静岡の身近な昆虫たち

は じ め に


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はじめに

 私は物心ついた頃からの生き物好きであった。ほぼ毎日のように近くの山や田んぼに出歩いていた。カメやオタマジャクシ、ドジョウ、フナ、ザリガニ、バッタ、カマキリ、カブトムシ、クワガタ、カミキリムシ・・・年中なにかしか飼っていた。その昔、そんな遊びをしていた人は結構多いのではないだろうか。

 そんな頃から20年余りが経った今、身近な環境は一変していた。

 当時当たり前にいたであろう生き物たちは姿を消していた。田んぼや畑は次々に宅地や駐車場に変わり、用水路や川はコンクリートで護岸されてしまった。今もなおそれらは進んでいる。

 私は今年20年ぶりに虫を追ってみた。田んぼの畦や川の土手、川原、公園・・・。どうしてだろう、なかなか姿を見ることができないのだ。全くいないわけではない、いるにはいる。しかし絶対的にその数が少ないのだ。ワクワクするような場所がなかなか見つからないのだ。当時のような場所を探すとなれば、もはや”身近”とはいえない場所になってしまう。

 かろうじて生息しているその場所もいつ消え去るのかわからない。この環境の中で昆虫たちは容赦のない人間のイジメにもめげずしたたかに生きている。そんな昆虫たちをじかに見て私は感動せざるをえなかった。

 私が今年見てきた昆虫たちは、特に天然記念物でも希少種でもない。どの図鑑でも”ごくふつう”と書かれている種ばかりだ。だが生息域は明らかに狭くなっている。ごく普通といわれる種も、メダカやゲンゴロウのように実は”めずらしい”種になってしまうのではと危惧する。

 だれもが自然を残そう、もっと自然とふれ合いたいと思っている。そして身近な自然の重要性について様々なところでいわれている。だがその割に身近な自然ほんの近所の自然には目を向けている人は少ない。
 身近な自然を残していくにはまず身近な自然を知らねばならないだろう。

 自然公園や名所だけが自然ではない。自然はすぐ近くにある。そんな身近な自然に生きている・・・虫はもちろん鳥や魚などの生き物たちに”今こそ”目を向けてもらいたいと思う。知ってもらいたいと思う。

1996.12.31



【制作者プロフィール】
 杉山高史(すぎやまたかし) 1965年静岡市生まれ、現在藤枝市在住
 日本土壌動物学会 会員、多足類懇談会 会員、静岡昆虫同好会 会員、
 日本自然保護協会 個人会員、自然観察指導員


【撮影機材】
 MINOLTA X7
 MINOLTA X700
 MINOLTA X370-S
 MINOLTA 100/4 MD MACRO
 TAMRON SP MACRO 90mm
 TAMRON 24mm
 HAKUBA CLOSEUP FILTER
 MARUMI CLOSEUP FILTER
 KENKO CLOSEUP FILTER
 MINOLTA AUTO 280PX
 Panasonic PE-28S

 FUJICOLOR SUPER 400
 FUJICHROME PROVIA 100(1997〜)

 Canon CanoScan 2700F
 Canon CanoScan 8400F


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