑑賞・仕掛け作り教室 H15、9、6
(入船館にて)
講師:風間哲夫(ザウルスインストラクター)
参加者:11名 インストラクター5名
釣りVTRを1時間鑑賞の後、風間哲夫氏によるルアー釣り教室。
風間氏は得意の話術で子供たちをぐいぐい引きつける。
休憩の後、次回の実釣で使う投げ釣りのハリ仕掛けを作る。
生徒達は仕掛け作りになれてきたようで全員2組ずつ仕掛けを作る。
反省:前回に懲りイステーブルで教室を行ったところ生徒達の集中力が増した。
黒鯛稚魚放流事業・投げ釣り教室 H15、10、4
(静岡市清水三保本村海岸)
来賓 (財)日釣振県支部 武藤副支部長、剣持副支部長
静岡県釣漁具商工連合会 石田会長
参加者:10名 インストラクター6名
8時テルサ前集合、入船館マイクロバスにて三保本村海岸へ向かう。
稚魚を積んだアクアファーム中部の活魚車がすでに待機している。
静岡県釣漁具商工連合会会長石田氏の挨拶の後、さっそく全員協力してして黒鯛稚魚を1
700匹放流。近畿大学で造った稚魚は1匹100円するが質がすばらしい。
輸送経費3万円を含め、放流事業費200,000円。
生徒達もはじめての放流に興味津々、魚は獲るだけでは減ってしまうことを納得。
その後はじめて行う投げ釣りにも生徒達はすぐ慣れ、自分が作った仕掛けで釣ったことに
満足。砂浜の釣りではあったが生徒全員にライフジャケットを着用させた。
反省:
普段はよく釣れる三保海岸だが、今回は潮周りが悪く、釣果がのびなかった。
海釣り公園試し釣り H15、10、5
清水港振興課より依頼があり、11月16日オープンの海釣り公園でプレゼン用の写真を
撮るので、少年少女環境釣り教室で参加して欲しいとの要請。
有志に参加を募る。
生徒、インストラクターその家族などでわいわい。
今回もライフジャケット着用。
アジの入れ食いになり全員満足の釣りとなった。
試し釣り一般参加者はライフジャケットを持っていなかったので、海を守る会備品を貸し
出した。
特別プログラムなので経費無し。
海辺感謝の日・海洋環境保全教室 H15、11、8
(清水港・袖師物上場、入船館)
講師: 東海大学海洋学部 澤本彰三教授
参加者:11名 インストラクター4名
水辺感謝の日、全国一斉釣り場清掃デー
釣り場の清掃を1時間やった後、会場を入船館に移し釣り教室についての作文を書いても
らう。時間が余ったのでNHK-BSで10月26日に放送されたばかりのインストラクター鈴
木孝久君の出演番組VTRを鑑賞。
その後、東海大学海洋学部澤本彰三教授の講演(清水港の魚達)
感想:
釣り場清掃では子供たちはまじめにやっているのか遊んでいるのか半信半疑だったが、直
後に書かせた作文を読むと、しっかり問題を認識しており、この釣り教室に環境の文字を
入れた初期目的が達せられた物と思う。
澤本教授の講演は子供たちの年齢に合わせ、VTRを使い、東海大学海洋学部の公開実験
で撮影した清水港日の出埠頭海底での魚達の姿を撮影した物で珍しい魚も写っており大人
も楽しめる内容だった。
反省:
澤本教授の話はもう少し海洋環境にふれて欲しかった。
海釣り公園釣り教室・終了式 H15、12、20
半年間の釣り教室締めくくりの実釣、生徒に修了証を渡す。
総括:
小中学校週休2日による行き場のない子供たち、近くにない安全な水辺環境、ファミコン
などのゲームばかりで外へ出て遊ばない子供たち、塾やスポーツクラブへ行くため壊れて
しまった子ども社会、狭まりゆく水辺フィールド、昔は自然に受け継がれていた水辺遊び
の伝統はとぎれ、魚釣りを知らない父親達。
釣りはしたいけれども子ども社会の縦横のつながりが薄く指導者はいない。
親はゴルフやドライブばかりで釣りの基本を知らない。
情報は氾濫し知識だけが肥大化した子供たち。
今回の釣り教室を通して感じられた現代っ子たちの寂しい現状です。
しかし釣りをしたい、上手になりたい、魚をいっぱい釣りたいと思っている子ども達の気
持ちが釣り教室を通してひしひしと伝わってきました。
海洋環境保全の話しも子供たちのレベルで理解してくれました。
釣り好きの子供たちが求めているレベルはかなり高い物であることも知りました。
仕掛けを用意し、エサを付けてやってさあ釣りなさいと言うレベルの釣り教室は考え直す
必要があるのでは?
生徒達の作文には苦労して自作した仕掛けで魚を釣った喜び、水辺感謝の日の清掃活動で
感じたフィールドの荒廃、釣り人のマナーの悪さなど感じたままがかかれています。
そしてほとんどの生徒が来年も釣り教室に参加したいと書いてくれたことが大きな喜びで
す。
きっとこの生徒達は良い釣り師になると思います。
本年は少年少女環境釣り教室初年度と言うこともあり、宣伝不足もあり、参加者は14名
に留まった。
しかし初年度のとまどいを考えると、30人も50人も生徒が集まったらこのように順調
に釣り教室が運営できたかどうかは疑問だ。
現在のスタッフを考えると、最大30名ほどが限界だろう。
そして今回スタッフに日当をわずかではあるが支払った。(1回3000円)
ボランティア団体なのだからスタッフに日当を払うのはおかしいとの考えもあるだろうが、
好きな釣りに行かず生徒達の指導をするのに日当が少なく申し訳ない気もするほどスタッ
フは一生懸命やってくれた。年1回や2回のボランティアなら無料奉仕でも良いだろうが
年8回、準備も含めれば拘束日数は10日を超える。
おかげでスタッフは気持ちよく楽しんで生徒達の指導をしてくれた。
とりあえず、実験的釣り教室、少年少女環境釣り教室は初年度プログラムを終了た。我々
スタッフは次年度も釣り教室を開催すべく決意を固めている。
ゼヒ、日本各地でこのプログラムを参考に子供たちに啓蒙活動をしていただきたい。
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