オデコの冷却剤は意味ないと思うけど・・・ 

 

 今日もちっちゃな患者さんが、オデコに白いモノをはってきています。「冷○ピタ」や「熱さ○シート」などの冷却剤です。オデコだけでなく、わきの下などにもはってる子もいます。あれを見ると「あぁ、この子は熱が出てるんだな」とわかるので目印にはなりますよね。お母さんが「少しでも早く熱が下がりますように・・・」とはって下さったのでしょう。愛情の目印でもあるかもしれませんね。

 でも、実際のところ、あの小さな冷却剤でどのくらいの熱量を放散することができるのでしょうか・・・? たぶん体温は0.1℃も下がらないと思います。

 もうひとつ。オデコの熱を下げる理由は何? なぜ、オデコの熱を下げる必要があるのでしょう? 医学的には、オデコの熱を下げる理由は何もありません。

 日本には昔から「高熱が続くと頭が悪くなる」といういい伝えがあります。でも、実際には風邪で40℃の高熱が続いても、頭が悪くなることはありません。ただし、脳炎や髄膜炎などのように脳に炎症が起こる病気の場合は、後遺症として知能障害が残ることがあります。もちろんこういう病気のときには高熱がでますが、熱を下げたところで後遺症を防ぐことはできません。きっと昔の人は、こういう病気の人を見てあのいい伝えを作ったのだと思います。このいい伝えがお母さんたちの頭の中にあるのかもしれませんね。

 しかし、「ある程度熱が高い方が、免疫力(病気に対する抵抗力)が増す」という研究結果もでています。ですから、一般的には「機嫌がいいうちは熱があっても下げる必要はない」というのが今の考え方です。

 こどもって、オデコにああいうモノをはられるのを嫌がる場合が多いですよね。そういうときには、無理してはる必要はないと思いますよ。  でも、やっぱり愛情の印かな?