富士山 御殿場口

登山日及び行程

2006年8月13日・14日 新五合目7:00〜11:00五合目小屋(現新六合目)〜12:00六合目小屋跡(持参食料で昼食)〜14:30赤岩八合館(泊)2:10〜4:30山頂(東安河原)〜剣が峰〜赤岩八合館(朝食)〜新五合目
2010年8月27日・28日 新五合目6:08〜8:08新六合目〜10:00赤岩八合館〜11:08山頂(奥宮)〜11:38剣ヶ峰〜12:00東京屋(昼食)〜銀明水12:55〜14:11赤岩八合館(泊)5:42〜6:22宝永火口経由富士宮口への分岐〜6:44次郎坊〜大石茶屋〜新五合目

登山道の特徴、装備品など

特徴 他の登山道に比べ勾配は緩い。ということは歩く距離が長い。登高差は吉田口馬返からの往復と同じ2300m以上。
特に次郎坊から七合目までの砂礫のジグザグ道が辛い。しかもこの間、営業している山小屋はゼロ。山小屋「跡」が多い。
このため、特に雷に注意し、事前の気象情報を十分に把握する必要がある。
下りの大砂走りは、一度走ると病みつきになること間違いなし。
装備品 水は一人2g以上必携。大石茶屋を出ると七合目日の出館まで補給ができない。夏の終わりなどは砂走館までお預けになることも。
帽子も必携。晴れた日に帽子なしでこのルートを登るのは熱中症の危険性が大。
スパッツ(ズボンの裾、足首に巻く方。サポートタイツにあらず)も必携。大砂走りでこれがないと靴に砂利が入ってまともに走れない。
逆に、他のコースでは必携品である軍手は、天気が崩れない限り不要。
トリビア もともとは須山浅間神社からの須山口登下山道だったが、滝が原から二合八勺までの登山道を開設して「御殿場口」とした。
須山〜水ヶ塚の間の登山道が陸軍の演習地となってしまったこともあって須山口が衰退、またより標高が高い御殿場まで汽車で登れるという利点から、このルートは「御殿場口」として定着して現在に至っている。
この「一番高い標高まで汽車で」という特典は、富士山麓鉄道(現富士急行)の開通に伴い吉田口にその座を明け渡す。自動車交通が主になると、二合目、さらに五合目まで自動車で登れるようになった富士宮口・河口湖口に比べ圧倒的に不利になるが、大砂走りの存在がこの登山口をして現在まで存続させているといっていいかもしれない。
また登りは富士宮口、下りは六合目まで御殿場口、宝永火口を経由して富士宮口新六合目・新五合目へ抜けるコースも人気が高い。ただしこの場合大砂走りは味わえない。

詳細レポート

新五合目です。500台収容の駐車場が整備されています。

土日は第2駐車場も満杯になりますが、駐車場から車があふれて路上駐車、というのはあまり聞きません。

 かつては新五合目小屋があったところですが、現在左写真の富士急小屋「ハーフマウンテン」では宿泊は受け付けていません。なお昭和50年代初めまでは新二合目と呼ばれていたところです。

写真 2006年8月13日
 駐車場から見た山頂です。手前に大石茶屋が見えます。8月中旬以降、朝はとても天気がいいですが、時間がたつにつれ霧が出やすくなります。にわか雨の恐れもあります。早めに山小屋に入るのがベターです。

写真 2006年8月13日
 新五合目から10〜15分ほどで大石茶屋に到着です。左手には二ツ塚、右手には宝永山が眺められます。関係車両はこの先五合五勺までは入れるようですが、我々一般人は自分の足が唯一の交通手段です。
 登山時、不足している装備があればここで揃えましょう。また下山時は、バス・タクシー・マイカーに乗る前の休憩にもってこい。洗面水(100円)で砂走りの砂埃を落とすもよし、かき氷(400円)で鋭気を養うもよし、登山土産も多少荷物が増えても、ここから駐車場までなら邪魔には感じられないでしょう。

写真 2006年8月13日
大石茶屋を出ると、すぐに砂礫のジグザグ道が始まります。
この標識が立てられたの、いつなんでしょう。現在六合目小屋は後述の状態ですが……。
ちなみにこの地点から六合目まで2006年の登山では4時間半かかりました。それで中くらいのペースだと思って間違いありません。御殿場口では七合目まで登高約1500m、補給場所がないまま歩き続ける必要があります。他で1リットル水分を携行するなら、さらに500ml〜1リットル余分にもっていかないと、脱水症状を起こす危険が大です。ちなみに2010年の登山では六合目まで3時間を切るハイペースでした。

