古くて新しい屋根材 NEO THATCH 企画書
最古の屋根材を最新の技術で手に入れたい
住宅を始め、建築物は屋根に依ってその個性、意匠性が左右されることは周知の事実です。日本古来からの茅葺きの意匠、機能にはすばらしい物がありますが残念ながら現代の法律に基づいては一般地域では茅葺きは不可能な状態です。そこで法律上の問題をクリアでき、経済的にも一般住宅に採用できる茅葺き屋根材を企画するものです。
近年の建築傾向として自然志向、個性的、伝統的デザインが求められています。その意味では茅葺きの質感は求められている最高の材料ではないかと思われます。しかし、工事費の高価なことと法的な制限がネックとなり、普及が阻まれています。 事例としては商業建築では鉄板やモルタル吹き付け等の他の屋根材で茅葺きを 模したデザインを余儀なくされています。
住宅においてはその寿命の短さと葺き替えに莫大な費用がか かることと障害になって表面を金属板で覆っている事例も数多く見られます。ヨーロッパでは茅葺き屋根(Thatch)の建物は大切に保存され愛されています。ことに英国では(先代首相がThatcherという位で)現在でも大小55,000棟が存在するようで、茅葺きの伝統がマイスターにより受け継がれています。アメリカにもたくさんの茅葺き屋根が存在します。
伝統的、懐古的なデザインに拘らずテクスチャーを活かしたモダンな使い方も十分に期待できるものと確信し ます。
★ 求められる条件と性能
1.建築基準法第22条の地域(一般居住地ほぼ全域)に求められる屋根材の性能は次の 通り、 または建設大臣認定
(建築基準法施行令第109条の5)
一、屋根が、通常の火災による火の粉により、防火上有害な発煙をしないものである こと。
二、屋根が、通常の火災による火の粉により、屋内に達する防火上有害な溶融、き裂 その他の損傷を生じないものであること。
2.同時に耐風性能も望まれる。3.廃棄物処理の問題からスクラップアンドビルドの時代は終わらなければならない、し たがって金属板や瓦と同等以上の寿命は確保したい。
また廃棄処分する場合も公害のない状態で処分できる、またはリサイクル可能な材質 としたい。
4.出来る限り本物の茅に近いテクスチャー(質感)を持たせたい。
5.従来の茅葺きはその施工が職人技に頼らなければ困難であるので、少しの訓練で施工が可能なシステムが求められる。(施工費の軽減)
6.茅葺きの施工価格は屋根面積で70,000円/坪と言われている、(2000年)このほとんどが施工費と考えられるが、材料工賃ともで半額程度で30年以上の耐久性を目標としたい。英国での実例では棟部分(頂部)を 10年ごとに手を入れることにより50〜70年の耐久力があるとされています。
7.軒先、コーナー部分等はハサミによる刈り込みが出来る材質が必要
(コーナー部分はテーパ付きが必要か?)
8.その断熱性能による夏は涼しく冬は暖かいという特徴を生かしたい。(省エネルギー)
★ 当面考えられる案(A)新建材の開発
・チューブ状の着色アルミ(箔)の中をロックウール、発泡ウレタン等で充填する。
太さは3種類程度とし、ランダムに混ぜて使用。
・軒先部分の厚みを見せたい所、平面部分とコーナー部分、の3〜4タイプのユニットを 制作する ことにより、施工の簡略化を図る。
(B)英国の茅葺き業者からの輸入
調査によれば旅費、運賃を負担すれば外国でも施工は可能とのこと。見積金額は不明ですが、手間は100平方メートルにつき20〜25人工と言われています。(¥22,000/坪 程度か)またアルミ箔 を下葺きし、防火薬剤を吹き付けることにより防火処置もできるようです。ただしこ れが日本でそのまま認められるかは不明。(役所との折衝が必要) この場合、近隣を含めて たき火、バーベキュー、花火の禁止、防火用水の確保、火災報知器の設置等、様々な制限が賦される可能性がある。
★ その他
スプリンクラー等の併用による防火性能の向上または材質の防火性能の簡略化も 考えられる。
参考LINK
国際茅葺き協会 ? http://thatch.org/
アイルランド The Thatch Company http://thatchco.com/
アメリカ SAFARI THATCH & BAMBOO INC http://www.greenbuilder.com/thatch/
アメリカ McGhee.&CO. http://www.thatching.com/
日本 ボランティアで茅葺きを手伝っておられる方
http://www7a.biglobe.ne.jp/~qwerty/kayabuki.htm
Thatch roof technique 茅葺きの動画(海外)