2007年富士登山(須走口)

須走口新五合目〜山頂〜剣が峰〜山頂(一泊)〜須走口新五合目


7月20日・21日両日、須走口を往復してきました。行きはよいよい帰りは怖い、あの童謡のモデルはさてはこの登山道か!

新五合目の駐車場から。
下界は霧雨模様、雲の上はこの通り上々の天気です。
気持ちのいい天気ですね〜。
今日御来光を見た人は本当にいいタンミングで登っている、というわけです。でもそうするには平日に2連休とらないといけないんですね。
 菊屋(手前から2つめの建物、一番手前はトイレ)で金剛杖を買い、出発です!
小富士への遊歩道の分岐点です。ここまでは関係車両は進入できますが、この先物理的に四輪車両の進入ははムリです。
古御岳神社の鳥居が朝日に輝いています。ここまでは石畳または石段のよく整備された道です。登山道は社殿の右側を上がっていきます。写真の通り鬱蒼とした樹林です。須山口の二合〜三合あたりの雰囲気と似ています。ただ標識の数では須山口の方が上。
 ところどころで下山道と離合を繰り返しながら、しばらくは森林浴気分を楽しめます。
樹林が途切れ、展望の開けるところに出ます。山頂まで見通せる上にこの青空。気分は最高です。
この場所では登・下山道のほぼ全体を見渡すことができます。
6合目、右下の鯉のぼりの上がっているのが長田山荘(元は本五合目林館)、中ほどの布団を干しているのが本六合目瀬戸館です。
その長田山荘。標高2450mといいますから富士宮口新六合目とほぼ同じ高さ。
休憩は1時間500円でお茶・コーヒー・紅茶が飲み放題とのことです。
富士登山成功の秘訣は「いかにして上手に休むか」。五合目から小休止含めて1時間以上歩いていますので、ここで焼印を押してもらいながら(\200)休憩です。
この辺りまで来ると樹木が頭を覆い続けることもなくなり、山頂まで見渡せるようになります
この辺は道幅が広く、軽トラくらいは乗り入れられそうです。さすが県道150号線だけのことはあります。管理者(沼津土木事務所)の気概を見せつけられるあたりです。
本六合目瀬戸館です。標高2700m。先ほどの長田山荘から40分ほどですが、やはり焼印を押してもらいながら休憩です。今度はペットボトルの冷たいお茶をぐいぐい飲み干しました。
いい天気=脱水症状の危険大です。水分補給は忘れずに。
持ち込んだ飲料の空き容器は持ち帰りが原則ですが、山小屋で買った飲料の空き容器は引き取ってもらえます。400〜500円ですが、高いと言わず山小屋で買って補給しましょう。持ち込みは荷物が増えます。
潅木帯が間もなく終わろうとしています。その先にあるのは地衣帯、そして岩と砂礫の不毛の大地。
少し登って瀬戸館を振り返って見ます。
登山道が潅木の中に見え隠れしています。
この辺りから岩盤が露出したり、砂礫に覆われたりを繰り返します。
さらに登り、振り返って下を見れば、岩に隠れる所はあっても、登山道がよく見えるようになります。
現在本六合目といったら先ほどの瀬戸館ですが、かつて本六合目はここ、雲上館のことでした。廃墟となっています。
5合目から徒歩1時間以上ありながら、林館が六合目を名乗れなかったのは、本六合目雲上館、六合目瀬戸館のさらに下にあったためでしょう。
雲上館の廃業により、瀬戸館が本六合目を名乗り、長田山荘が六合目を名乗っています。
7合目大陽館が近づくといよいよ緑は稀になります。すぐ近くに見えるのに遠いんです、これが。
7合目大陽館です。標高3000m
こちらはトイレと宿泊の出入り口。「天地境茶屋」の文字がみえますが、かつてこの山小屋は「天地境」と名乗っていました。
ビール・酒\735はいいお値段です。あまり収益性がないので、どうしても飲みたいという方はどうぞ、ということなのでしょう。が、ここで泊まるのでもなければ止めるべきです。登るには足が余計重くなり、下るにも後述する「恐怖の砂走り」が待ち構えています。
食事や水分補給はこちらで。外のベンチが多いので、天気がよければ飲み物を買って外で飲むのもいいでしょう。
なおここでは焼印の代わりにシールを売ってくれます(\105円、これはリーズナブル)。仙人のような風体の男性と、犬が描かれています。
