耐性菌(薬剤耐性菌)については何回かお話ししてきました。とにかく薬が効かない菌なので、いったんこの菌に取りつかれて病気になってしまうとなかなか治らなくて難渋します。「中耳炎がなかなか治らない」「とびひがなかなか治らない」ということもそうなのですが、耐性菌で髄膜炎や敗血症のような重症の病気になってしまうと生命が危険にさらされることになり一大事です。
耐性菌はどのくらい抗生剤(抗生物質)を使うと発生するのでしょうか?このことについての研究はいくつもあるのですが、ザックリと結論を言うと「7日間抗生剤を使うと、身体の中の菌の30%が耐性菌になる」のです! 「30%」ってすごい数字だと思いませんか?びっくりです。 さらに、このまま抗生剤を使い続けると、耐性菌にならなかった残りの70%の菌は抗生剤のために死んでゆくので、最終的には体の中は耐性菌だらけになってしまうのです。
抗生剤を頻繁に使っている子供の体の中は、このような理由で耐性菌だらけになります。こういう子供が中耳炎になるとなかなか治らない。普通の中耳炎の治療は1週間が勝負なのですが、1カ月も2カ月も治療が続くことになります。
「風邪をひいたから抗生剤」「熱が出たから抗生剤」「鼻水が黄色いから抗生剤」というように頻繁に抗生剤を使っている子供は要注意ですよ!
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