 かつてまだ太郎坊が一合目だった時代、御殿場口には各合目ごとに山小屋・山室があったようです(『絵葉書で見る富士登山』)。一合目太郎坊、二合目(現大石茶屋付近か)、二合五勺(現五合五勺跡)、三合目(現須山口分岐上)、四合目、五合目(現避難小屋付近)、六合目(現六合目跡)、八合目(現八合目見晴館跡)、九合目。八合目の絵葉書にはカルピスや志る古の看板も見えます。
現在富士山の山小屋といえばカレーライスが主流ですが、頂上富士館では牛丼とのことです。実はこの見晴館の絵葉書にも「中食代用牛丼」の看板が見られます。全て強力の歩荷が頼りで食材が限られたはずの八合目にしては破格の待遇です。

写真 2006年8月13日
雄大な眺めです。地球離れしています。
杭が並んでいるのが下山道、登山道はその左をジクザクに進んでいきます。平坦に見えて意外に登っています。
この辺りは旧二合目。50名収容の山小屋があったそうです。

写真 2006年8月13日
次郎坊付近のアップです。五合五勺で登山道と下山道が交差します。御殿場市観光協会のHPによれば、五合五勺の山小屋は「休館中」となっています。

2006年の時は、五合五勺にわずかに小屋跡の一部が残存していましたが、2010年には撤去されて何も残っておらず、「次郎坊」と書かれた立派な標識柱が立てられていました。

写真 2006年8月13日
 その五合五勺。二ツ塚の眺めが良いところです。
 五合五勺小屋は昭和53年のブルーガイドには記載がありました。位置的に旧二合五勺のようです。50名収容だったそうです。

写真 (左)2006年8月13日
    (右)2010年8月27日
       標識が立てられています
須山口二合八勺付近。気象庁避難小屋があります。
横から見ると大砂走りは急坂ですね。実際下っていると、この辺りは平地に感じられてしまうところです。


写真 2006年8月13日
 この辺り、三合目(100名収容)・四合目(50名収容)と山小屋があったそうですが、姿形もありません。
 2006年8月13日、日曜日の登山道です。さすが御殿場口、空いています!

写真 2006年8月13日
 須山口二合八勺から登ること2時間弱でこの山小屋にたどり着きます。(旧五合目小屋[150名収容]らしいです)。新六合目小屋ですが、立ち入りはできません。軒も短いので雨もしのげません。
 だからこの御殿場口は事前の気象情報の把握が大事なのです。
 でもザックに飲み物・食べ物があれば、ちょうどいい休憩ポイントです。実際、ここで昼食にしている家族連れもいらっしゃいました。

 写真 2010年8月27日
新六合目と六合目の間に、かつてあった観測小屋です。2006年の時点では右写真の建物が残っていましたが、2010年には既に撤去されていました。

登山道に「そちらに行かないように」といわんばかりにローピングしてあります。

写真 2006年8月13日
写真 2010年8月27日

右写真右上の石垣が、上写真の石垣です。

この辺りは天城連山を見ながらの快適ウォーキングになってきます。まだところどころ砂礫が深いので歩きづらいところ。

この避難小屋とは別に、五合五勺小屋(150名収容)があったそうです。

写真 2010年8月27日
さらに30分ほどで六合目小屋跡に至ります。
寒々しいにも程があります。
木柱・トタン屋根などなど、人工物はやがて朽ち果てる運命なのでしょう。


六合目小屋は収容150名だったそうです。


左写真 2006年8月13日
右写真 2010年8月27日
 六合目の少し上で、富士宮口から宝永火口を経由して御殿場口に至る連結ルートと合流します。

 2009年に皇太子殿下が歩まれた「プリンス・ルート」です。この先頂上まで、及び下山道が全て「プリンス・ルート」。


写真 2010年8月27日
七合目日の出館です。

営業期間に注意しましょう。2010年8月27日には既に閉館していました。

すぐ上に七合四勺のわらじ館が見えています。

こちらも営業期間に注意が必要です。


写真 2010年8月27日
七合四勺、わらじ館です。

次の砂走館は目と鼻の先にあります。


写真 2010年8月27日
次のわらじ館は休業中、砂走館では一回400円で焼印もやっています。

写真 2006年8月13日
    この建物は建替工事のため
    取り壊されました。
 砂走館は建替工事中(2010.8.27)
 基礎工事は終わっているようです。

 翌日、真新しい加工材がブルトーザーで運びあげられていました。2011年のシーズンには、最新の山小屋が御殿場口に誕生すると見られます。
楽しみですね。
ここまで来ると宝永火口の上です。山頂も間近に見えます。中ほどの白い建物が赤岩八合館です。現在砂走館を出ると次に営業しているのは赤岩八合館(七合九勺)ですが、かつてはその間にもう一軒(七合八勺梶小屋:120名収容)、さらに八合目にももう一軒の山小屋(見晴館:150名収容)があったようです。

写真 2006年8月13日
七合八勺、梶小屋の跡です。

写真 2010年8月27日
梶小屋の上にある気象庁の避難小屋です。

写真 2010年8月27日
この辺まで来ると「赤岩八合」の標識が立ち始めます。富士宮口八合目からバイパス道を来た人へのご案内です。

写真 2006年8月13日
標高3300m、赤岩八合のすぐ下で見つけた小さな命たち。これより上は本当に不毛の大地です。



写真 2006年8月13日
 七合九勺、赤岩八合館です。
[2009年皇太子殿下御宿泊所]