今年は亥年なのになぜ犬か、去年の売れ残りじゃないのか?というとそうではありません。
屋根上に干された布団の右上に、三角耳の白い犬が写っています(アップの写真もあるけど、犬サイトではないので)。ここ大陽館では白い大型犬を二匹飼っています。
(この犬については「あっぱれ!富士登山」をご参照願います)。
大陽館から少し上がったこの辺り、落石は時間の問題、2m四方の石が落ちそうになっているとのことです。が、標高3000mを超えては体も簡単には前に進みません。上に気をつけながら進むしかありません。
本七合目見晴館から大陽館を眺めてみました。これだけの距離ですが30分以上要します。
本七合目見晴館です。ここで早めの昼食。サッポロ一番正油味でしたが、これが妙に美味い!この高さでラーメン、いや温かい食事にありつけること自体、有難いことなんですが、体が塩っ気をほしがっているせいかもしれません。
8合目の手前に、河口湖口・吉田口下山道を示す標識が立っています。この辺りから「大行合」と呼ばれる一帯にさしかかります。山梨側からの登山者が一緒になりますので、行き交う人の数が一気に増えます。
7合目見晴館を振り返ってみます。この区間は下山道と共用になっているところがあり、しかもその下山道はブル道との共用ですので、砂の道でずるずる滑って登りにくいときています。次の胸突八合目まで忍耐が続きます。
八合目江戸屋です。下江戸屋とも呼ばれます。皇太子殿下が富士登山の折お泊りになられたそうです。
これも「あっぱれ!富士登山」富士山に登った有名人のページをご参照ください。
焼印と飲み物くらいなら、この窓越しで受け付けてくれます。軍手の横に吊り下げられているのは防塵マスク。ここで買っておくんでした。この先は下山者のたてる砂埃が容赦なく気道に入ってきます。
胸突江戸屋への登りで下を見たところです。ブルトーザーの見える方へ行くのが須走口下山道、左上の江戸屋の前を通るのが河口湖口・吉田口下山道です。
この辺りは河口湖口・吉田口・須走口の下山道と須走口登山道、そしてブル道と5つが共用となっている区間です。下りのブルトーザーはバック運転です。運ちゃんは前が見えません。登山者が気をつけて道を譲りましょう。
本八合目江戸屋です。まだ建てて間もないためきれいです。そのため遠目でもわかります。
この先山頂まで、山小屋はすぐ上に見える御来光館のみとなります。
その御来光館です。八合五勺です。標高3450m。富士宮口の万年雪山荘は3460mで9合目ですので、実質9合目といっていいでしょう。こちらは9合目に迎久須志神社(閉鎖)があるので、8合5勺を名乗っているのだと思います。
9合目迎久須志神社(右の石積み&丸太の下にあります)と日の御子の鳥居。日の御子の名は、昔ここに丸い石があり、それに映る朝日を拝んだことからつけられたとか。
かつては神官が奉職していたようです。
「『ここは日の御子といって東へ真正面の所です、こちらで御来迎を拝みなさい』といったが、日の出までにはまだ二時間近くも間があるので、私たちは頂上を目指すことにした。『頂上へ行く方は御祓いをしていらっしゃい』、神官はこうもいって、祝詞を読んだ。それは、この佳き日にお山へ詣でる佳き人々の一族の平安を祈るという意味を神代の長たらしい言葉を集めて綴ったものであった。そうして大きな御幣をもって、皆が頭を並べた上を、バサリ、バサリとはらった」
(「頂上まで」荻原井泉水、大正8年8月、『富士山』普及版、深田久弥編1942年12月10日再版本、青木書店刊 より)
日の御子からこの鳥居御橋までの間、人間は四つん這いで行くと楽です。犬連れの方は少々つらくても抱き上げて登ったほうがいいでしょう。とくにチワワとかミニチュアダックスなんかだと立ち往生することは間違いなし。柴犬様は登れるでしょうけど豆柴だと無理かも。とにかく一段一段が大きいんです。
鳥居御橋から左へ折れると、ここ「山頂銀座」です。
久須志神社に参拝、金剛杖に刻印を戴きます。ここでは「金名水」を分けていただくことができます。1つ500円。天然の雪解け水ですので、飲むには煮沸が必要です。
