■ こどもに使いたくない薬 ■ |
当院に来る患者さんが、他の医院でもお薬をもらっていることがしばしばあります。当院でも薬を出すために、今飲んでいるお薬を教えてもらうのですが、時々、小児科医としてびっくりするような薬が出されていることがあります。小児は大人と違い、薬の副作用のでかたも大人とは違います。小児科では、その点に十分注意しながら薬を出していますが、小児科以外の医院では(多分そういう知識がないからだと思うのですが)小児に危険な薬を、何気なく出しているところがあります。 小児科医として、こどもにはできる限り使ってほしくない薬が2つあります。 「ミノマイシン」は、テトラサイクリン系の抗生物質です。テトラサイクリン系の抗生物質は、8歳未満のこどもに使用すると、「着色歯」といって、歯が黒っぽく変色することがあります。乳歯のときに使っても、永久歯に色が付いて、一生とれません。大人の人で歯が黒っぽい人が、時々いますね。これは、多分、小さい頃に「ミノマイシン」などのテトラサイクリン系の抗生物質を投与された人です。ミノマイシンを飲んだあと数年しないと症状が出ないので、知識がないと因果関係に気づきません。(注) 「セレスタミン」は、ステロイド剤と抗ヒスタミン剤という2種類の薬が混じったお薬です。アレルギー性鼻炎がひどい大人には使うことがあります。それも、どうしてもひどいときに、ワンポイントに使うのが原則です。2週間とか、1ヶ月といった長期間続けるべき薬ではありません。 (なお、アレルギー性鼻炎や喘息のときにステロイドの吸入剤を使用することがありますが、これはステロイドの量が少なく、ほとんど副作用はありません。) 以上を読んでいただければ、「どうしてこんな薬をこどもに使うのか?」と感じられることと思います。これには理由があるのです。小児科医以外は、こどもに使用する薬についてのトレーニングをほとんど受けていないのが現状なのです。内科医も耳鼻科医もこどもをみますが、大人と同じ薬を、量を減らして出しているだけという所が多いのです。もちろん、内科医や耳鼻科医の中にも、小児の治療について勉強されている先生もたくさんいらっしゃいます。こどもを連れていくときには、そういう先生をさがして受診する方がよいでしょう。 (注) |
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