花組対戦コラムス2

2000年:セガ・エンタープライゼス:対戦パズルゲーム

解説:サターンで好評だった「花コラ」がヴァージョンアップして帰ってきた!全作の対戦パズルとしてのおもしろさに加え「隊長コマンド」の追加により、より一層「対戦パズル」としてのゲーム性がアップしているところが魅力。しかも、ドリキャスならではの「インターネット環境」に対応し、ネット上の他のプレーヤーといつでも対戦ができるのが最大の特徴であろう。もちろん「サクラ2」で新たに登場したあのキャラ達も選択することもでき、それに伴って新しく書き下ろされた「ストーリーモード」や前作にもあった「主人公争奪戦」(今回はあの「少年レッド」の座を賭ける)なども楽しい。前「花コラ」が好きだった方々の期待を裏切らない良作であろう。


”ぷよぷよ”より面白い

対戦パズルゲームといえば「ぷよぷよ」があまりにも有名。それまで一人でどこまで出来るかを競っていたパズルゲーム分野に「対戦」と言う観念を持ち込み、立派に成功した作品である。しかも「ぷよぷよ」は対戦ゲームとして成立するようにしっかりとしたバランスがとられていたため、その後雨後の竹の子のように制作された「対戦パズルゲー」達の追撃をものともせず、「対戦パズルゲーの定番」として地位を確立しブームを征する結果となった。
その後ブームは沈静化するのだが、そんな時期に初めて「”ぷよぷよ”より面白い」パズルゲーが登場した。それが前作の「花組対戦コラムス」であったのだ。

一方的にならない

さて、花コラが何故”ぷよぷよ”より優れているのか?それは”ぷよぷよ”には無い「防御」が花コラには有る為であろう。ぷよぷよの対戦を見ていると解るのだが「いかに早く大きい”連鎖”を組み、いかに早く相手に”おじゃまぷよ”を送れるか」にすべてがかかっている。つまり連鎖のスプリントレースでもあり、連鎖の組み方がわからない人相手ではゲームにすらならない。
その点”花コラ”は「防御コマンド」や「魔法石(同色の宝石を一度に消してくれるアイテム)」が存在し、それは”連鎖”が組めなくとも一応使える(もちろん組めた方が有利だが)。しかも肝心の連鎖は結構「偶然」に任せる部分もある上に、送られてきた「時間石(おじゃまぷよのようなもの)」も一定時間がたてば連鎖対象になってくれるため、連鎖組みが苦手でも応戦できる。つまり「連鎖組みが上手い=ゲームで常勝」とならないように出来ているのだ。
ゲームが一方的にならず、しかも下手でもゲームは楽しめる。ぷよぷよにあった「一見さんお断り」なムードは無いのだ。従ってこのゲームの方がプレイヤーを選ぶことなく広く楽しんでいただけるゲームに仕上がっているといえよう。しかし発売されたのが「サターン」だった為、あまり広く知られなかったことが悲劇というか皮肉というか・・・・・

唯一の欠点であり、致命傷にもなりえる点

今回花コラは「2」となり、目立たない中にも「職人的」なヴァージョンアップが数多く加えられた。中でも「隊長コマンド」の採用は逸品である。内容的には「作戦によって攻撃(防御)を行うのに使う「気合いゲージ」の溜まるスピードが変わる」と言った簡単な物なのだが、これにより各キャラごとに優位な作戦を考え出す楽しみが増えたのである。こんな簡単なアイデアでゲームに新たな味を追加することが出来るのだから、つくづく「ゲームはアイデア勝負」だと言うことを痛感させられる。
そして、「対戦をもっと楽しむため」にインターネットを使用した「通信対戦」も搭載された。ある意味で「花コラ2」の一番のウリであるこの機能。実際に試してみたが確かに”やみつき”になるほどの面白さがそこにはあった。しかし、この通信対戦には「花コラ唯一の欠点」が潜んでいたのだ。
花コラは「リアルタイムで行う対戦パズルゲーム」であるため、通信によるタイムラグはゲームの進行に大きな障害となる。それを解消するためセガはKDDのデータ通信サービスである「KDDデータオンデマンド(以下DOD)」を採用している。確かに対戦中のタイムラグはほとんど発生しないのだが、このDODがくせ者なのだ。

世界要求に逆行する選択

「1分10円(深夜11時以降は9円)」がDODの通信料金だ、一般のNTT市内通話の3倍である。たとえば「同一人物と対戦を2回、途中チャットで軽く話し合う」ことを例にしてみよう。これだけの事をネット上で行うと大体20分くらいかかる、料金にして「20×10円」で200円の通信料だ。仮にこれを毎日きっちり一ヶ月やったとして
20(分)×30(日)×10(円)=6000円
となってしまう。ただ、これはかなり「通信時間を気にした場合」である。みなさんも経験は有るだろうがネットでの一時間なんてあっという間だ。試しに先ほどの20分を一時間にしてみると・・・・・
60(分)×30(日)×10(円)=18000円
まるで、一昔前のインターネットの通話料金である。しかもこのDOD、割引サービスは一切無い為(KDDに確認済み)テレホーダイのような魔法は期待できない。はたしてセガはその辺も解っていてこのDODを選択したのだろうか?もし「サクラだからこれくらいしても大丈夫」とでも思っていたのなら、それは大きな誤算であっただろう。現に発売翌日の「NETサーバー」の状況を見てみると平均利用者数20人前後、回線料が安い「チューチューロケット(ドリキャスの通信対戦ゲーム、通常回線を使用している)」に比べると低い数字だ。やはり購入した人もこの「通信料」に嫌悪感を抱き通信をあきらめているのであろう。
「花コラ2」は対戦パズルゲームとしては現時点で一番面白いゲームだとよつやは認識している。それだけにこんな「ゲーム以外の点」でこのゲームの評価を下げてしまわれることは残念でならないのだ。セガとKDDの両者で話し合ってでもこの現状を打開してほしいところなのだが、先日メールにて問い合わせたところ「DODには料金割引の設定はございません。今後の課題とします」(KDD)、「通信対戦はDODのみにてお願いします」(セガ)との回答であった。全く期待がもてそうもない回答で残念な限りだ。
NETを利用した対戦ゲームは今ゲーム界でもっとも注目されている分野であり、これを有効に活用出来るかどうかが死活問題になっている。しかし、このやり方では残念だが未来はないだろう。セガはまたしてもコンシューマー界の主権を握れずに終わってしまいそうだ。


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