アトピーは治るか?

治ります! 個人によりその時期は様々ですが、小児のアトピー性皮膚炎は、自然に治ってゆくものです。アトピーの体質自体は変わりませんが、皮膚が成長にともなって丈夫になり、バリアー機能が強化されるために、普通の肌になってゆくのです。

問題は、それまでの数ヶ月〜数年間をどのように過ごすかです。毎日、かゆみに苦しみながら過ごすか、少しでもかゆみの少ない状態を保って快適に過ごすかです。また、皮膚をよい状態に保っておくことが、皮膚を丈夫にする近道、つまりアトピー克服への近道でもあるのです。

 

治療の目標

前項でご説明したように、アトピー性皮膚炎は自然に治る病気です。ただ、治るまでに数ヵ月〜数年間という時間がかかるため、何もしない状態では、かゆみに苦しみ、外見も悪いので、普通の日常生活を維持することが難しくなる場合もあります。アトピー治療の目標は、この「治るまでの期間」をかゆみを軽くし、肌の状態を周囲の人からアトピーであることが分からない程度に良くするようにコントロールしてゆくことです。

アトピーは、「治る」病気ですが、「治す」ことはできないのです。「治るまでの期間」を肌をよりよい状態にコントロールしてゆくことが、治療の目標であることをご理解ください。

 

治療方法の種類

アトピーの治療にはいろいろなものがあります。それは、アトピーの原因が多岐にわたるからです。「アトピー性皮膚炎の原因」の項でご説明したように、アトピーの原因はアレルギーだけでなく、むしろ「皮膚の弱さ」が大きな比重を占めています。ですから、アレルギーの対策だけでなく、スキンケア、皮膚のバリアー機能の強化、保湿なども重要となります。

具体的には、大きく3つに分けられるでしょう。
1. 環境整備:アトピーの原因となる外的因子を取り除きます。(アレルゲン、細菌、刺激物など)
2. 外用薬(ぬり薬):薬の種類により、保湿、殺菌、バリアー機能の強化、炎症を抑えるなどの効果があります。
3. 内服薬:かゆみ止め、抗アレルギー剤などがあります。

これらは、患者さん一人ひとりのアトピーの状態によって、必要なものが違ってきます。ですから、患者さんごとに治療薬や治療の方法は異なるわけです。