お鉢めぐりに出発。大内院越しに剣が峰を見たところ。
雪渓だらけですね〜ヤな予感が。
富士宮口頂上です。この日(2007年7月20日)には頂上富士館は営業しておりませんでした。奥宮・郵便局・公衆トイレは開いていました。
写真中央の水溜りはただの水溜りではなく、このしろ池といって鮗が住むという伝説がある池です。実際住んでいるわけがないんですけどね。8月には涸れるし、10月には雪に閉ざされるし。
馬の背をひいひい言いながら休み休み登って、3776m地点に到達!(石の上に上っちゃ危ないよ)
このころから霧が出始めました。
ヤな予感的中!お鉢めぐりは剣が峰直下〜西安河原の間が残雪のため通行止め。やむなくもと来た道を引き返します。馬の背は登るのもきついけど下りも滑って歩きづらいんです。今回は他に人がいないようなので、鉄製の手すりにつかまりながら下りました。
山頂山口屋で一泊、山頂でのビールの回りは速く、しかも悪酔いします。飲んですぐ布団に潜り込むも手足が冷えて体がガタガタガタ……。体内の血の循環がアルコールによって阻害されているのか?と思えるほど。
夜半から雨、翌朝5時に雨・霧・風と3拍子揃う悪天候の中下山開始。とてもではないが写真など撮ってはいられません(霧で視界が極端に悪いため)。40分ほどして霧の中に浮かび上がった山小屋は、御来光館と見るや胸突江戸屋。下りはやはり速いと内心ニヤリ。
八合目江戸屋で朝食に牛丼を注文。天気が悪いので少しでも長く休憩しようという人も多いのか、「食事だと15分ほどしかいられないんですが」とのこと。食事だけですぐ下りるので、15分で上等です。
下りは見晴館を通らないので注意。ブル道と分かれてほどなく大陽館です。砂払い5合が営業していないと五合目まで山小屋がないので、ここで飲料を確保して、足首にスパッツを装着して砂走りにかかります。
御殿場口の砂走りは幅が広く、砂がふかふかしていて斜度も適度、大変下りやすいのですが、こちら須走口の砂走りはまず斜度がきついのが難点です。そして幅も3人並ぶとふさがるくらい。下の写真は前日に登山道から撮ったもの。
そしてやはり前日に本六合目・瀬戸館から撮った砂走り(黄色い線)こうやって見ると急なのがわかります。御殿場口では走る人も多い(私も長続きしないものの走りました)んですが、ここでは無謀な行為です。
「そのうちに金剛杖を抛り出す。はずみを食って身体が二三回とんぼ返りをして砂の中に仆れてしまった。見ていると、やがて首を擡げてワーアッと泣き出した。数丁も下なのでよくは判らないが、鼻から口へかけて真っ黒になっている。砂と血なのかもしれない。何しろ砂礫の斜面へ顔を突っ込んだらしいので、困ったなと思って飛ぶようにして行って手拭で顔を拭いてやった。幸いと心配したほどではなく、僅かな擦過傷で大事な鼻も事なくすんだ。(中略)あとで二合半へ下りての話では、この夏は二人程砂走りで大怪我をした。一人は鼻柱を折り、他の一人も鼻から頬へかけて随分ひどくやられたという」『富士山の旅』冠松次郎著 1949年7月23日初版 富士箱根厚生文化協会 24〜25ページ
このように昔から危険な下山道ではあったようです。コツは慌てないこと、2〜3回の転倒は想定しておくこと、そして金剛杖の使いようです。
「金剛杖を斜後ろに構えて、腰を落してすべって行くグリセイドの形」(前出『富士山の旅』24ページ)が今日も有効です。それでも石に足をとられます。
下写真のように、時々休みながら下りましょう。
砂払い5合 吉野屋です(標高2270m)。
かつては旭館だったところ。ここまで下ると五合目までは30分弱です。樹林帯−ブル道−また樹林帯に入るとすぐ登山道との離合を繰り返して、古御岳神社に到着します。そこから五合目まではすぐ、店の人がきのこ茶や緑茶でもてなしてくれます。

参考文献 『富士を登る 吉田口登山道ガイドマップ』富士吉田市歴史民俗博物館 2006

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