静岡の身近な昆虫たち  キリギリス (キリギリス 3)

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クビキリギス  Euconocephalus thunbergi Stal

 クサキリと似たような所にいて鳴き声も似ているが、河川に近いところに多い。3月の下旬頃から川原や堤防、高速や新幹線の法面、近くの軒先などで鳴き出す。春から初夏にかけてビィーーーーと鳴いているのはこのクビキリギスかシブイロカヤキリモドキのいずれかであるといっていい。街中の街路の植え込みの中で鳴いていることもある。真冬の1月に瀬戸川のコンクリート護岸の片隅で草陰に隠れ大きく脚を広げてコンクリートに張りつき越冬している個体を見かけた。
 JR焼津駅の階段やJR浜松駅前の地下道にいたりするなど、大型のキリギリスの中では最も都会的な種類かもしれない。
 この虫も懐かしい虫のひとつ。緑、褐色、ピンク、黄色と揃えるととてもカラフルであった。体色は見事な保護色で、草の微妙な枯れ具合まで似せている。ピンク型は緑の中では大変目立ってしまうのだが、10月にピンク型がいた辺りを見ると、センダングサやエノコログサなど茎や葉、穂が紅色を帯びている野草が大変多いことが分かる。
 成虫越冬であると多くの文献には書かれているが、幼虫で越冬するものがススキの株中などによく見つかる。

   
1996/9 藤枝市 藪田川 1996/9 藤枝市 藪田川

   
ピンク型
2008/6 藤枝市 瀬戸川
越冬幼虫
2009/2 岡部町 朝比奈川

   
幼虫
2000/9 藤枝市平島 六間川支川
  ピンク型の幼虫
イネ科野草の穂を食べる
1998/9 焼津市 瀬戸川

   
鳴いているオス
2000/5 浜松市 都田川
鳴いているオス
2005/4 藤枝市平島



シブイロカヤキリモドキ  Xesthophrys horvathi Boliver

 変な名前。瀬戸川では土手のススキやアシ、カラムシなどが繁っている草地にいる。クビキリギスの褐色型とよく似ていて一瞬では分からない。クビキリギスと同じに見つかるので見比べてみると違いが分かる。
 特徴は、口が赤くない。顔と腹面が黒い。短足(脚)。動きが鈍い。
 成虫越冬で、春から初夏にかけて鳴く。クビキリギスと鳴き声も似ているが、名前のようにしわがれた渋い感じである。クビキリギスと混じって鳴いていることがある。クビキリギスは人為的な環境でもわりあい普通にいるがこのシブイロは適応できる環境の幅が狭いようである。
 別に特別ではなく、クビキリギスなどと同等なのに、やっぱり変な名前、何か特別。

   
1999/11 焼津市 瀬戸川 1999/11 焼津市 瀬戸川

   
鳴いているオス
2000/5 浜松市 都田川
石の下で越冬しているメス
2002/1 藤枝市

   
幼虫(メス)
2002/9 藤枝市
幼虫(オス)
2003/9 藤枝市 瀬戸川

 
2012/11 静岡市



カヤキリ  Pseudorhynchus japonicus Shiraki

 東名高速の法面の草地と近隣の田んぼにいる。その他山裾のススキ原、海浜近くのアシ原にもいる。8月頃夕方近くになるとビィーーーーーーーと、とても強く大きな音で鳴く。
 クサキリと鳴き声がよく似ているが、音が強い。田んぼではクサキリと混じって鳴いていて、聞き比べるとやはり違う。とにかくでかく重い。ずっしり感がある。
 背丈が高い草の、上の方で、少しでも遠くへ響かせようとしている。

   
オス
1999/8 藤枝市平島
オス
1999/8 藤枝市平島

   
メス
2004/9 焼津市 高草山
田んぼで鳴く
1999/8 焼津市越後島

   
オス
2006/8 藤枝市
メス幼虫
2009/7 焼津市 高草山


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