喘息の原因

喘息は、単に体質だけでおこるものではありません。気道過敏性、アレルギー体質、環境の3つが組合わさっておこるものです。この3つを理解すれば、何を気をつけたらよいかがわかってきます。

1 気道過敏性

喘息の患者さんに共通してみられるのは、気管支などの気道が刺激に対してとても敏感だということです。健康な人の約100倍くらい敏感だといわれています。このため、健康な人には何でもないようなタバコの煙や家のほこり、動物のフケなどを吸い込んだり、低気圧が近づいたりするだけで、気管支が刺激され、収縮して喘息発作を起こしてしまうのです。

2 アレルギー体質

アレルギー体質は遺伝することがあり、親子で喘息であったり、兄弟でアトピーであったりすることがあります。アレルギー体質があるかどうかをみる検査にIgE(アレルギー抗体)を測定する方法がありますが、これは乳児では感度が悪いことと、アレルギーはIgEだけでおこるものではないので、この検査のみですべてが説明できるわけではありません。
喘息の場合、問題となるアレルゲンはハウスダスト(家のほこり)、ダニ動物(犬、猫の毛やフケ)などです。

3 環境

環境要因としては、気象(温度の低下、湿気、気圧の変動)、季節(秋、梅雨期、春)、時間(夜間から早朝に発作が出やすい)、感染(風邪、気管支炎など)、大気汚染(排気ガスなど)、気道刺激物(タバコや蚊取り線香、花火の煙、冷気、香水、化粧品の匂いなど)、運動、精神的ストレス(家庭不和、しかられたなど)、過労、過食などがあげられます。

 

喘息とダニ・ハウスダスト

家のほこり(ハウスダスト)を吸うと喘息や鼻炎がおこることは古くから知られていました。ハウスダストの中にはいろいろなものが含まれています。綿や絹などの糸くず、フケ、カビ、細菌、ペットの毛、ダニやその死骸・排泄物などが含まれているわけです。これらはそれぞれが喘息の原因になりえるものですが、その中でもヤケヒョウヒダニコナヒョウヒダニが最も重要な喘息の原因アレルゲンです。

ダニは、私たちの家屋内にもたくさん住み着いており、1家屋全体で数千万から数億匹と推定されています。これらのダニは、高温多湿を好み、気温が20〜30℃になると増殖し、75〜85%の湿度を好みます。すなわち、日本の環境に適しているわけです。7〜9月にかけて多く増殖し、冬季には数が減り、春になり気温が高くなると、再び増殖し始めます。このダニの数の変動は喘息発作の好発時期が春と夏から秋であるという事実と一致します。

ダニが多い場所は、布製のソファーや椅子カーペット、子供の愛用するぬいぐるみなどとされています。また、寝具にいるダニの数は、平均すると、毛布824匹、掛け布団380匹、マットレス250匹、敷き布団130匹という調査があります。寝具は、体から蒸発する水分を吸い、かつ私たちの体温で暖められ、ダニが食べるフケやゴミがついているので、絶好の住みかの一つになります。こどもは、1日の約半分を寝具の中で過ごすので、十分に気をつける必要があります。羽毛や羊毛はそれ自体がダニの餌になるので、ダニが非常に増えやすい素材です。化繊や綿のものの方がよいでしょう。最近は、「ダニ防止」の処理をした寝具も出ています。

 

喘息と動物

イヌ、ネコ、小鳥などのペット類もアレルゲン(アレルギーの原因)となるものを持っています。イヌやネコでは毛、毛アカ、唾液などがアレルゲンになりますが、特に毛アカが重要です。

小鳥では羽毛がアレルゲンとしても刺激物としても重要です。現在、これらのペットに対するアレルギー反応が見られなくても、それらのアレルゲンの中で生活し続けるうちにアレルギーを獲得する可能性が高い上、毛や羽毛を含んだほこりは物理的に気道を刺激します。また、ペットの毛や、アカはダニの食料となり、ダニを増やす原因にもなります。

したがって、喘息の患者さんがいる家庭ではこれらのペット類は飼育してはいけません。ただし、金魚や熱帯魚の飼育はかまいません。