質問
 竹とんぼの材料を、竹からつくろうとして、丸い竹材を鋸でひきました。 古くからのベテラン差し物師していた人に、きつく注意されました。 普通のアサリのある鋸で竹を切ったらたちどころに鋸は切れなくなる。 これは常識の問題だと言われました。 アサリのない刃物で竹を切るには、ということでその人の助言は、 金鋸でした。また、アサリのない、ガキ大将という鋸も良いのでは ないか、ということでした。 普通の鋸で切った場合どのように切れなくなるのでしょうか。鋸の あさりの強度と竹の繊維の強さなどについて経験的で良いのです が、なぜだめなのか、ご存知でしたら教えてください。 MAR 28/1998 すこや

回答
 大した回答にはなりませんが,これもかご屋さんから聞いた話です。
 実際そこのかご屋さんは,あまり芸術的な作品は作っておられないようで,使っておられる道具も数は多く有りませんでした。このことから,Zソウは十分に専用の鋸の代用になると言うことです
 鋸はZソーの8寸目を使っておられるそうです。まとめ買いすると一枚500円ぐらいだそうでこれを使い捨てするそうです。このことから,Zソウは十分に専用の鋸の代用になると言うことです。
 道具屋さんや,ホームセンターなど等では竹専用の鋸を売っていますが,巾30粍刃長28センチぐらいのカーブのない物です。目は細かい横切り状ですが,先ほどのZソーの刃とあまり変わりがありませんが刃は少し厚いです。
 竹を切るときの鋸の持つ特性は,綺麗に素早く切れ自分にあった物,そして折れにく物であればよいと言うことでしょう。その特性を満足すれば何でもかまわないのではないでしょうか。(例えば日本刀部でさっと・・・。)

 職人さんにも大まかに言って,2つの種類の傾向を持つ人がいらっしゃるように思います。つまり

 道具にこだわり自分の型をもってそれをがんとして守る人。(時間の余裕のある芸術家肌かな)
 もう一つは作品を作るには道具は何んでも使い,もしそれがなければどうやって間に合わせるかという傾向の人です。(実際仕事を沢山こなしていると色々な道具を揃えている時間がありません。)

 いわば,初めに道具有りきか,作品有りきかと言うところでしょう。ちなみに,質問の中の指物やさんは前者,わたしは後者の方と思います。  

 これに関連して時々思うことがあるのですが,作品を見るとき欧米人は少し遠くで,色やシルエットデザインなどを眺めて評価します。日本人は近くに来てさわりまくって留めがちゃんと付いているとか,引き出しの堅さや造りを丹念に調べますが遠くからはあまり眺めません。つまり日本人は重箱の隅をつつくのが好きで,全体的な作品の評価は下手な人種だと思うんです。(それで日本の町並みは種々雑多で全体として全くまとまりがなくなってしまった。)作る方にもそう言う傾向があって道具がどうのこうのと言いたくなるのでしょうね。

 いずれにしても何を作るかがまず主題となって,それに応じて道具が決まり,その道具がなければ何かで間に合わせたり特別な物を作るわけです。私なんかは今ある道具を加工したりもします。

 結論としてお勧めするのは,手近な道具で素早く綺麗に切るものをお使いになるのが良いでしょう。しょっちゅう切られるのでしたら手頃なところで替え刃式の竹用の鋸をお勧めします。金鋸はあまりお勧めしません,金鋸で猛宗等を切るには時間が掛かりますし真っ直ぐ切るには技術も必要です。金鋸は早く綺麗に切るという条件は満たさないように思いますよ。