ギリシャの旅


1990年9月

■ ギリシャ編はブログからの転載です


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1 アテネ 


アテネの宿の窓から丘の上のパルテノン神殿を望む
2004年夏。アテネオリンピック。

ギリシャといえば青いエーゲ海と真っ白い漆喰の家々。エキゾチックでロマンティックなこの国に憧れて、学生時代に友人とトルコとギリシャの旅をした。

ギリシャに行ったのは大学3年の9月。
そのときは日記もつけていなかったので、ほとんど記憶に残ってない。

実は私はこの国に愛着はあまりない。
つまらないのだ。

見るものはすべて美しくセンスがあり、歴史も自然もすばらしく、素朴さやちょっとすさんだような味わいもあり・・・・まるで映画の世界のようなこの国がなぜつまらないのか?

人だ。

覇気がない。
どの町に行ってもどうも元気がない。

ぼ〜〜〜っとしていて、のんびりしてて、イキイキした笑顔や楽しい会話、キビキビした動きなどが見えない。みやげ物を買うにもニコリともせずに商品をかったるそうに出し、値段交渉してもこちらの言い値に「それなら売らん。」と早々と追い出される。
料理も素材もレシピも良く、本来なら美味い筈なのだが、何かひとつ味が足りない。
午後になれば延々と続くシエスタ。あちこちでストライキで休業。

唯一活気が出るとしたら、夕食時。
ダラダラと3時間も4時間もかけてテラスのテーブルを囲んでいるがみんな楽しそうだ。
シエスタでのんびりだったらスペインでも同じだが、スペイン人は何事も情熱的てパワフル。しかしギリシャ人は24時間シエスタか?という雰囲気。
島に行けば違うかと思ったが、島に行ったらさらにのんびり。時間が止まったような気分になる。

私たちはアテネではのんびりと観光をした。
パルテノン神殿のある丘に登って、夕日が落ちるのをずっと眺めていた。2時間ちかく大理石の岩山の一角に座っていただろうか。

ギリシャの夕日はすばらしい。
空のすべてをオレンジ色に染めて、時間も空間もやわらかく包み込むように静かに静かに沈んでいく。

夕日が沈んだあと、アテネの町で一杯のカンパリオレンジを頼んだ。
今でもカンパリオレンジと聞くとギリシャの夕日を思い出す。

まぁ、そういう楽しみ方もある。

大人になった今またあの国に行けば、そんな静かな国もしみじみと楽しめるかもしれない。


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2 ミコノス・エーゲ海の島

かわいい風車がいかにもギリシャというミコノス島へ。

この島は、思い描いていたエーゲ海の島のイメージそのままだった。

アテネの港から船に乗って何時間だったか・・・
シロス島を経由して、やがてたどり着いたのが目的地、ミコノス島。
遠景が見事。
白い四角い建物が岩山の斜面ににへばりついている。窓だけが青に塗られていてメルヘンチックだ。

船が着くと、バインダーを持ったたくさんの人が群がってくる。宿の勧誘らしい。
その中の一人についていく。

宿は高台にある。
この島の道はすべて坂道。
車も通れないような細い路地をゆっくり静かに登っていく。
石垣を漆喰で固めた塀の上にネコが一匹。じっとこちらを向いていた。

散歩に出かける。

まぶしい日差しがこの島の音と時間を止めてしまったようだ。
真っ白い世界に迷い込み、強烈な光と影のコントラストの中で、動いているものは風に揺れる花とたくさんのネコたちだけ。人影はない。

島のどこからでも青い海が見える。
見上げると丸い屋根の上に小さな十字架が。
ギリシア正教の教会だ。
青い空に映えて美しい。

さしてやることもなく夕方シャワーを浴びていると、窓から今まで見たこともない程の美しい夕焼けが。
慣れない旅に少し心が疲れていた。理由もなく泣いてしまったのを覚えている。

夜は小さなタベルナ(食堂)へ。
ギリシャのタベルナは赤いギンガムチェックのテーブルクロスが正式なのだそうだ。
かわいらしいテーブルに座ると、のんびりとしたスタッフがのんびりと特別おいしくもまずくもない・・・覇気のない料理を運んでくる。 

時間は止まったまま。 



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3 ヌーディストビーチ・ミコノス島



ミコノス島にはビーチがある。

この静かな島は国民にはクレイジーアイランドと言われているらしい。理由は2つ。

ひとつは冬。風がキチガイのように吹きすさぶため。

ひとつは夏。ヌーディストビーチ。

この島、全部が全部時間が止まってるわけではないらしく、ビーチだけは例外のようだ。

うひゃ・・・。

目がまんまるくなった。
おっぱいぺろんっ!って。マジ?

