質問 ガレージにあった栗の木は使えるでしょうか

  2年前の秋、家の改築の関係て゛、祖父母が植えた栗の木(樹齢50年)を伐採しました。せっかくおじいちゃんおばあちゃん(共に故人)が植えた我が家のシンボルツリーだから小さなものでも形あるものにしようとかぞくではなしあいました。が、去る者は日々に疎し、改築に気を取られて、最初の一年は雨のかからないところにおいて乾燥させたのですが後の一年は都合があってガレージの片隅に移してそのままになっています(ちょと雨がかかるときもある)。こんな製材もされていない丸太から家具を作ってくれる職人さんているものなのでしょうか?まずは製材所でしょうか?その辺のことを伺いたくおたよりいたしました。


回答
  基本的に言って栗の木は良質の家具材です。しかし,どんな木でも家具材にするには,伐採から製材,乾燥までそれなりの手間を掛けてやらなければなりません。拝見したメールからは,実際製材してみないと分かりませんが次の点で少し難しいような気がします。

1 大きさが小さすぎる
  樹齢50年ぐらいですとどのくらいの太さになっているでしょうか。家具材にするには少なくとも直径30センチ以上は必要です。もちろん用途によってはそれ以下でもかまいませんが。家具材の製材の基本は芯去り材と言って,芯は使わないので(芯が入っているとかならずと言って良いほどひびが入ります。)お手元の木はちょっと難しいのではないかと思います。

2 切る時期が適当でしたか。
  家具材にするためには,材料に糖分が含まれないような時期に伐採します。時期としては11月後半から1月頃です。この期間は木の活動が止まっている時期なので木の中に糖分が少なく害虫の心配が少なくなります。また,糖分は木の皮の直ぐ下の部分に集中して居て,まずそこに虫が付くので出来るだけ早い時期に皮を剥いて乾燥させておく必要もあります。

3 乾燥は適当か
  家具にして狂いのない物に仕上げるためには乾燥が必要です。簡易的な方法としては,伐採した材料は素早く製材して,正しく桟積みして風通しの良い場所に保管しなければなりません。野外ですと,地上から50センチぐらいの所に一番湿気があるのでそれ以上の高さにしてやります。それで薄い物でしたら1年,それ以上でしたら2〜5年を掛けて乾燥させます。

  十松さんの栗の保管状況はいかがでしょうか。車庫の隅では十分に乾燥されていないのではないかと思います。又,虫が入って言るかどうかは外側を見て粉のような物が落ちており,小さな穴から出ている事がないかチェックされると分かります。又皮を剥がして虫が居るようでしたら中の方にも入り込んでいる可能性が大です。
  もしそうでなければ使用目的に合わせて製材して,今度はガレージの上の方で乾燥させると良いでしょう。昔の職人さんは天井に材料を保管していろりで乾燥させました。ガレージは日中高温になるので少し荒っぽいかも知れませんが十分乾燥できます。それから木口(木の切断面)にはボンドを塗っておくことをお勧めします。何故なら板は木口から乾燥していく為そこから割れが入りやすいからです。製材は製材所が有れば忙しいときでなければどこでもやってくれると思います。

  丸太から製品を作ってくれる職人さんはいるかとの件ですが,職人でしたら誰でも出来ると思います。ただ説明しましたように製材したから直ぐに仕事にかかれるというものではありませんので時間はかかると思います。まず良い職人さんを見つけて相談なさると良いでしょう。もちろん当方でも相談に乗りますが・・・。

  最近はよい木が少なくなりました。小さい木は小さいなりに大切に使用して下さいね。作品が出来たらお知らせ下さい。楽しみにしています。