 写真は2010年8月28日撮影、御来光直後のため全体が赤っぽくなっています。

 収容150名、週末は満館になる場合もありますので予約は確実に。

 1泊2食、トイレ使用自由で6,700円です。

 夕食はカレーライスお替り自由。
 2006年登山では2杯、2010年登山では2杯+軽めの3杯目が管理人の記録。
 朝食はハムエッグ・漬物・佃煮・味噌汁、ご飯はセルフで盛付自由。

 ほか、ハンバーグ定食などのメニューがあります。
 飲み物はビールがスーパードライ・一番搾りの2種類置いています(2010年現在)。他の山小屋では圧倒的にスーパードライの銀色缶が多いです(生ビールは別として。)

 冷たい飲み物は他の山小屋と同様、ペットボトル入りのスポーツドリンク・お茶・炭酸系など。

 ホットコーヒー、しるこ、甘酒もあります。甘酒(右写真)は富士山ではかなり昔からの名物で、古写真を見ても山小屋に「しろ酒」の看板が散見されます。
 富士登山の際はあんぱんと甘酒は是非味わいたいところ。


写真 2010年8月27日
 
 『太陽に吠○ろ!』のオープニングみたいな(年代が知れてしまいますねー)2010年8月28日の御来光。

 もう少し昇って四方に光が射している写真は『あっぱれ!富士登山』「みんなの登山記10-42」に掲載していただいてあります。

 御来光は頂上で眺めるのも、ここ赤岩八合館で眺めるのも、まず変わりありません。要は見る人の気持ちの問題。
 八合目小屋跡です。

 見晴館、150名収容の山小屋でした。

 この先、山頂までは空気の薄い中、急なつづら折りとなります。

 赤岩八合館で休憩した方も、小休憩していくと良いかと思われます。また赤岩八合館を通過した方は、ここでしっかり休憩してください。

 その意味では、再開が望まれる山小屋の一つです。

写真 2010年8月27日
見晴館から長田尾根をまわりこみ、この大智禅師の碑を過ぎるといよいよ急なつづら折りが始まります。

 急とはいえ隣の富士宮口ほどではありません。

写真 2010年8月27日
頂上直下、石垣が見えてきます。朽ちた材木も散見されますが、場所的に九合目跡ではないのでは?


写真 2010年8月27日
御殿場口頂上銀明館です。現在、開館しているという情報はありません。


写真 2010年8月27日
東安河原と駒ヶ嶽にはさまれた窪地ですので、僅かな高低差によりかつては湧き水があったそうです。

写真 2010年8月27日
8月27日になりますと頂上奥宮は冬ごもりの支度。



写真 2010年8月27日
剣ヶ峰です。晴れたりガスったりと安定しません。

写真 2010年8月27日
久須志神社では狛犬がお出迎え。

源流が同じせいか、沖縄のシーサーにも似ているような……。

写真 2010年8月27日
どかーん!

よくぞこのようなものを奉納されました。
どこのどなたかは存じませんが。

砲弾とは恐れ入りました。


写真 2010年8月27日
下りは七合目日の出館まで登りと共用です。
七合目を過ぎると、下りルートは大砂走りを目指します。しかしまだこの辺りは石もゴロゴロ転がっていますので、慎重に下りましょう。走ると転びます。ケガします。

写真  2010年8月28日
下り六合目小屋跡です。

大きな小屋だったことがうかがえます。

この先で道は二手に分かれます。左は御殿場口大砂走り、右は宝永山経由富士宮口新六合目。

人気があるのは右。車で富士宮口新五合目へ来ている人が圧倒的に多いため。

写真  2010年8月28日
六合目小屋の跡を過ぎて間もなく、

さあ好きなだけ走ってくれ!

と言わんばかりの大砂走り。

砂走り五合目小屋(30名収容)もあったそうですが、確認ができませんでした。
            写真  2010年8月28日
御殿場口は下りの風景も雄大です。

写真 2006年8月14日
山中湖も見渡せます。だいぶ下がってきたとはいえ、標高1800mですので山中湖より約800m高いところになります。もっとも、新五合目の駐車場が1440mで山中湖より高いんですからね。

写真 2006年8月14日
御殿場口全景です。ここまできたら富士登山もフィナーレが間近ですね。

写真 2010年8月28日
大石茶屋までくだってきました。自販機の飲み物でノドを潤します(写真2006年8月14日)。御殿場口で自販機があるのはここと下のハーフマウンテンだけです。

参考資料 『絵葉書で見る富士登山』富士吉田市教員委員会刊
       『富士山とその周辺 静岡県観光シリーズ@』静岡県・静岡県観光協会刊 (データは1965年4月1日)

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