欧米人の女の子たちがトップレスで遊んでいる。
よく見ればあの人もこの人も、若い子だけじゃなくて孫を連れた太ったばぁちゃんまで、ワンピースの水着をわざわざ腰までずり下げて裸で遊んでいる。

いやはやびっくり。
これがウワサに聞くヌーディストビーチってやつか・・・。

なにせ当時はまだ21歳。トップレスだけでも衝撃なのだ。

肉付きのいい私たち、白人ギャルの貧乳に比べれば、おっぱいの大きさは確実に勝ってはいるのだが・・・・
なんて10年以上たった今なら言えるけど、当時は私だってヤマトナデシコだからね、母が若かりしころに着たダサイワンピースの水着を着てビーチにいるだけでも十分恥ずかしいのだよ。
まして、トトトトトップレスになるだなんてっ!!!!!

でも、目が慣れてくるにつれ、思った。
欧米人だとイヤラシクもドキドキもしない。
これ、日本人の女だったら・・・女の私だって<<あひゃ〜〜〜〜!!!!!>>ですよ。

下着の広告のモデルなんかも外国人女性だけど、外国人だから写真をまともに見られるんだよね。
これが日本人だったら新聞折込には入れられないような・・・。
ついでに言うと、もしこれがアジア人女性でもかなり官能的だよね。うん。

白人&黒人女性のハダカはなぜドキドキしないのでしょう? 
これ、日本の男性でも同様に感じるのでしょうか?

私はその後、残念ながら一度もヌーディストビーチにお目にかかったことがない。
みなさんの行ったヌーディストビーチはどんな感じでしたか?


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4 生きた遺跡 イロド・アティクス音楽堂(アテネ)

イロド・アティクスの音楽堂


アテネ。
大理石の岩山の上に古代ギリシャ遺跡がゴロゴロしているアクロポリスの丘。頂上にそびえるパルテノン神殿の傍に生きた遺跡がある。

イロド・アティクスの音楽堂。

この国には古代ギリシャの遺跡が山ほどあるが、実は私は遺跡はあまり好きではないようだ。
多くの遺跡は死んでいるからだ。

巨大なパルテノン神殿ですら、威厳は感じられるものの、吹きっさらしに耐えて現代にその修復後の姿をさらしていて痛々しい。

遺跡は現地の人とどのようにかかわっているかでその魅力が違ってくる。
死んだものよりも生きているもの。

私の興味対象は遺跡よりもその遺跡にたたずむ人々。孫を連れた婆ちゃんだったりしつこい物売りの子供達だったり。一見死んだように見える遺跡の中で人々の息遣いが感じられるとその遺跡に体温が生じ、感動と愛着を感じることができるのだ。

この音楽堂は161年の建築だが、観客席の部分は修復され、今でもコンサートやオペラ、バレエなどに使われている。
私もこの劇場でバレエを観た。「その男、ゾルバ」。ゆっくりと日が落ち、暗くなったころに物語は始まる。ふわりと舞う、躍動感あふれるゾルバ。
崩れ落ちたアーチのある舞台も雰囲気抜群。アテネの夜を演出する。
アテネ市民が私たちにうれしそうに笑顔をくれた。「ここは素敵でしょう?」と。

オリンピックの開会式での幻想的な美しさにもよく表れていたが、この国の人々は歴史と現在とをうまく融合させるセンスに優れているようだ。

ギリシャはギリシャのまま。それでいい。



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4 アテネ アクロポリスの丘



アテネ パルテノン神殿


アテネの象徴であるこの神殿は美しいが、なんだか痛々しくてあまり愛着はないので特に語ることもない。(笑)

この神殿がそびえるアクロポリスの丘での小話。

さんまと変態とサマータイム。

いやはや、ほんとにこの国には記憶がない。
1990年の頃の話だから仕方ないのだが、一番覚えているのが最初に書いたアクロポリスの丘でじっと見た沈む夕日。

次はさんま。
明石家さんまがいたのだよ!アクロポリスの丘に。
見ちゃった見ちゃった。
このときはマラトンのマラソン大会の中継の仕事で来てたらしい。 いや〜歯が出てましたね。テレビそのまんま。
それでどうした? オチはないんですよ。それだけですわ。(笑)

どうせならもちょっとかっこいい俳優さんに会えればうれしかったのに〜。


次は変態。

いたのよ〜。露出狂の変態が!
さんまを見かけつつ坂を登りきったところでベンチで腰かけていたら、後ろの草原で物音が。
「何?」
と思って音のほうを見てみると、素っ裸の男が駆け抜けていった・・・・。
何なのよ〜〜〜一体!? 怖かったよぉ。(涙)
彼は一体何してたんだろ???欧米ってこんなことよくあるの?

次はサマータイム。

さんまを見て、素っ裸の男を見た日はゾルバを観る為にアクロポリスの丘を徒歩で登っていたのだ。
ところが、会場に行ってみると時間がおかしい。2時間も。
なんだなんだなんだ???
その日はサマータイム終了の切り替え日だったようだ。2時間時計を遅らせる。意味がよくわからなかったが、とにかく2時間ぽっかりと時間が空いてしまった。そして余った時間をすべて夕日を眺めるのに費やしてしまったのだが・・・・。
なんか変じゃないか?バレエが終わったのは感覚的には深夜だし。 

サマータイム切り替え日に当たったことありますか?
飛行機の時間とかすんごい不安じゃありません?




ギリシャ編 終わり



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