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−オルタネータ(自動車用交流発電機)の充電制御(発電制御)による燃費向上−


 最近自動車のカタログの主要諸元(スペック)表の「燃費向上対策」欄に「充電制御」という用語を見かけます。 これは広義の

エネルギ回生システムですが、ハイブリッドカーのようなMG(Motor Generator)を使わずに従来から搭載しているオルタネータ

(交流発電機)の発電電力(電圧)を制御することにより燃費を向上させる技術でありハードウェアの追加、変更の必要がありません。

 基本的な制御ストラテジーは減速時にブレーキの摩擦熱として放散しているエネルギの一部をオルタネータ駆動(発電)に使用して

得たられた電力をバッテリに蓄え、加速時にバッテリから電気負荷側へ放出させることによりエンジン動力を節約します。 オルタネータの

発電電力の制御は電圧制御により行ないますが、減速時は車の電気負荷の消費電力以上の電力を発電するため電圧を昇圧し、

定常や加速時は消費電力以下の電力を発電するため電圧を降圧します。 今回はこのシステムにより実際に燃費がどの程度向上する

のかをDRIVESIMを用いてシミュレーションします。

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(1)車両システム

   ・車重  820kg   ・エンジン 55KW    ・トランスミッション 5MT   エンジン燃費データはマップで持ちます。

■補機

補機は電気負荷 0.5KWとしオルタネータは最大出力電流100A、効率は60%とします。

■バッテリ

標準電圧12V, 容量50AHとし走行開始時のSOC80%とします。

 

(2)10.15モード走行での燃費効果

<計算手順>

1.一定電圧制御

バッテリ特性からSOC80%の端子開放電圧(充放電なしの状態でのバッテリ電圧)は12.6V

したがって電圧を12.6V一定に制御すれば電気負荷消費電力に拘わらずSOC80%を保ったままで走行を終えることができます。

2.オルタネータ充電制御(発電電圧制御)

走行中にバッテリ充電量(SOC)は変化するためいろいろな電圧制御パターンで計算を行ない走行終了時のSOC

走行開始時と同じ80%になった場合の燃費を一定電圧制御時と比較、評価します。

減速時の電圧昇圧パターンはいろいろと考えられますが今回はブレーキを踏まない状態では一定電圧V0とし

ブレーキキング時の電圧はブレーキペダルの踏込量に応じて昇圧するという方法を用います。

V=V0+aB V:電圧  a:定数  B:ブレーキ踏込量  ここでVo, aはキャリブレーション(調整)係数です。

テンプレートを使った制御アルゴリズム作成画面は以下のとおり。(画面では V0=12.475 a=0.08 としています。)

Matlab Mファイルを使って制御プログラムを作成することもできます。

<計算結果>

10.15モード燃費

オルタネータ電圧制御法

10.15モード燃費(km/l)

走行前後のSOC増減(AH)

一定電圧制御

16.87

0

ブレーキング時昇圧

17.21(2%up)

+0.16

 

■走行中の電圧、電流変化

  

電気負荷は常時約40Aの電流を消費しておりブレーキを踏まない状態ではオルタネータが約30A出力しても

充電電流は差し引き約−10Aとバッテリが放電状態にありますがブレーキを踏み込むと電圧が上がり

充電電流が+となってバッテリ充電が行なわれ走行後のSOCは初期値80%に近い値となっています。

■走行時のエネルギバランス

○一定電圧制御

○ブレーキング時昇圧制御

両者のブレーキロスを比較すると一定電圧制御では328KJであるのに対しブレーキング時昇圧制御の方は260KJまで

低減しておりこれが後者の燃費向上に効いていることがわかります。

燃費向上効果をさらに高めるためにはオルタネータ特性、バッテリ特性、さらには制御アルゴリズムを

どう改良すればよいでしょうか? このような「システム」の設計にDRIVESIMはとても役立つツールです。