静岡の身近な昆虫たち ガ(9)
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フクラスズメ
Arcte coerula
(Guenee)
危険が迫ったときに頭部半身をブルブル左右に振るわせるという奇怪な幼虫の習性によって文献によく紹介されているガ。色彩からして気持ちのいいものではなく、その動きは鳥肌ものである。
この幼虫はカラムシなどイラクサ科の植物に鈴なりになって食い荒らす。丸坊主になっているのをよく目にするが、次の餌場を探すためなのかそれこそ無数の大小様々な幼虫が車道からあたりの草地や樹木上までさまよっていることがある。堤防沿いや耕作地周辺、山地の車道沿いや山道沿いなどで見られる。多分山野によく出かける人ならば見たことがあるだろう。
幼虫があれほどいるわりに成虫はあんまり見ない。生きているものより道端にころがっているのをよくみる。
スズメという名前だが、ヤガ科の仲間である。
幼虫
1997/8 藤枝市
幼虫の大群
1997/8 藤枝市
1999/11 焼津市
蛹
1998/11 焼津市坂本
2007/7 焼津市 高草山
ハマオモトヨトウ
Brithys crini
(Fabricius)
初めて見たとき、くどい大きなイモ虫だなあ、と思ったがそれほど気にはしていなかった。数日後、このイモ虫がなんとタマスダレの葉をバリバリと食べているのに驚いたのである。なにせタマスダレの葉っぱなど食べる虫などこれまでなかった。たまにヨトウガの仲間が花などを少しばかりかじる程度で、ここまで食ってしまうのは初めてである。
庭のあちらこちらに生えるタマスダレを確認したところ、7匹程を見つけた。なにものだ!
この虫の葉の食べ様は、まさに貪欲で葉肉に食い入り、土中にまでもぐり球根までをかじる。幼虫図鑑に書かれている通りである。
夕刻になると根元に作った土中の穴に潜って隠れ、朝になると姿を現す。
1株やそこらならば食ってしまっても構わないが、こんな丸ごと食われてしまうとねえ。
9月上旬発見以来11月に入っても幼虫の発生は衰えず、今だ20匹が活動している。あれほどモサモサと生えていたタマスダレは跡形もなく、今年は花がほとんどつかなかった。
とある県では、レッドデータに載っており、ハマオモトしか食べない故に、数が少ないとされているが、この様子では結構いるのではないだろうか。
どこから来たの?
1999/9 藤枝市平島
幼虫
1999/9 藤枝市平島
若齢幼虫の大群
1999/9 藤枝市平島
蛹
1999/9 藤枝市平島(飼育)
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